火山灰データベース
\研究者にきいてみた!/
5月10日は「地質の日」
4月に公開された「世界初・火山噴火推移予測のための火山灰データベース」(2022/04/22プレスリリース)。みなさん見てくれてますか? データベースを作成した活断層・火山研究部門 大規模噴火研究グループ 松本恵子 研究員に聞いてみました!
笑顔で話す松本研究員
Q1.火山灰検索機能、地質の専門家はどのように使ってるんでしょう?
たとえば、阿蘇の2014年噴火の試料を見てみましょう。ほぼ黒い岩石の破片から、茶色く透明なガラスの破片へ。約一カ月で「固まった岩石の噴火」から「マグマのしぶきの噴火」に変わったことが読み取れます。このように、試料を比較しながら噴火の性質の変化を見ています。
阿蘇山火山灰の比較写真
Q2.現在データベースに含まれていない火山やデータなど拡充の予定はありますか?
新たな噴火に対応する際や過去の調査によって得られたデータは順次追加していきます。「ガラス」「鉱物」といった粒子の種類や、「水蒸気噴火」といった噴火様式で検索できるようにシステムも工夫する予定です。
膨大な火山灰の資料を仕分け中
【火山灰試料のつくりかた】
火山灰は、採取場所と日付ごとに小分けされて試料箱に保管されています。
ビンに入った採取したままの「生」の火山灰を取り出します。同じ日に採取した灰でも、採取場所によって粒の大きさもさまざまです。
「生」の火山灰に純水をそそぐと、
濁っているのがわかりますか?観察対象となる粒子のサイズは揃っていたほうが都合がいいので…
超音波洗浄機で微粒子を浮かせ、
濁った水を捨てます。
この「洗い」を何度かくりかえします。そう、お米を研ぐのと同じ要領なんです。
洗い終わった火山灰をホットプレートで乾燥させ、
狙った粒子サイズのふるいを用意し、
乾いた火山灰をふるいにかけます。
これでようやく火山灰試料が完成です!
デジタル顕微鏡でのぞいてみると、このとおり。
細かい穴がいくつも空いた、軽石状の構造がわかります。デジタル顕微鏡の深度合成機能をつかって撮影すると、厚みのある粒でも下から上までピントが合った見やすい写真に。
こうして撮影した写真が、火山灰データベースに約10,000枚収録されています。
【こぼれ話】
作成した火山灰試料は、薬包紙につつみ、メモを書いて分類・保管します。
「折りかたにも研究者のクセが出るんです。つつみ紙を見ただけで『あ、あの人の作業だな』とわかりますね(松本研究員)」