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産総研マガジン > Column > 【産総研・研究者漫画】暗黒シート・雨宮邦招さんの「至高の瞬間」
2024/06/12
すべての発明は、研究者たちが日夜手を動かし、数多の壁を乗り越えた先に生まれる。 そばで研究者を支える職員として、成果だけではなく研究という「人の営み」を伝えたいと思いました。 同じ研究所の職員だからこそ聞ける、純度100%の“研究にかける想い”。 取材をもとに構成された、ノンフィクションの漫画を産総研広報・完全内製でお届けします。
雨宮さん・取材こぼれ話
雨宮さんは光の強さの基準を決める「光の計量標準」の研究の中で暗黒シートを開発しています。そもそも光の絶対的な強さ(明るさの基準)ってどのようにして測るのでしょう?
写真館とかで見かけるやつ?それとも何か特別な装置がある?…正解は「熱を測る」です。当たった光によって光の吸収材の温度がどのくらい上昇したかの測定を通じて、光の絶対的な強さを測る方法があるのです 。これを基に、写真館の測定器も校正されています。
この絶対測定に重要となるのが、入ってきた光を逃さない吸収材です。「黒い」ということは、光が外に反射して出ていかないということ。より反射しない吸収材を探して雨宮さんは「黒」を追い求めました。
さらに、計測するという観点から重要だったのが吸収材のカタチです。雨宮さんは「シート」を選びましたが、これにも大事な理由があります。
入ってきた光を逃さないためによく使われてきた方法は、吸収材を筒型にした「空洞黒体」です。筒の底に温度計を設置しています。この方法は、入った光が中で多重反射を繰り返して外に逃げるのを防ぎ、100 %近く吸収できます。しかし、筒の内側面にあたった光で生じた熱は、筒の底にある温度計までの距離が長いので伝わる間にロスしやすく、エネルギーを精度よくはかることが難しくなります。このため誤差も大きくなりやすい。そこで、より正確に、より無駄なく光の強さをはかるには、吸収材をシート状にするのがベスト、と雨宮さんは判断したのです。
「究極の暗黒シート(2019/04/24プレスリリース)」「至高の暗黒シート(2023/01/18プレスリリース)」と、ネーミングのキャッチーさにもこだわりがある雨宮さん。もし筒型の空洞黒体の発明者だったら、どんな名前になっていたのでしょうね。
研究で黒を追い求める雨宮さんの黒好きは普段の生活でも。
「服も黒っぽいのが多いかもしれませんね。自宅の車も黒、飼い猫も黒猫です。名前も暗黒からとって『あんこ』といいます」と雨宮さん。
暗黒シートや雨宮さんについて、さらに知りたい方はこちらをチェック!
暗黒に魅せられ、暗黒を追い求める。【研究の日常は、非日常だ。】 産総研広報が完全内製でお送りするショートムービー。雨宮さんの言葉で、研究の日常に触れてください!
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