微生物による廃水処理
\研究者にきいてみた!/
嫌気性微生物がいままさに廃水を分解、メタンガスを発生させている様子をご覧ください!
ペットボトルなどに利用されるPET。その製造工程では高濃度な有機性廃水が排出されます。
廃水処理に微生物で挑む(2022/07/11プレスリリース)、生物プロセス研究部門 微生物生態工学研究グループの成廣 隆研究グループ長と生物プロセス研究部門 微生物生態工学研究グループの黒田 恭平研究員の現場をたずねました。
PETの原料となるテレフタル酸とテレフタル酸ジメチルの製造廃水。従来は別々の処理が必要だったものを、微生物の力で一気に処理できるというのがこの研究の特長です。
インキュベーターを開けて見せてくれたのが廃水処理反応器の実物なんですが…改装中のため細部は見せられません、ごめんなさい!
白く濁って見えるのが、1年半ほど培養中の嫌気性微生物。窒素ガスを充填した試験管に微生物と栄養素などを含む培地が入っています。
実は世の中にいる微生物の99%以上は培養できていません。人工的な培地の中で眠り続けてしまったり、増えるのが遅かったりするため、非常に難しいのです。
嫌気性微生物が発生させるメタンガスは回収され、エネルギーとして利用します。くわえて、廃水の処理過程で増えてしまう「微生物の余剰菌体」も有効活用。
写真は廃水処理由来の微生物菌体を混ぜた土で試験的にトマトを栽培しているところ。微生物の働きで病原菌を防ぐ効果が期待できるんですよ。
好気性微生物は、廃水処理反応器内の酸素を使って一気に廃水を処理できます。酸素を使わない嫌気性微生物ではそうはいきません。
でも、だからこそできることがあるはず、というのが2人の考え。嫌気性代謝の過程でできる「中間生成物」の資源化も狙っているそうです。