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柏センター ニュース

2023/06/07

【柏センター】千葉県誕生150周年記念スプリングフェスタin 柏の葉公園 
最新技術体験ブース出展で地域住民の方と交流

「日々の生活に役立つテクノロジーの普及やそれを活用した講座、イベントなどを地域でももっとたくさんやって欲しい」期待の声をいただきました。
スプリングフェスタin 柏の葉公園が2023年5月27日、県立柏の葉公園で開催され、産総研柏センターも出展。
天候にも恵まれ、多くの来場者をお迎えすることができ、地域の方に柏センターについて知っていただくよい機会になりました。

最新技術体験エリア
技術の社会実装を目指す産総研。
人間拡張研究センターでは、柏の葉地域に住む皆さんの協力を得て、技術・サービス開発や実証実験を行っています。

スプリングフェスタ2023 産総研柏センター

この日、産総研のブースを訪れたのは150名ほど。
ご高齢の方から、小さなお子様まで、幅広い年代の方にご来場いただきました。

産総研が出展した最新技術体験エリアでは、腰にセンサをつけるだけで歩行年齢が計測できる歩行分析技術を用いた「あなたの歩行年齢を測定」と、歩道を走れる電動モビリティに、産総研で開発したARマーカ技術を適用し、音声による道案内や運転者の運転技能(レベル)を計測する「電動モビリティで運転を計測」の2つのデモンストレーションを実施しました。
テクノロジーを実際に「体験」し、テクノロジー自体やその価値を身近に感じていただくことのできるエリアです。

今後のサービス実証につなげていきたい研究者にとって、体験された皆さんの反応やコメントはとても貴重です。
来場者の皆さんに楽しんでいただきながら、研究者にとっても大変有意義な機会になりました。


「あなたの歩行年齢を推定」
センサが入ったウェストポーチを腰に装着して10m程度歩くだけで、歩行年齢(参考値)が算出されるというデモンストレーションです。
産総研で取得した歩行データとそれにもとづいて開発した歩行分析技術を活用しています。

歩行年齢を推定

ご家族や友人と一緒に参加して、システムから算出された歩行年齢の結果を見せ合いながら、笑顔で楽しんでいる様子がとても印象的。
実年齢よりも若い歩行年齢が出る方もいれば、実年齢よりも高い歩行年齢が出る方もいらっしゃいます。
なぜそういう歩行年齢が出たのか、歩行年齢分析のメカニズムについても説明することで、ご自身の普段の歩き方に対して、これまで以上に興味を持っていただけたのではないでしょうか。

数値はもちろんですが、それ以上に、「家族や友人と比較して自分は若いのか、若くないのか」ということに対して、とても高い関心を持っていただけたようです。
また、産総研のテクノロジーが、生活者の生活に役立つ姿、皆さんに実際に喜んでいただける姿を目の当たりにし、テクノロジーの社会実装のイメージを持つことができました。


「電動モビリティで運転を計測」
免許等が無くても歩道を低速(時速6km以下程度)で走行できる市販の電動モビリティに、産総研で開発したARマーカ技術を適用して、音声による道案内や、運転者の運転技能(レベル)を計測するデモンストレーションを行いました。

電動モビリティで運転を計測



体験された方のほとんどが、電動モビリティの乗車は初めてでしたが、とても簡単に運転できることに驚いていました。
日常的な利用にはじゅうぶんな運転技能(レベル)であることを確認されて、特に高齢者の方からは、今後、是非とも利用してみたいという声を多く聞きました。

このような電動モビリティが、より低価格で提供されることで、柏の葉をはじめ、将来の街の移動手段として定着していく可能性を確認。
また、ARマーカ技術を使うことで、普通の電動モビリティにロボットのような計測機能や環境認識機能を簡単に追加することができ、楽しい試乗コースを作ることができることも確認できました。

電動モビリティを運転する女性

乗車される前は「私でも、運転できるのかしら?」とおっしゃっていた年配の女性が、走行後に「意外と簡単ですね」と話されたことが印象的でした。

可視化マップにシールを貼る様子


出展ブースには、実際にデモンストレーションを体験した方の意見を集める「みんなの声」可視化マップを掲示し、ご協力いただきました。
今後の運動促進サービスや地域移動(モビリティ)サービスに役立てることが目的です。

スプリングフェスタという市民の皆さんに楽しんでいただく地域イベントということもあり、あらかじめ設定した質問にシールを貼って回答していただく、楽しめる要素も入った形式にしました。

みんなの声可視化マップ


赤のシールは歩行デモ参加者、青のシールはモビリティデモ参加者の回答結果になります。
この日は柏の葉地域の小学校が運動会だったのですが、近隣の様々な地域から多くの方にご参加いただけたことがわかります。
何よりも、体験の感想を絵文字で回答いただく設問(Q4)で、多くの参加者にデモ体験を楽しんでいただけたことがわかり、とてもよかったです。

参加された皆さんの反応や直接いただいたコメントは、今後の調査やサービス検討に役立てていきたいと思います。
また、今後もこういったイベントへの出展やそれを通じた市民の皆さんとの対話を続けていきたいと思っており、そういったイベントの出展内容の企画にも活用していきたいと考えています。

担当研究者コメント

<電動モビリティコーナー担当>
田中秀幸さんと小澤順さん
左から 田中秀幸さん 小澤順さん

田中秀幸さん(人間拡張研究センター生活機能ロボティクス研究チーム研究チーム長)
皆様がとても楽しそうにモビリティ試乗をされているのを見て、「技術で人々の暮らしを楽しく、活力あるものにする」ということが本当にできそうだという実感を得ました。
今後もこうした活動を通じて産総研の活動の認知度を高めつつ、モビリティサービスの実現に向けて取り組んでいきたいと思います。

小澤 順さん(デジタルアーキテクチャ研究センター 総括研究主幹)
今回の、電動モビリティのデモで、多くの方に、体験していただき、とてもよかったと思っています。
多くの方が、はじめて乗車されるパーソナルモビリティであり、今後、日本が高齢化社会を迎えるにあたり、免許返納等により、自家用車が気軽に運転することができなくなったときに、このように、誰もが使える電動モビリティが普及していく可能性があることを感じました。


<歩行計測コーナー担当>

三輪洋靖さん、鳳クァンバックさん、赤坂文弥さん

左から 三輪洋靖さん 鳳クァンバックさん 赤坂文弥さん


三輪洋靖さん(人間拡張研究センター サービス価値拡張研究チーム 主任研究員)
小さなお子様から年配の方まで、多くの方に体験していただきありがとうございました。
予想以上に多くの方にお越し頂き、皆様の関心の高さが嬉しかったです。
また、体験後は、結果に喜んだり、驚かれていた方、熱心に説明を聞かれていた方など、皆様からフィードバックを頂くことができ、実験室の中だけでは得られない貴重な経験をすることができました。皆様から頂いたフィードバックを次の研究に活かしたいと思います。

鳳クァンバックさん(人間拡張研究センター サービス価値拡張研究チーム 主任研究員)
大勢の市民の方々に沢山の笑顔で楽しんでいただけて大変嬉しかったです。
ヘルスケアと科学技術に対する関心は非常に高まっているのだなということを再認識できました。積極的にイベント出展することを通じて市民生活と産総研の持つ先端技術の距離感を詰めながら、今後はレクリエーション的な展示だけでなく、科学技術の発展に直接貢献するような研究実践を市民の皆さんと一緒に進めていけたら嬉しく思います。
どうぞよろしくお願いいたします。

赤坂文弥さん(人間拡張研究センター サービス価値拡張研究チーム 研究員)
COVID-19の影響が長く続き、こういった大規模な地域イベントへの出展は、非常に久しぶりのことだったと思います。テクノロジーの紹介だけではなく、テクノロジーに対する市民の皆さんの反応を見ることができ、いろいろなご意見や感想を直接いただくこともでき、非常に有意義な機会でした。やはり、こういった機会も活かしながら、研究者が積極的に地域や社会に出ていくことが必要だと実感しました。今後も、地域の皆さまとの更なる協働関係が構築できるよう、様々な活動を実践していきたいと思います。


 
国立研究開発法人産業技術総合研究所