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橋杭岩周辺で巨大津波の証拠を発見【産総研公式X】

2022/11/25

COLUMN

橋杭岩周辺で巨大津波の証拠を発見

\研究者にきいてみた!/

  • #国土強靭化・防災

11月5日は世界津波啓発デー。

 約300年前、南海トラフ沿いで過去最大とされる宝永地震が起きました。巨大津波の被害は甚大で、津波の防災計画は重要です。

 本日は、南海トラフ沿いの津波解析をする地質調査総合センター 活断層・火山研究部門 海溝型地震履歴研究グループの行谷主任研究員と宍倉グループ長にお話を聞きました。

行谷研究主任研究員と宍倉グループ長
行谷研究主任研究員と宍倉グループ長

津波の研究は何を調べるの?

 「過去にどのくらい大きな津波がいつ頃発生したかを知ることが重要です。私は紀伊半島南部にある橋杭岩とその周辺にある巨礫からこのエリアで起きた津波を解析しています。今回の調査では宝永地震よりも大きな津波があったことを解明しました。」

和歌山県にある橋杭岩
橋杭岩にある巨礫

巨礫から津波の大きさを解析?

 「巨礫が受ける津波の流体力と、巨礫と地面の間の最大静止摩擦力を計算します。流体力が最大静止摩擦力を越える場合には巨礫が動くと判定します。」現地の調査では巨礫が動く力をバネばかりで測定。大人3人がかりで引っ張ることもあったそう。

巨礫を動かしバネばかりで測定

 なんと地道で体力のいる調査・・・

行谷さんが津波の研究を志したきっかけは?

 「子供のころ読んだ理科年表かもしれません。たんたんと記される過去の地震の情報に怖さを感じると同時に、記録があるから将来に繋がる一面に興味を持ちました。今でも調査の際は歴史記録も扱います。」

研究室の本棚に並ぶ歴史史料

今後解き明かしたいことは?

 「巨礫を動かす巨大津波がいつ起きたのか、その謎に迫りたいです。過去に起きた地震を知ることは未来を知ることにも繋がります。産総研は地質分野だけでもさまざまな専門家がいる組織です。知識を組み合わせながら根拠をもってひとつひとつを解明していきたいです。」

行谷研究主任研究員と宍倉グループ長

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