電磁探査を用いた沿岸部における塩淡境界の空間分布把握に関する研究
1.研究目的
沿岸部は陸域の淡水(地下水)と海域の塩水による混合領域(塩淡境界)が形成される場所である。塩淡境界は、海域における地下水の出口となっており、地下水の流出域として非常に重要である。塩淡境界については、外浜から大陸棚まで様々なスケールで存在することが知られており、その形状についても数多く提案がなされている。一方で、海岸部の地下数十メートル程度の外浜スケールの塩淡境界につ いての調査事例は数多く存在するものの、数百~1km程度までの深部の塩淡境界に関する調査事例は極めて少なく、その実態についてはよくわかっていない。これまでの研究により、塩淡境界の深度分布を含む形状は陸域地下水の動水勾配や地形、地質に大きく依存することが明らかとなっていることから、本研究では、取得された電磁調査のデータから国内における複数の沿岸部、とくに海岸部における塩淡境界の空間分布を、高精度で把握するための技術の確立を目的とする。
2.研究概要
産業技術総合研究所(以下、産総研)では、沿岸部における塩淡境界の空間分布を把握する目的で、北海道幌延町沿岸部ならび静岡県富士市沿岸部において、MT法やTEM法などを用いた複数の電磁探査を実施している。一方で、沿岸部、とくに海岸部においては、人間生活等に起因する人工ノイズや、導電性の大きい塩水の存在により、高精度で地下の比抵抗構造を把握することは難しい。地下水流動は後背地の地形・地質学的条件によって左右されるため、上述した富士市沿岸部のように、後背地に富士山や愛鷹山など複数の山地を有する場所において2は、塩淡境界の空間分布、とくに深度分布は海岸線にそって非常に複雑な形状を有していることが予想される。そこで、本研究では、沿岸部における高精度の塩淡境界の空間分布把握を把握する手法の確立を目指す。なお、本研究の実施にあたっては、以下の項目を実施すること。
1. 既存の論文ならびに報告書等を収集し、沿岸部における電磁探査あるいは電気 探査の事例をとりまとめ、最適な解析方法を検討する。
2. 検討した解析方法を用いて産総研が北海道幌延町沿岸部ならびに静岡県富士 市沿岸部において取得したデータの再解析を実施する。
3. 測線あるいは側転の近傍に掘削された調査孔における各種物理検層データや 地下水水質データとの比較による解析結果の検証。
4. 北海道幌延町沿岸部ならびに静岡県富士市沿岸部における塩淡境界の3次元 空間分図の作成
3.応募方法
3-1.応募書類
応募者は本公募要領及び提案書様式に従い応募書類を作成し、公募期間の令和5年10月23日から令和5年11月24日(締め切り日の17時まで)までの間に、下記の提出先まで送付又は提出してください。なお、(1)~(5)については、電子メール又はファクシミリによる提出は受け付けません。
【応募に係る提出書類】
(1)提案書受理票:1部
(2)提案書:2部(正1部、写1部)
(3)会社等経歴書:2部(大学・研究機関にあっては、会社等経歴書の代わりとして、経歴の記載のあるパンフレット等でも差し支えありません。)
(4)財務諸表:2部(直近の2年度分)
(5)研究経歴書:2部(研究代表者分)
(6)提案書の電子媒体:1部(MS-Word形式にて電子メールで提出)
公募要領 【PDF:176KB】
提案書様式【Word:460KB】
3-2.提出先
〒305-8560 茨城県つくば市梅園1-1-1 中央第1
国立研究開発法人産業技術総合研究所 つくばセンター
企画本部 産学官契約部 公的研究契約一室 委託チーム
E-mail:M-koufu-itaku-ml●aist.go.jp(●を@に変更して送信下さい。)
4.その他
4-1 契約条項
契約条項は原則として変更いたしませんので、受託を希望される方は契約書雛形【PDF:248KB】を熟読したうえで応募してください。
4-2 暴力団排除の取り組み
受託を希望される方は暴力団排除に関する誓約事項【PDF:19KB】を承諾したうえで応募してください。
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