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時間を供給する【産総研公式X】

2022/06/10

COLUMN

時間を供給する

\研究者にきいてみた!/

    6月10日は「時の記念日」

     世界中で標準時として使われる協定世界時(UTC)。パソコンの設定画面で見覚えある方も多いのでは。

    でも、

    • UTCそのものをチクタクと刻む原子時計は存在しない
    • UTCをリアルタイムに知ることもできない

    って知ってました?

    UTC(NMIJ)

     UTCは、実は世界数百台の原子時計の平均。しかもその計算は1ヶ月ごと。だからリアルタイムではわからないのです。

     これじゃ不便!ということで、産総研はUTCと同期させた独自の時刻「UTC(NMIJ)」を運用しています。国内で時刻系を運用している機関は産総研をふくめて3ヶ所しかないんですよ。

    桁表示

     UTC(NMIJ)を作るのに使われるのが「水素メーザー」という原子時計です。

     地下室に入ると、部屋の中にさらに部屋が。温度変化を避けるため内部屋に入れられているのだそう。

     内部屋の、さらに恒温槽の中に設置された水素メーザーが、いま現在も時を刻みつづけています。

    地下室の様子
    水素メーザーが時間を刻む
    水素メーザー

     水素メーザーは長時間連続稼働が得意。耐久性にすぐれた「乗用車」的存在です。

     一方、先日動画で紹介したこの光格子時計は、超高精度、でも繊細な「F1マシン」的存在。

     産総研の光格子時計は、2020年からUTCの元である国際原子時(TAI)の校正に貢献しつづけています。

    そしていま、光格子時計の「次」をめざす研究も。

     この部屋では、イッテルビウム原子の(いまの光格子時計で測定しているのとは異なる)「状態」を観測することで、光格子時計以上の精度を目指す研究がすすんでいます。

     でも、そもそも高精度な時計ってなんの役に立つの…?

    高精度な時計

     意外な答えが返ってきました。

     「時計って時間を知るためだけのものじゃないんですよ!」

     山は地上より時間が早く進むって、聞いたことありますか?時間の流れは重力の影響を受けるのです。これ、見方を変えれば、超高精度な時計は「重力センサー」として使えるということ。

    高精度な時計の詳細
    イッテルビウム原子を測る装置

     この時計が動きだせば、暗黒物質の探索にも使えるかもという話も。

     時計の話を聞きに行ったはずが、いつのまにか宇宙物理学の最重要課題への挑戦の話に……物理学者でなくてもロマンを感じますね!

     この新たな時計による超高精度な測定が、物理学の大発見の立役者になるのかもしれません。

    研究者の様子

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