さまざまな温度計
\研究者にきいてみた!/
5月14日は「温度計の日」
計量標準総合センター 温度標準研究グループの研究者が、さまざまな温度計をご紹介します。
写真の二つの温度計は、17世紀に考案された温度計です。その原理は左にある一般の液体温度計と同じように、温度によって液体の体積・密度が変化することを利用しています。
つぎにご紹介するのは白金抵抗温度計(右)。
ガラス管先端の白金センサによって電気抵抗値の変化から温度を読み取る高精度な温度計で、1000分の1度も計測可能!温度の標準に利用されています。
正確に温度を求めるには、基準となる温度で電気抵抗値と温度値を対応させる「校正」が必要になります。
温度計の校正に用いる温度の基準、「温度定点」。写真は温度の国家標準、「水の三重点」です。
氷(固体)・水(液体)・水蒸気(気体)と、3つの相が共存している状態は、0.01 ℃(273.16 K)と温度が一意に求まります。
中央部の空洞に校正する温度計を差しこみ、0.01 ℃の基準として使います。
校正する温度計を差しこむ様子
最後にご紹介するのは音響気体温度計(AGT)。写っている全機器で、ひとつの温度計なんです。
AGTは気体の音速と普遍的な物理量であるボルツマン定数から、熱力学法則に基づいて温度を測ります。
高精度に熱力学温度を測ることができる、世界でも数少ない大がかりな温度計です。
音響気体温度計の中心部はココ。断熱材に覆われた青い箱の中に、アルゴンガスを封入した「共鳴器」とよばれる球状の装置がおさめられています。
共鳴器のなかでの音波共鳴・電磁波共鳴を利用することで音速を正確に測定し、熱力学法則に基づいた温度を測定します。
白金抵抗温度計のセンサ部のクローズアップ写真です。
産総研は、高温域の精度が不安定だった従来のセンサを改良、世界最高レベルの信頼性を実現しました。