必要な時に力を加えて熱を取り出せる新規合金
\研究者にきいてみた!/
これから暑くなるシーズンに欠かせないのが、蓄熱材。氷枕などにも使われる、一定の温度を保ってくれる素材です。
今回開発したのは金属でできた新しい蓄熱材。
「欲しい時」に、「欲しい温度」で熱を取り出せる不思議な材料です。(2023/3/8プレスリリース)
この蓄熱合金を開発した磁性粉末冶金研究センター エントロピクス材料チームの中山 博行 主任研究員に聞いてみました。
Q.何がすごいの?
A.欲しい時に、欲しい温度で熱を取り出せること!
ふつうの蓄熱合金が熱を保てる幅は大きくありません。でもこの合金は、20℃以上の幅で熱を保てるし、取り出せるのです。
…その秘訣は
「蓄熱できる温度の幅を広く」したこと。普通はちょうど12 ℃など、一定の温度に保つ素材をつくることを考えます。
私たちは、①熱を蓄えておける温度範囲を広げる、②それを自在に取り出す、ことが大事だと考えました。
独自の熱加工をして、「引っ張る」力を加えると熱が取りだせるんです。
力をくわえることで、熱を取り出せるこの蓄熱合金。
Q.どんな応用がひろがりそうですか?
A.この合金は、形も薄くて小さいものから大きいものまで、加工がしやすいのが特徴。
どんな温度設定や形がいいか。いろいろな方と話して新しいアイデアを得て用途を広げたいです。
中山さんが研究を進めるのは、産総研の中部センター。
研究チームでは、今回のように外から力を加えたり、他にも磁力を使ったりして素材の熱の性質を変える研究を進めています。