露頭~大地の成り立ちの手がかり~
\研究者にきいてみた!/
6/10は、「露頭の日」。6/9のロックの日に引き続き、地圏資源環境研究部門 鉱物資源研究グループの星野 美保子 研究グループ長に聞きました。
星野さん思い出の石「超苦鉄質岩(ちょうくてつしつがん)」が採れた、南アフリカの露頭の写真がこちらです。
「露頭」とは、岩石や地層が露出した場所のこと。大地の成り立ちの手がかりをわたしたちに伝えてくれます。
超苦鉄質岩(ちょうくてくしつがん)が採れた岩体「ブッシュフェルト」は、南アフリカ北部に位置する2km四方の巨大な花崗岩です。
マグマが固まってできたものですが、なぜここまで巨大な岩石地帯ができたのか、現在も謎に包まれています。
「レアアース調査の際は、蛍石鉱床の近くを狙います。蛍石(CaF₂)内のフッ素が、レアアースを呼び寄せるためです。超苦鉄質岩に含まれるアパタイトは、カルシウムとリンの酸化物。カルシウムとレアアースはイオン半径が似ています。ときおり置換が起きて、レアアースが入り込むんです!」
あたりをつけた場所に、ユンボで穴を掘って調査します。
表面は風化した土で覆われているので、採れた石はハンマーで割って断面を確認します。(現場では、この断面を「フレッシュな面」と呼ぶんですって!)
移動には車を使いますが、なにぶん石だらけなので……本当にしょっちゅうタイヤがパンク!(自分たちで修理することも少なくないんだとか)
そして!サバンナのようなこの地には「蟻塚」がたくさんあるのですが、これが調査の重要な鍵を握っているそうで…
じつは、探査を手助けしてくれるのがこの「蟻塚」なんです。アリたちは地下の水脈を求め、100m近い深さから土を掘り起こして塚を築きます。
蟻塚の成分を調べることで、ボーリングを掘らずとも地下100mぶんの土の組成がざっくりわかるわけです。
蟻塚の成分を調べれば、その場所の地質がわかる。これらをマッピングした鉱床の地化学調査の成果は、論文*1にもなっています。
いわば、アリと人間の共同研究とも言えるかもしれません。(アリさん、いつもお世話になってます)
産総研では、国内外でのこうした地質調査で採取した岩石や火山灰など11万点以上もの標本を、将来の研究にそなえて大切に保管しています。
そんな岩石標本と日々向きあっている、地質調査総合センター 柳澤教雄さんの日常も覗いてみてください。
*1: 南アフリカ共和国における希土類資源地化学探査としてのアリ塚調査報告 [参照元に戻る]