牛のオレイン酸の含有量を生きたまま計測する道が開けた!
\研究者にきいてみた!/
マグロを診察しているようにも見えるこの風景。そうです!マグロを診断しているのです!身を切る前にマグロの美味しさを計測できると、とても良いですよね!
11月29日は「いい肉の日」。
生きた牛から牛脂の質を知ることができる!?(2022/09/05プレスリリース)
そんな情報を聞きつけて訪れたのは、意外にも地質調査の研究棟。地圏資源環境研究部門 物理探査研究グループの中島 善人 上級主任研究員にお話を聞きます。
注目するのは、オレイン酸。
牛肉の風味や口溶けの良さに影響を与えます。健康にも良いとされており、畜産業界では牛肉の付加価値を上げる物質のひとつとして注目されています。
さすがに今回は、生きた牛を用意できなかったので、中島さんが美味しそうな黒毛和牛のモモ肉を持ってきてくれました!
計測に使うのは、磁気共鳴表面スキャナー。
磁気を当てる
→水素の原子核がエネルギーを持つ
→次第に落ち着いてくるので、その減衰時間を計測
→その減衰時間と相関関係があるオレイン酸の含有量が分かる
センサーを聴診器のように当てるだけで傷つけずに計測できます!
センサーを調整していき、測定を開始。測定自体は数十秒で終わるものです。
写真のオレンジの波形が、水素の原子核の核磁化が減衰していくことを表しています。この減衰の傾きが小さいほど、オレイン酸の含有量が多くなります。
本来、トンネルなどのコンクリートの水分量を壊さずに計測して不具合を調べています。
研究室には、自作のコンクリートの計測サンプルがたくさん!
水や油を非破壊で計測できるという特性はパワフルなので、他の活用先もあるのではないかという問題意識が、牛やマグロへの応用につながっています。
ブランド牛の品質維持・畜産農家の収益向上に貢献できるこの技術。
これからは連携先を探したいのだそう。
脂肪の量(霜降りとしての脂肪の含有量)と質(オレイン酸に代表される不飽和脂肪酸の含有量)の両方を牛を生きたまま傷つけずに評価できる装置として各地に広がって欲しいです。
【こぼれ話】
研究室にあった牛の模型。他にも研究室には、家畜やマグロの本も!
インフラ診断から第1次産業という異分野への応用を研究しているのも、このように専門外のことも熱心に勉強されているからこそなんですね!