老朽化した橋をドローンで精密測定
\研究者にきいてみた!/
老朽化していく全国のインフラ。その安全点検には、センサーの設置など大きな手間がかかります。
そこで産総研は、検査車両が通る際の「橋のたわみ」をドローン空撮から計測する、効率的な点検手法を開発しました。
でも、ドローンの映像で小さなたわみを測れるの…?研究者に聞いてみました!
答えてくれたのは、プライベートでも写真撮影がすきという李志遠 上級主任研究員。
李さんたちが開発した画像ぶれ補正技術をつかえば、なんと100 m先の数mmの変形が計測可能。これは、センサー設置による計測と近いレベルの精度なのだそう。(2024/01/15プレスリリース)
今回開発した高精度の画像ぶれ補正技術、はじめは補正用の基準となるマーカーをたくさん設置すれば精度があがると考えていたんだとか。
「でもうまくいかなくて。突破口が見えずにいたとき、休日にたまたま読んでいた人体についての本がヒントになりました」
人体と画像ぶれの補正…どういうこと?
「人間は、両耳にある前庭と三半規管で体のバランスを取ることで、目の向きなどを調整しています。耳を『平行移動や傾きを感知するセンサー』ととらえれば、ぶれ補正用の基準マーカーも2つあれば補正には十分と気づいたんです」
耳の仕組みはイチから専門書で勉強したそう(ぶ、分厚い…!)。
点検の手間やコストを減らせるこの技術、じつはすでに企業に活用されています!今後も全国の橋の点検に役立てたいとのこと。
産総研では、このほかにもインフラ老朽化対策(産総研マガジン「インフラ老朽化対策とは?」)に貢献するさまざまな研究を進めています。