サンゴから海を知る
\研究者にきいてみた!/
6月8日は「世界海洋デー」
豊かな海洋環境を守り次世代に伝えるために 、海と実験室とを往復しながら研究を進める 海洋環境地質研究グループの日常をレポートします。
6月の晴れた日、沖縄のある島の海岸に行った研究者は 何を調べようとしているのでしょうか?
探しているのは巻貝。肉片からDNAを採取します。
いろいろな島の海洋生物の遺伝子を調べ、島と島の間でどれぐらい生き物がまざりあっているかを明らかにします。遺伝的な交流の度合いが高いと、生物多様性が保たれやすいことがわかっています。
海岸では他に「死んだサンゴの骨格」も採取しました。
サンゴは成長しながら周りの海水温や降水量などを骨格に記録します。まるで木の年輪みたいですね。寿命は長いものでは100年以上。骨格を調べることで、過去に海洋環境がどう変化したかわかるのです。
世界中で減っていくサンゴたち。「生きたサンゴ」からは、何がわかるでしょうか。
5月から6月、満月近くの夜には生きたサンゴが「産卵」します。この「卵」から生まれた赤ちゃんサンゴを、海水の温度や酸性度を変えて育てる実験をしています。自然の海、将来予測される海の環境を作り出すこの技術、実は産総研が世界トップクラスなんです。
サンゴが生きられる海の環境を知ること、それは私たちが暮らしていける海の環境を知ることにつながります。
これからもいろいろな手法を駆使して研究者の探索は続きます。