施設概要
バイオ分野では、いかに最先端の技術を取り入れて新たな生命のメカニズムを理解し、それを医薬品開発等に結びつけるかが、新たな製品開発において大変重要となります。先端バイオ計測施設では、先端バイオ分析機器等を使用して各種生体試料を解析するための支援を実施いたします。特に、糖鎖、植物転写因子を解析するための先端機器を、産学官の研究者及び技術者に提供いたします。
糖鎖プロファイル解析システム
レクチンアレイや糖鎖アレイを用いて、平衡状態、液相中でレクチンと糖鎖の相互作用を高感度且つ迅速に解析するための装置です。各種生体試料の糖鎖プロファイルや、レクチン様分子の糖鎖結合特異性を解析することができます。
植物転写因子相互作用解析システム
96穴プレートを用いた酵母ワン・ツーハイブリッドスクリーニングにより、任意のDNAまたはタンパク質と相互作用する植物転写因子を高感度且つ迅速に同定するための装置です。一連の実験を自動的に行うことができます。
細胞内相互作用解析システム
プロトプラストに一過的に遺伝子を導入し、植物細胞内でのDNA-タンパク、もしくはタンパクータンパク相互作用を検出するための装置です。一連の実験は半自動で実施できます。
構成糖分析システム
還元末端を蛍光標識した糖を蛍光検出器付きUPLCにて高感度・高速で分析することができます。
使用事例
ヒトES/iPS細胞の品質管理技術の開発
糖鎖プロファイリング技術を用いてヒトES/iPS細胞を解析した結果、ヒトES/iPS細胞の糖鎖構造の特徴を抽出するとともに、選択的に結合するレクチンを見出しました。更に本レクチンを用いて、ヒトES/iPS細胞を生きたまま染色する試薬、ヒトES/iPS細胞を非破壊で測定する技術、ヒトES/iPS細胞を除去する技術等、ヒトES/iPS細胞を品質管理する技術の開発に至りました。このように、糖鎖プロファイリング技術を用いて幹細胞や癌細胞の解析を行うことにより、幹細胞等の品質管理技術や癌等の疾患に対する創薬、診断薬の開発につながることが期待できます。
葉緑体分解を制御する新しい転写因子の発見
(農研機構野菜花き研究部門との共同研究の成果)
植物の老化は野菜や花きの商品価値低下につながる主要な要因の一つです。老化を制御する転写因子はこれまでにもいくつか知られていましたが、私たちは葉緑体の分解過程(左図)に注目し、それを制御するこれまで知られていない転写因子を酵母ワンハイブリッドスクリーニングによって同定しました。この転写因子の働きを抑えることで植物の老化を遅らせられることを見出しました(右図)。
新しく発見したANAC046転写因子の働きを抑えると
(KO, SRDX)植物の老化が遅延する
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葉緑体分解経路と新しく発見した
ANAC046転写因子の位置づけ
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連絡先
研究環境整備本部ファシリティマネジメント部施設利用室
〒305-8561 茨城県つくば市東⼀丁⽬1番地1 中央事業所1群
Eメール:M-facil_kyoyo-form-ml*aist.go.jp(*を@に変更して送信下さい。)