発酵が人の健康に関与する仕組み
\研究者にきいてみた!/
5月21日は、「国際お茶の日」
微生物の力を借りて発酵させる「後発酵茶(こうはっこうちゃ)」は、世界でも中国・雲南省とタイ、そして日本にしかない珍しいお茶です。
- 真菌(カビ)の好気発酵=バタバタ茶、プーアール茶
- 乳酸菌の嫌気発酵=阿波晩茶、ミャン
- 真菌+乳酸菌の2段階発酵=石鎚黒茶、碁石茶
産総研でお茶の研究。意外かもしれませんが…「発酵が人の健康に関与する仕組み」を調べている研究者がいるんです。
後発酵茶はお茶の漬け物みたいなものですよ、と教えてくれたのは、健康医工学研究部門 口腔フレイル研究グループの堀江 祐範 研究グループ長。四国センター(香川県高松市)で研究に取りくんでいます。
堀江さんが、阿波晩茶と近い作り方をするタイの後発酵茶「ミャン」を調査したときのようすをご紹介しましょう。
ミャンは、発酵させた茶葉の塊を噛んで楽しむ嗜好品。日本や中国の発酵茶とちがって乾燥させず、柔らかい若葉を使います。
共通点は、乳酸菌をうまく育ててお茶を美味しくすること。
噛んで楽しむお茶「ミャン」はどんな味がするの…?
「ミャンには浅漬けと古漬けの2種類があって、どちらも乳酸発酵のせいで酸味がありますが、浅漬けの方が茶のタンニンが残っており渋みがあります(ウーロン茶くらいの渋み)」
たしかに、乳酸発酵で作られるキムチを思い出す見た目ですね…!
このワイルドな建物は、調査中に堀江さんが泊まった宿のひとつ。タイ北部ナーン県、秘境感たっぷりですね。
後発酵茶は、なぜかどこも山岳地帯で作られているんだそう。石鎚黒茶がつくられている石鎚山は西日本最高峰、阿波晩茶がつくられている地域の近くには西日本で2番目に高い剣山があります。
ちなみに発酵の主役となる乳酸菌は、日本国内では石鎚黒茶と阿波晩茶でも種類が違うそう。ミャンでもそのような違いが果たしてあるのか…調査結果が楽しみですね。