委託研究公募概要

若手研究人材によるAIプラットフォーム等を用いたディープテック分野の研究開発

１．研究目的

ディープテック・スタートアップに挑戦する独創的な発想を持つ若手研究人材を育成し、彼らの技術シーズを社会課題解決のために実装に導くことは将来の日本の経済や産業の発展に必須である。特にディープテック分野では、高専生や大学院生等の若手人材の持つ優れた技術シーズを掘り起こすことで、研究人材の拡充を行い、スタートアップエコシステムの強化が求められている。
産総研では、ディープテック分野の研究開発を進めることで、社会課題解決を目指しており、最近飛躍的に進歩している人工知能（AI）・機械学習に基づく情報科学技術に注目している。本委託研究課題では、産総研の研究課題であるAI技術やバイオインフォマティクスなどの分野を中心としたディープテック分野について、所が保有する自由度の高い研究環境等を提供することで、若手研究者による独創的な発想を本人の手によって具現化する研究開発を実施する。特にABCIなどAIプラットフォーム等を活用することで、空間の移動、サービス産業、医療・介護、防災、セキュリティなどの重点分野の研究開発を推進する。そして、多分野の専門家による協力・支援とともに、社会課題解決に向けた研究成果やスタートアップ事業を生み出すことを目的とする。

２．研究概要

本委託研究課題「若手研究人材によるAIプラットフォームを用いたディープテック分野の研究開発」では、人工知能の基盤技術を活用した、１）空間の移動、２）生産性、３）健康・医療・介護、４）安心・安全という研究テーマを設定する。

空間の移動のテーマについては、地図データ、衛星データ、インフラデータ、物流データ、人流計測データなどを用いて、人の流れや交通の行動予測、移動の時間やエネルギーコストの最小化、物流の効率化に活用できるプログラム等を作成する。
生産性のテーマについては、製品データ、人体計測データ、人の行動データ、３Dデータ認識などを用いて、ロボティクス、ロボット動作を用いたものづくりや新たなサービスの創出などのプログラム等を作成する。
健康・医療・介護のテーマについては、健康・医療データ、画像やゲノムなどの公開データ、介護データ、医薬品データ、バイオ実験データなどを用いて、創薬や医療技術に活用できるプログラム等を作成する。
安心・安全のテーマについては、自然災害データ、被害に関するデータ、衛星データ、地形データや地図データなどを用いて、地形画像解析、自然災害の解明や防災、セキュリティに活用できるプログラム等を作成する。

上記の研究テーマについて、若手人材から研究課題の情報収集や整理を行い、モニタリングや研究機器等の研究開発手法の検討を行った上、ABCIなどのプラットフォームを用いる等して研究開発を約10ヶ月間実施し、プログラムや論文等の作成、研究発表会等を行い、成果報告としてとりまとめること。また、研究開発を実施するにあたり、専門家が支援・連携する体制や、研究成果について他機関の事業と意見交換する場をつくる等で、研究成果をより高度なものにするための工夫を実施すること。