いつまでも続く自粛の日々に、探検隊員たちのストレスも限界に達しています。しかし、ぼんやり眺めていたPCに見つけたある情報が、くすぶっていた「探検魂」に火をつけました。
いま、私たちがじーっと家にいることが、もしかしたら地球を災厄から遠ざけているかもしれないというのです。それ、ほんまでっか?(なぜ関西弁かは読めばわかります)
さあ、隊員たちと一緒にリモート探検に出発しましょう!
2021年3月26日掲載
取材・文 黒田 達明、ブルーバックス編集部
コロナ自粛でオフィス街の気温が下がる?!
新型コロナウイルス感染拡大を抑え込むための緊急事態宣言が7都府県に初めて出された、2020年4月7日。あの日、「人と人の接触機会を最低7割、極力8割削減」と目標が設定され、以来、宣言が解除されても、「不要不急の外出自粛」がたびたび呼びかけられてきたこの1年。
職場の同僚とランチに行きたい。居酒屋でテーブル囲んで口角泡を飛ばしたい。バックスタンドで隣の観客と肩を組んで応援したい……湧き上がる思いを腹に溜めながら、ひたすら自宅でパソコンに向かう日々が続く。われわれはウィズコロナ時代に入り、もう二度と元には戻れないという声も聞くが、そんなことってあるだろうか……
鬱々とした思いでネットサーフィンする探検隊員Aの目に、ひとつのタイトルが目に止まった。
「新型コロナ外出自粛でヒートアイランド緩和と省エネ効果」
産業技術総合研究所が2020年11月6日に発表したプレスリリースだ。さっそく、他の隊員とチャットで共有する。
- 隊員A「なんか、これいい話じゃない?」
- 隊員B「災い転じて福となす、みたいな?」
- 隊員C「転んでもタダじゃ起きない、みたいな?!」
だが、そのページを探検隊員たちが読みはじめると……。
隊員Aが絶句する。
- 「大阪のオフィス街で人口が7割減ったら、気温が0.13度下がると推定……って?」
すかさず隊員Bと隊員Cがツッコみを入れる。
- 隊員B「暑い! 暑い! えらい暑いわー!! うわあ、気温33度やて!」
- 隊員C「いやいやお客さん、よう見なはれ。人出が減ったから32.87度になってますでェ!」
- 隊員B「わー、涼しくなってたん? テレワーク頑張ってよかったわ……って、そんなん、いっしょやろっ!! ごちゃごちゃ言われるぶん、よけい暑苦しいわ!」
手の甲で隊員Cの胸を小突くふりをしてから、隊員Bが隊員Aにいう。
- 「……って、ことやろ?」
- 「そうやな」と答える隊員A。「ウチらも気ぃついたら関西弁や」と隊員C。
やがて一同、シンクロしてこう言った。
というわけで、われわれ探検隊は産総研にオンラインでツッコんであげることにしたのであった。
バカにできない0.13度の低下
くだんの研究を主導した、産総研・環境創生研究部門 環境動態評価研究グループの高根雄也さん(「高」は、なべぶた下の口上下がのびた〈はしごだか〉)がパソコンの画面に登場した。挨拶もそこそこに、この発表、どうも納得がいかないのですが……と切り出す隊員A。すると高根さんはすかさず、「気温が0.13度下がること」の意味を説明しはじめた。
「この発表は、外出自粛によって、朝9時から夕方6時までの平均気温が下がるというところに大きな意味があります」
日中の平均気温が下がることに意味があるということ?
「夜間であれば、地表付近の空気と上空の空気が混ざりにくい安定状態になるため、エアコンの室外機や自動車の排ガスなど、地表での人間の活動によって生じる『人工排熱』の気温への影響が比較的大きくなります。しかし、日中は地表と上空の空気が上空1000〜1500mくらいまでよく混ざる状態になりますから、人工排熱の影響はかなり希釈されるはずなのです。にもかかわらず、気温が0.13度も下がるというのは驚きでした。いかに人間の活動がたくさん熱を出しているかを実感しました」
むむっ、専門家は着眼点が違う……と隊員Bは思った。
なぜ、関西弁じゃない……と隊員Cは思った。
「たとえば外出自粛によって夏の日中の平均気温が0.1度低い日が1ヵ月も続いたら、健康被害の状況にも違いが現れてくるかもしれません」
そうか、地球温暖化の議論だって、平均気温が1.5度上昇するか、2度上昇するかで地球環境が全然違ってくるという話だ。「0.1度」をバカにしちゃいけない。
「ヒートアイランド緩和策についてはこれまで、緑化とか、建築材の工夫などが研究されてきました。それらの対策の効果も、0.2度とか、0.3度とか、似たようなレベルの気温低下なのです。実は今回の計算でも、場所によっては0.3度近く下がっているところもあったのですが、わずかな地点の最大値だけを前面に出してしまうと誤解を招く恐れがありますから、オフィス街全体での平均的な気温低下として0.13度という数字を出しています」
ううっ、ツッコめない。われわれはスタンバっていた手の甲を下ろすしかなかった。
「熱汚染」が都市を襲う
ここで、ヒートアイランドについて確認しておこう。この現象が起こる原因は、次の3つであるといわれている。
ヒートアイランド現象の原因
原因1地表がアスファルトやコンクリートで覆われることで土や草地の地面より熱容量(熱を貯め込める量)が大きくなるうえ、水分を含んだり蒸発させたりする作用も失われ、大気を加熱する熱量の割合が高まる
原因2建物が密集し、三次元的な空間ができることで、太陽光を吸収する表面積が、土や草地の地面のような建物が存在しない二次元的な空間よりも大きくなることに加えて、夜間の放射冷却の効果が抑えられる
原因3人が活動することで、エアコンや車からの人工排熱が発生する
「原因1、原因2への対策、いわばハード面の対策については、これまでいろいろ研究されてきています。ところが、原因3への対策、つまり人の活動を変えるというソフト面の対策については、現実的な評価があまりありませんでした。人のリアルな活動により生まれる人工排熱が都市気候にどう影響するかを、定量的に評価する方法がなかったからでしょう。今回発表した研究の意義は、この方法を提案できたことにあります」
正直なところ、「人出を7割減らしてオフィス街の気温が0.13度下がる」という結果だけを見れば、リモートワークはヒートアイランド緩和策としてはあまり期待できないな、という印象しかない。しかし、ヒートアイランド現象の3つの原因のうち、これまで定量的に評価できなかった「人の活動」による影響が評価できるようになったのなら、将来に向けての大きな一歩と言えそうだ。
「これからの都市環境を考えるうえで、人工排熱が気候に与える影響の評価は欠かせないものになってくるはずです。地球温暖化が進んで平均気温が上昇していくと、人々はよりいっそうエアコンに頼ります。すると人工排熱が増加し、そのためますます都市の外気温が上昇するという悪循環が顕在化するでしょう。これを『熱汚染』と呼んでいます。都市が温暖化に適応していくためには、この『熱汚染』の予測と対策が不可欠と考えます」
高根さんは1枚の図を掲げた。現在から2070年代まで温暖化が進行すると、大阪市の熱汚染がどのように大きくなっていくかをシミュレーションした結果だ。
「私たちのシミュレーションでは、地球温暖化量が+3.0度まで進行したとき、仮に現在と同じ性能のエアコンを同じ感覚で使いつづけていたとすると、大阪市では熱汚染による追加の気温上昇は平均で0.6度に達すると予想されます。地球温暖化と人間の活動で、大阪が熱帯のような気候になるとイメージしてもらうとわかりやすいでしょう」
日本一暑いのは大阪!
もし温暖化量+3.0度が現実となったら、そのときは厳しいさまざまな試練が私たちを待ち受けていることだろう。大阪市沿岸部はヒートアイランド現象どころか、海水面の上昇で水没している可能性がある。異常気象によって多発する自然災害、食糧不足や伝染病の蔓延も覚悟しなくてはならない。
再び曇ったわれわれ隊員の表情を見た高根さんは、熱汚染の研究の真の意図を説明しはじめた。
「大阪並みに、あるいはより暑くて、しかもこれからエアコンが普及しようとしているメガシティがアジアにはいくつもあります。熱汚染のシミュレーションの技術は、まずはそうしたメガシティの環境を考えるうえで、役に立てられるのではないかと考えています」
大阪をシミュレーションの対象に選んだ理由も、実はそこにあるという。
「実は大阪市は日本一暑い都市で、その都市気候は東南アジアのメガシティのそれに日本で一番近いからです」
そんな深い理由があったとは! あたりまえだが、ボケたかったからではなかったのだ。けれど、大阪市が日本一暑いというのは初耳だ。隊員たちの頭に浮かんだ、いくつかの地名がある。熊谷(埼玉県)、多治見(岐阜県)、山形(山形県)……。
「熊谷や多治見など、暑さで有名な地名はたくさんありますが、それらは観測史上、ある特定の日に最高気温の記録を塗り変えたことで有名になった都市です」
「それに対して大阪は、過去30年の8月の観測値で比較すると、最高気温でベスト3に入り、平均気温では1位の石垣島と3位の那覇(いずれも沖縄県)の間で第2位という、"日常的に暑い"都市なのです。夏の暑さをボクサーにたとえるなら、たまに必殺の破壊力のあるパンチを繰り出すのが熊谷のボクサーで、隙を与えることなく強いパンチをたえず連打してくるのが大阪のボクサーです」
大阪の夏、マジ怖い。
世界初の都市気候モデル
それにしても、「人出7割減で、オフィス街の気温が平均0.13度低下」はどうやって計算されたのだろうか?
「局所的な人工排熱の量は、その一帯の人口などから推定されるエアコンの排熱量と、交通量から推定される車からの排熱量で見積もられます……」
高根さんの口から専門的な解説が淀みなく流れ出てきそうな気配を察知したわれわれは、慌ててストップをかけた。まずは、そもそも気象をどうやってコンピュータで計算するのか、そこから解説してください。
「わたしたちが日常的に接する天気予報は、コンピュータによる数値予報に基づいています。簡単にいえば、地球を覆う大気を膨大な数のブロックに区切って、それぞれのブロックのなかで、物理学の方程式を使って、空気や熱の流れを計算していくのです。投げられたボールがどこへ飛んでいくかは運動方程式で計算できるように、気象の未来も計算でそれなりに予測できるというわけです」
「日本での日々の天気予報でのブロックの大きさは、地表の近くでは水平方向が一辺数km程度です」
くわしい説明は気象庁のホームページ(http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/whitep/1-3-1.html)にもあるそうだ。
「ところが、日本の天気予報で使用している地表のデータには、地形の起伏は反映されているものの、建物などの人工物は、基本的に考慮されていないのです。なので、人工物の密集する都市特有の気候をシミュレートするには、都市専用の数値モデルが必要になるのです」
と、ここで、これまでマイクがミュートになっていた産総研の広報担当者の顔が、画面に映し出された。
「探検隊の皆さん、実は産総研には、20年以上前から取り組み、世界に先駆けて開発してきた都市気候モデルがあります。今回発表した研究成果は、その産総研が誇るレガシーを、高根たちの研究グループが大幅に改良し、最新バージョンを開発することによって得られたものなんです」
せっかくなので、その話もぜひ聞かせていただくことにする。
「では、これはわたしが入所する前の、大先輩たちの仕事なのですが……」
高根さんが受け継いだ。
「都市にある建物を一つひとつ、それぞれの高さや形状などを数値データとしてモデルに組み込んで計算するのはとても大変で、スーパーコンピュータでなければ扱えない作業になってしまいます。現在でこそ、そうした計算も行われてはいますが、モデルの開発が始められた当時は、とてもとても現実的ではありませんでした」
そこで、データ量を減らしながらも、都市ごとの特性はしっかり抽出できる方法はないか、高根さんの先輩たちは探求した。
「その結果、区画ごとに、建物の高さや幅、敷地面積の平均値を出して、すべての建物をその区画における平均的な建物で置き換えるという方法を考案したのです」
高根さんの師匠たちはさらに、こんな難題もクリアしてみせた。
「高い建物が並んでいると、地表への日射量が減衰します。この効果をどう評価するかも問題だったのですが、ここで応用されたのが、森林が気候に与える影響を計算するための『森林キャノピー』という手法でした」
「これは、ある区画に2mの木はどのくらいあるか、5mの木はどのくらいあるか、といった割合をもとに、木々が地上の日射量に与える影響を統計的に計算する方法です。先輩たちはこれと同じアプローチで、つまりビル群を森林に見立てて、『都市キャノピー』という手法を開発したのです。すごいアイデアだと思います」
緑を失ったあとに生えてきたコンクリートの森林というわけか……たしかに面白い。そして高根さんの口調もさらに、ヒートアップしてきた。
「当時、海外でも類似の都市気候モデルは開発されていました。しかし、それらに対し、産総研モデルのもつ最大のアドバンテージが、人間活動の影響が現実的に組み込まれているという点でした。建築学では、ビルの内側と、ビルの外側の空気(つまり外気)との間での熱のやりとりが計算されていますが、師匠たちは、この技術を都市気候モデルに取り込むことに挑戦したのです」
そのためにはやはり、データを極力、単純化しつつ、特性を抽出することが求められた。そこで師匠たちは、計算単位となるそれぞれの区画を「オフィス・商業地区」「コンクリートの集合住宅地」「木造住宅地」の3つに分類し、それぞれで、典型的な種類のエアコンが、典型的な使用のされ方をしていると仮定した。
「こうして、ある区画の人口と、その区画がどれに分類されるかがわかれば、その区画の気温に依存する人工排熱量と電力消費量が計算できるようにしたのです。すなわち、産総研の都市気候モデルとは、建築学のモデリングと植生のモデリング、そして気象学の知見を融合させたものなのです」
高根さんの口から「人口」という言葉が出てきた。ここで、「外出自粛」が関係してくるわけだ。
区画ごとの熱中症リスクも予測可能に
では、今回発表された高根さんの研究は、師匠たちの成果に何を積み上げたものなのだろうか。
「従来は、都市気候モデルに入力する各区画の人口データは、国勢調査ベースの、いわば大雑把な(市町村別で時間変化しない)数値を使用するほかありませんでした。しかし今回、携帯電話の位置情報から集計されるデータを利用することで、格段に精度の高い計算が可能になりました。この点が、この研究の一番の新規性です」
「気候モデルに携帯電話から集計したデータを組み合わせた計算は、おそらく世界でも前例がないと思います。なお、車の排熱については、公開されている交通センサスデータを用いて推計しています」
コロナ禍になってからはニュースなどでしばしば、その日の主要駅や繁華街の人出の増減をグラフやマップにして人々の外出傾向を示しているのを目にするようになった。高根さんが利用しているという「携帯電話から集計したデータ」とは、あれのことだ。
具体的には「モバイル空間統計」と呼ばれる。8000万近いユーザーがいるというNTTドコモの携帯電話の位置が基地局ごとに把握され、集計されていて、500mメッシュ、1時間毎という分解能をもっている。
「このシミュレーションはもちろん大阪以外の都市にも適応できます。人々の行動と都市気候の関係を評価する手法は、これからの都市のヒートアイランド現象や気候変動にどう適応するかを検討するためのツールとして、おおいに貢献できるはずと期待しています」
そう結んだ高根さんは、そのあと、さらにこうつけ加えた。
「このモデルは、数百mから数kmほどの区画ごとの電力消費量を算出することもできます。このようなスケールでの電力消費量は、通常は測定も公開もされていません。この手法によって、テレワークなどの人々の行動変化が、都市区画ごとの電力消費量をどのように変えるかを予測することも可能になったといえます。そのほかに、区画ごとの二酸化炭素排出量や、暑さ指数(熱中症指数)を計算することもできます。将来は、脳梗塞などの循環器系疾患のリスクも算出できるようにしたいと考えています」
近年、天気予報には、花粉に関する予報や熱中症リスクに関する予報など、さまざまな便利な情報が加えられてきている。高根さんたちの研究が発展すれば、近い将来、ビッグデータ時代ならではのまったく新しいタイプの予報が登場するのかもしれない。
"暑い天気"のスペシャリスト
そんな、未来の天気予報についての想像をめぐらせていた隊員Aは、ふと、子ども時代のことを思い出した。
遥か昔の1980年頃、天気予報に「降水確率」という言葉が初めて登場したときのことだ。その響きがなんとも魅力的で、「今日は何%かな?」と毎朝、テレビの天気予報を見るのが楽しみだった(学校でも「何%」が流行り、「今日は先生の拳骨の降る確率30%」なんて級友と言いあっていた。そんな野蛮な時代だった)。高根さんも、子どもの頃から天気予報が好きだったのだろうか?
「わたしの実家は島根県の海の近くで、高校時代は片道30分かけて自転車通学をしていたのですが、自転車を漕ぎながら、登校するときと帰宅するときとでは風の向きが変わっていることが気になったりしていました。わりと子どもの頃から天気への関心はあったと思います。とはいえ、高校の頃は競馬にハマっていたので、将来は競馬関係の仕事がしたいと思っていたのですが」
なんと、高校生にして、ギャンブラーだった!?
「いえ、そういうことではなくて、走っている馬のフォームが美しくて、"くる"ものがあったのです。ところが大学に入ったら競馬熱は醒めて、気象への関心が高まり、気象予報士の試験に挑戦しました。勉強は苦痛ではなかったけれど、3回落ちて、4度目でやっと合格しました」
なんだか、意外なお話。ヒートアイランド現象や熱汚染の前には、どんな研究を?
「博士論文のテーマは『猛暑』でした。2007年8月16日に、埼玉県熊谷市と岐阜県多治見市で気温40.9度が観測され、日本の最高気温の記録(当時)が更新されましたが、この猛暑のメカニズムの解明を試みたのです」
「その後、2020年8月17日、静岡県浜松市で最高気温のタイ記録41.1度が観測されたので解析してみたところ、熊谷や多治見の猛暑についてわたしが提唱したメカニズムでおおむね説明できることがわかりました。簡単にいえば、それらの猛暑は『フェーン現象+地表からの熱供給』によって発生していると考えられるのです」
なるほど、もともと"暑い天気"のスペシャリストだったわけか。これからますます、活躍の場は増えそうだ。では、将来やってみたい研究は?
「人類がほかの惑星の環境を改変して移住する『テラフォーミング』を想定した宇宙都市の研究がしてみたいですね。移住先として最も可能性が高いのは火星です。火星の大気の計算モデルはすでにつくられていますが、移住するなら地下都市を建設するのが最も現実的だろうと思われます」
「産総研では分野融合が活発になってきていて、最近は地質学の研究者とも交流をもっているのですが、将来、テラフォーミングの研究に応用できることはないかな、と密かに考えています」
いつか人類が地球に住めなくなるとき、宇宙都市建設は必須のプロジェクトとなるであろう。われわれ探検隊は思った。高根さんは、将来の人類を救う研究者になるのかもしれない。その確率を0%と予測することはいまのところ誰にもできない。 (了)