人気記事で振り返る2024年
産総研マガジン編集部
AI技術、量子技術、温暖化対策や自然災害など、日頃の生活や仕事の中でも、さまざまな科学技術用語が目や入ってきた2024年を、産総研マガジンの人気記事で振り返ってみようと思います。
自然災害で幕を開けた2024年
2024年は元旦の痛ましい能登半島地震で始まり、8月には「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が気象庁から発表されるといった出来事もありました。あらためて防災対策を考える機会となり、「南海トラフ地震の予知」に取り組む研究や「活断層」や地震、津波関係の記事に注目が集まりました。
AI技術は2024年のノーベル賞を席巻
毎年10月に発表されるノーベル賞は、科学技術分野で注目のトピックが集まります。生成AIは「自然言語処理」という、まるで人と会話するような操作で扱えるようになり、普及と活用が広まっています。AI関連の技術は、2024年の「ノーベル物理学賞」をその基盤技術が受賞しただけでなく、生命系の応用で「ノーベル化学賞」も受賞し、この一年を代表する科学技術トピックとして印象的でした。AIの応用という点で、映像と音声のような異なる情報を学習する、「マルチモーダルAI」も注目されました。一方で、フェイク生成や不正利用など、「AIのセキュリティリスク」も懸念されています。
高性能・グリーン化に進む半導体
このようなAIの普及により増大する計算需要に応えるため、「ロジック半導体」は微細化による高性能化を目指し、研究開発は2 nm世代へと進んでいます。さらに、製造時のCO2排出など環境負荷を低減する「グリーンサステナブル半導体製造技術」や、データセンター等の電力を大幅に削減する「シリコンフォトニクス技術」も期待されています。
カーボンニュートラル社会実現に向けて
電力関連では「ペロブスカイト太陽電池」と、複数のタイプを組み合わせて効率を高める「タンデム型太陽電池」、安定したベース電源として期待される「地熱発電」が、また、蓄電では車載用の「次世代二次電池」、定置型では安全で高寿命な「レドックスフロー電池」の実用化が待たれます。
CO2削減では製品・サービスのCO2排出量を見える化する「カーボンフットプリント」の需要が高まっています。「CO2の分離・回収・貯留・利用技術(CCS/CCUS)」では、CO2と水素からメタンを作る「メタネーション」、「大気からの直接空気回収(DAC)」のほかに、岩石にCO2を固定する「風化促進」や海洋に固定する「ブルーカーボン」が新技術として注目されます。
材料では「サーキュラーエコノミー」を目指した、「スーパーエンジニアリングプラスチック」のリサイクルや「リマニュファクチャリング」による使用済み製品・部品の再生利用の取組を紹介しました。
量子がコンピュータのパラダイムシフトを起こす
量子関係の記事は常に注目を集めています。量子・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センター(G-QuAT)の、「産学官の緊密な連携による量子コンピュータへの取組み」に期待が高まっています。10月に着任した益一哉センター長の下、研究開発を進めています。量子力学百年の国際年である2025年には産総研内に新研究棟も稼働予定で量子コンピュータの研究開発の加速が期待されます。
身近な話題やここでしか読めないオリジナル「研究者漫画」もあります
ここまで、専門的なトピックが多いように感じられる産総研マガジン。実は身近な話題も扱っています。WEBメディア「ナゾロジー」とのコラボ記事では、一人ぼっちになったアリはどう行動するのか?といった身近で意外な疑問に答える「アリの社会性研究」についてご紹介。
広報部の職員が自ら取材し自ら描く、ここでしか読めない研究者の人生の物語、「研究者漫画」も公開中です。
2024年の記事はいかがでしたか?
2024年も産総研マガジンの記事をご覧いただきありがとうございました。
2025年も、注目の科学技術トピックから産総研ならではの研究成果まで魅力的な記事をお届けしますので、ブックマークと新記事公開をお知らせするX(旧Twitter)のフォローもよろしくお願いします!