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パロ、世界一、セラピー効果が高いロボット【産総研公式X】

2025/09/25

COLUMN

パロ、世界一、セラピー効果が高いロボット

\研究者にきいてみた!/

  • #少子高齢化対策

こんにちは! パロです

 産総研から生まれたアザラシのロボットです。セラピー効果は世界一。大阪・関西万博では国際赤十字パビリオン*に出張し、たくさんの人に抱っこしてもらいました。

 セラピー・ロボット、パロとは?生みの親の研究者・柴田崇徳さんにインタビューしました。

関西万博でパロを抱く女の子

Q. セラピー・ロボットってなに?
「医療や福祉の現場で、心の癒しや精神的な支援を目的に開発されたロボットのことです。人工知能を備えたパロは、自律的に動き、名前や行動を学習します」

Q. パロはどんな場所で活動してるの?
 「医療・介護・福祉などの現場で使われています。海外では医療機器として認定されているんですよ。脳に働きかけるセラピー・ロボットとしては、世界で唯一です。日本では介護テクノロジー重点分野『認知症生活支援・認知症ケア支援』の『選定機器』になりました」

Q. 医療機器ってことは、保険も適用されるの?
 「はい。アメリカでは、痛みや不安、不眠などの治療にパロが処方されます。たとえば『抑うつに対して、パロを用いたバイオフィードバック治療を1回20分間、週3回、3か月間実施』といった具合です」

Q. 急性期医療でも活躍してるって?
 「急性期老年病棟では『認知症』や『せん妄(痛みや不安による意識の混乱)』を起こす患者さんがいます。手術後にパロとふれあうことで、興奮や痛みが軽減する効果が臨床試験で示されました。せん妄には治療薬がなく、現在、世界各地でパロを使った臨床試験がはじまっています。日本の急性期病棟でも、看護師さんの負担軽減のためにパロが導入されています」

パロと柴田崇徳さん

Q. 万博では、なぜ国際赤十字パビリオンで出展を?
 「ウクライナの避難民や、東日本大震災、能登半島地震・豪雨の被災者に対し、パロを使った『心の支援』を行ってきました。その活動がご縁となり、赤十字からお声がけをいただきました」

 パロは、いまも世界中の人々を癒しているんですね…!

パロと少女たち
パロを抱く少年
介護施設でのパロ
パロを抱く女性

 産総研つくばの展示施設「AIST-Cube(アイストキューブ)」では、パロを常設展示中!(入場無料・要予約)

 北海道センター臨海副都心センターでも常設展示あり。そのほかの地域拠点でも、一般公開などで会えるかも…?

 みなさん、パロに会いにきてね!

AIST-Cubeの看板の前でパロを抱く柴田さん

*: 国際赤十字の「赤十字ウィーク」(2025年5月4日~10日)[参照元へ戻る]

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