独立行政法人 日本貿易振興機構 千葉貿易情報センター(JETRO千葉)が千葉県と連携し2021年2月3日~5日、2020年度 地域への対日投資サポートプログラム 対日投資ターゲット集中型招へい事業「千葉グローバル・ヘルスケアビジネス・フォーラム2021オンライン」を12か国・地域の43のヘルスケア・スポーツ分野の外資系企業を対象にWebセミナーを開催し、産業技術総合研究所(産総研)柏センターは協力機関として、オンライン講演やメンタリングを実施しました。
「高齢者ケア・スポーツ」がテーマの2月5日に、産総研柏センター 人間拡張研究センター共創場デザイン研究チームの村井昭彦主任研究員が、海外のスポーツ産業に携わる企業に向け基調講演を行い、人間拡張技術について紹介しました。
誰もがアクティブに、健康で幸せに暮らせるようにする人間拡張技術
村井研究員は、人々が健康で幸せであるために、誰もがアクティブになれる社会の実現を目指す、産総研の人間拡張技術の研究について話をしました。
人間拡張技術の研究には、「ヒトを知る研究」と「ヒトを高める研究」という2つの側面があります。
ヒトを知る研究では、ヒトの筋骨格モデルを構築し、ロボティクスにおける運動力学解析技術があり、動きから筋肉の活動を計算・推定することができます。
また、ウェアラブルセンサを使ってヒトの身体機能の計測・解析も行っています。
例えば、シューズにセンサをつけて日常的に計測・解析することで、走り方に合わせたシューズ選びを可能とし、けが予防につなげます。
このような技術により、よく分かってきたヒトの内部の情報に基づき、ヒトに介入してヒトの動作を変容するのが、ヒトを高める研究です。
例えば、従来スポーツをするうえでパフォーマンスを上げるのは本人の努力次第でしたが、この技術によりパフォーマンスを上げられます。
また、成果が出ればモチベーションが上がり、その結果継続してスポーツを行うようになります。
そのための技術の一つとして、運動力学的な整合性を保ちながらデータの生成・解析する技術を開発しています。
シミュレーション上で様々なパラメータを変化させることで、どうすればパフォーマンスが上がるかをあらかじめ知ることができ、その情報をトレーニングに活かすことで効果的にパフォーマンスを上げることができます。
また、シミュレーションにより分かったパフォーマンスの上げ方をロボティクスの制御技術等に基づき、実環境にて実現する技術も開発しています。
ここでは環境である床を可動にしてヒトの動きに合わせて動かすことで、ヒトの身体や運動をやわらかくできることが分かってきました。
このような技術を応用して、ケガの予防や緊張による失敗を防ぐことを目的とし、戦略的創造研究推進事業(さきがけ)にて「DATSURYOKU」というプロジェクトを進めています。
産総研では、ヒトの身体を計測・解析することで内部の状態を把握し、介入によりヒトと環境のインタラクションをデザインすることで、人々の生活の質の向上につなげ、誰もがアクティブに、健康で幸せに暮らせる社会の実現を目指しています。