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細菌のドリル運動【産総研公式X】

2022/08/25

COLUMN

細菌のドリル運動

\研究者にきいてみた!/

  • #エネルギー環境制約対応

べん毛を自分の体に巻きつけ、ドリルのように器用に泳ぐ細菌の姿。

 じつは2022年7月に一部メディアで報道されていたのですが、見たことのない動きに産総研広報もビックリしました。

 今回は、この撮影に関わった生物プロセス研究部門 環境生物機能開発研究グループの菊池 義智研究グループ長に話を聞きます。

Q. ドリル運動しているのはどんな生物?

 「バークホルデリア」という体長2 μmほどの細菌です。1〜数本の「べん毛」をスクリューのように回転させて液体中を泳ぎます。

 今回映像でとらえたドリル運動は、このスクリュー運動の逆回転。こんな動きができるなんて私も驚きでした。

顕微鏡を覗く菊池研究員

Q. なぜドリル運動をするの?

 粘りけの強い中で移動しにくいとドリル運動をするようです。粘性の高い環境ではドリル運動の方が効率がいいみたいですね。

通常の運動とドリル運動の比較

Q. この発見にどんな感想を?

 細菌が生物の体内に侵入して感染・共生するしくみに、このドリル運動が関わっているかもしれません。

 生物の体液は水に比べてドロドロ=粘性が高く、細菌にとって動きにくい環境。ドリル運動はそんな過酷な環境にも侵入できる理由のひとつかもしれないですね。

菊池研究員

Q. ふだんはどんな研究を?

 農業害虫の生態や共生微生物の機能解明に取り組んでいます(2021/11/10プレスリリース)。今回の映像の主演「バークホルデリア」も害虫カメムシの腸内共生微生物なんですよ。

 どうやらカメムシの腸内に共生するときに、このドリル運動を使っているようです。

菊池研究員と佐藤研究員

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