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小惑星リュウグウの試料分析【産総研公式X】

2022/09/29

COLUMN

小惑星リュウグウの試料分析

\研究者にきいてみた!/

    はやぶさ2が持ち帰ったリュウグウの粒子。90以上の機関がリレー形式で分析していくため、産総研が熱拡散率の計測に使えるのはわずか4日間!

     物質計測標準研究部門 材料構造・物性研究グループの八木 貴志 研究グループ長と山下 雄一郎企画主幹の、絶対に失敗できない戦いが始まりました。(2022/09/28プレスリリース)

    八木研究グループ長と山下企画主幹

    Q. 一番苦労した点は?

    A. 一番難しかったのは、測定対象が非常に小さく、複雑な形状だったことです。提供された試験片は、一辺わずか3 mm、厚み0.9 mmの三角形状。

     通常の測定では、最低1 cm四方という「十分なサイズ」の試験片が必要なのですが、今回の粒子は小さすぎ…既存の治具が使えません。

    産総研に提供されたリュウグウの粒子
    通常の測定に使われる数センチ角の試験片

     そこで、八木さんたちは、厚さ0.9㎜の粒子を6本の針で支える特製の治具をイチから製作。さらに、実物の到着前から粒子と同じサイズのガラス片を作成し、固定のリハーサルを繰り返したそう。振動で落ちないように、ゴムシートを挟むなど細かな工夫も。

    6本の針でリュウグウの粒子を空中に固定
    リハーサル中に使用したガラス片

     設置から測定完了まで丸3日。測定中に試験片が動いたり落ちたりしてしまったら、最初からやり直しなので、心配のあまり何度も様子を見に行ったそう。

     ちなみに、リュウグウ粒子は真空状態の、こんな容器に入って届けられました(これは再現写真なので、実物ではありません)。

    容器を持つ八木研究員

    Q. 今回求められたリュウグウ粒子の熱慣性。地球上の物質でいうと、何と近いですか?

    A. リュウグウ粒子の熱慣性はプラスチックと同程度。つまり、金属やガラスと比べて非常に熱しにくく冷めにくい物質なのです。

     地球の岩石では目にしない数値で、非常に驚いたそう。

    リュウグウ粒子と地球上の物質との熱慣性の比較

     今回、産総研と名古屋大で求めた熱物性に関するデータは、リュウグウの形成過程のシミュレーションに活用されました。

     小惑星から採取された米粒ほどの小さな粒子に、たくさんの研究者たちの熱意が向けられているんですね!

    リュウグウの測定の様子

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