虹色スコリア
\研究者にきいてみた!/
ご覧ください!この輝き、伊豆大島の火山の噴火でできた「虹色スコリア」です。火山の周辺で見たという人もいるのではないでしょうか。
活断層・火山研究部門の松本恵子さんは、この虹色がスコリア表面の目に見えないつぶつぶによってつくられていることを発見。(2025/02/19プレスリリース)
参考にしたのは「あの国宝」!?松本さんにくわしく聞きましたよ~
スコリアとはスポンジのように穴の開いた黒っぽい火山噴出物。噴火の際にマグマがしぶきのように飛び散ってできたものです。
スコリアは「黒い」のが常識。そのため、他の色になっていても「冷却が早かったから」とか「噴火後の二次的な変質では」と言われ、理由は分析されてこなかったといいます。
松本さんがスコリアの色に着目したきっかけは、2022年に初めて行った伊豆大島で見つけたたくさんの青いスコリアでした。
スコリアの素材とでき方を考えると、通常、青い物質は生じないはず。「風化か噴火の過程でできた『構造色』なのでは?」とひらめいたそうです。
ヒントにしたのは国宝の曜変天目茶碗! 特殊な窯の環境で焼かれた茶碗の表面に細かい溝ができ、光の作用で「構造色」が生まれたのでは?と分析されています。
「茶椀もスコリアもセラミック。火山の噴煙は高温で特殊なガス環境なので、同じように構造色ができるのではと思ったんです」と松本さん。
しかし、この青いスコリアはいつ・どんな噴火で出たのかわからない…そこでデータが豊富な1986年噴火の黒いスコリアも光学顕微鏡で観察。すると、虹色の光彩を発見!
肉眼では地味ですが、顕微鏡で見ると感動的な虹色で「早く論文にしてみんなに見てもらいたい!」と思ったそうです。
研究の結果、噴火の瞬間にスコリア表面に生じた目に見えないつぶつぶが構造色を生み、虹色に見えることがわかりました。
松本さんは、スコリア表面の組織が刻々と変化する噴煙内部の状態を反映するのではと考えています。研究を進め、噴火のメカニズム解明につなげたいと話してくれました。