2025年4月1日
国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)は、傘下の株式会社AIST Solutions(AISol)を含めた「産総研グループ」として、我が国の経済や社会の発展に資する科学技術の研究開発および成果の社会実装に取り組んでいます。この営みは、産総研のルーツである農商務省地質調査所が1882年に創設されて以来140年以上続いています。
近年、私たちは数多の社会課題に直面しています。気候変動や自然災害、環境破壊、予期せぬ感染症の流行、国際情勢の不安定化など地球規模の難局に対して、世界はいまだ答えを見つけられていません。翻って日本国内に目を向けると、そこにはやはり、エネルギーや資源の制約、少子高齢化やそれに伴う労働力不足、インフラの老朽化といった避けられない課題が横たわっています。AIや量子といった先端技術分野の発展は目覚ましく、技術的覇権を狙って各国の熾烈な競争も繰り広げられています。
産総研グループに期待されるのは、こうした課題に向き合い、より良い経済社会の実現を可能とするイノベーションを生み出し続けることに他なりません。産総研は、2025年4月より、7年間の第6期中長期目標期間をスタートさせました。そのミッションは、「社会課題の解決と我が国の産業競争力強化に貢献するイノベーションの連続的創出」であり、エネルギー・環境・資源制約、人口減少・高齢化社会への対応、レジリエントな社会の実現の3つの社会課題に取り組みます。
産総研グループは、我が国のイノベーション・エコシステムの中核となること、すなわち産学官を巻き込みながら研究開発と社会実装との間で双方向のベクトルを働かせてサイクルを駆動し、イノベーションを連続的に生み出すことを目指しています。第6期では、エンジニアリング機能や技術インテリジェンス機能、マーケティングを一層強化して社会実装のフェーズにまで活動範囲を拡大します。これを確実に実行するために従来の5年間よりも長い中長期目標期間において腰を据えた研究所運営を行ってまいります。
例えば、研究開発体制をイノベーション・エコシステムの構築に適した形へと近づけました。具体的には、研究開発の司令塔として第5期に設置した研究戦略企画部を研究戦略本部へと拡充し、強力なイニシアチブのもと研究開発を迅速かつ効率的に推進できる組織としました。研究戦略本部の下には各領域から独立した実装研究センターを7つ設置しました。領域横断型の組織であり、AISolとの連携を強化しつつ産総研の総合力を生かして社会実装に挑戦します。
AISolはこれまで、主に企業の競争力強化や事業展開に資する大型の共同研究を実現してきました。第6期においては、さらに市場価値をベースとしたニーズオリエンテッドな課題設定を基に企業と事業共創するなど共同研究のスコープを拡大していきます。また、AIに特化した計算インフラABCIやインベントリーデータベースIDEAなど産総研が構築してきた唯一無二の技術資産を基に新たな価値を創出する事業や、グローバル市場での活動を強化することで、社会実装をより強力に推進します。
今後、日本の人口が大幅に減少していく中でイノベーションを連続的に起こしていくためには、一人ひとりの研究力・技術力を高めることが必要です。イノベーション・エコシステムのサイクルを回すのは人であり、人こそが力です。産総研グループは、これからも所内外に開かれた独自の人材育成プログラムの実施など人的資本を重視する取り組みに力を注ぎ、日本の将来を担うイノベーション人材の育成に貢献します。
産総研グループは、第6期においてもその価値を一段と高め、社会から求められる組織であり続けられるよう取り組んでまいります。
私たちのビジョンは「ともに挑む。つぎを創る。」です。このビジョンのもと、皆様とともに未来を創る挑戦を続けます。
今後ともご支援を賜りますようお願い申し上げます。
国立研究開発法人産業技術総合研究所
理事長 兼 最高執行責任者
石村 和彦(いしむら かずひこ)
ISHIMURA Kazuhiko