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柏センター ニュース

2022/04/12

【柏センター】谷口正樹所長インタビュー 「柏センター2代目所長は、柏の葉のジモティ」


柏センターは2022年4月、稼働から4年目を迎えました。
任期を終え退任された初代所長の廣島洋さんに代わり、産業技術総合研究所(産総研)柏センター2代目所長に就任したのは、産総研イノベーション推進本部から異動されてきた谷口正樹さん。
関西調のイントネーションに柔らかくゆったりした語り口で、直ぐに和歌山県出身とわかりました。
実は、柏の葉にお住まいのジモティです。
「自分の住んでいる街に産総研のセンターができて、まさかそこの所長を務めることになるとは」と驚いた様子。
地元での産総研の認知度を上げたいと、インタビューに協力いただきました。
柏の葉という街について、研究者になったきっかけ、産総研での仕事など、いろいろとお聞きすることができました。
柏市にお住まい、お勤めの皆さんはもとより、進路選択を考えている中高生の皆さんにもご紹介したい内容になっています。

谷口正樹所長 正面玄関にて


柏の葉って住んでみたら実際どんな街?
「新しいもの好きには、たまらない所だと思いますよ」
以前はJR柏駅の近くにお住まいだったそうですが、お子さんが生まれるタイミングで柏の葉に引っ越して、10年以上になるそうです。
当時はまだ柏の葉キャンパス駅とららぽーと柏の葉、それにマンションがひとつくらいだった駅周辺も、柏市や三井不動産、UDCK、KOILなどが中心となって、色々な新しい試みをしながら街づくりが進んできました。
インキュベーション施設や東京大学、ベンチャー企業などニュービジネスも盛んです。
「新しいことに積極的に取り組むネットワークが広がっていて、とても刺激の多い街ですね」
柏の葉は街づくりのコンセプトのひとつに「健康長寿」を掲げていて、スマートシティとしての取り組みがいろいろされています。
歩数計測のアプリを使って歩数の上位の人が賞品をもらえるようなプロジェクトの案内があり、ご自身も登録されたのだとか。
「登録しただけなんですけどね(笑)」と笑顔で話します。


研究の道を選んだきっかけは撮り鉄!!
「光の技術者になる」と宣言したのは中学2年生。
ある日突然、父から「自分の人生どうするのか宣言しなさい」と問われることに。
当時「撮り鉄」少年だった谷口さんは、中学2年になる時に自分でお金を貯めて一眼レフカメラを購入していました。
しかし、どうも使い勝手がよくないと感じ、「もっと使い易いカメラを自分で作ろう」、漠然と光の研究者になりたいと思っていたそうです。
もともと小学生の時から理科と算数が大好きな理系タイプだったこともあり、光の技術者になりたいと宣言したことが、研究者を志すきっかけになりました。

光の技術を勉強するにはどうしたらいいのでしょう。
高校2年生の時、所属する部活(合唱部)の合宿に来ていた大学院生の先輩に相談します。
すると、先輩が通う大阪大学工学部応用物理学科の研究室がまさに光の研究をしている場所だったそうです。
目標が定まり、研究室に入るべく受験勉強に励み、見事合格。
希望した研究室に入ってからは、画像解析や画像認識など、画像処理技術の研究に取り組み、博士号を取得しました。

通商産業省工業技術院(産総研の前進)で募集があることを知り、大阪工業技術試験所(現関西センター)材料物理部光学機械研究室の技官として研究を続けます。
2001年の中央省庁再編で、通商産業省は経済産業省となり、工業技術院は独立行政法人産業技術総合研究所(産総研)に組織改正されます。(2015年より国立研究開発法人)
谷口さんは、ヒューマンストレスシグナル研究センターの主任研究員となりました。

谷口所長画像


産総研ってどんな所⁈ 産総研が果たす社会的役割
産総研の運営がどのようにされているのか、マネジメントに興味を感じて、谷口さんは産総研の中枢を担う企画本部への出向に手を挙げます。
なんと上京して配属されたのは、理事長秘書。
理事長の公務先には100%帯同する生活、首相官邸や皇居など普通に生活していたら行くはずもなかっただろう場所に行く機会もあり、「大変だったけれど面白かった」と振り返ります。
理事長が地球環境サミットに参加した時には、南アフリカにも同行。
また、経済産業省だけでなく、文部科学省や内閣府など他の省庁と仕事をすることも多く、いろいろな意味で勉強になったそうです。
理事長秘書を離任した後も、企画本部でのマネジメント業務に自身の適正を感じ、関東に残ることにしたそうです。
振り返ってみると、研究生活は案外短かったですねと感慨深そうに話されました。


技術は社会に出てなんぼ!
イノベーション推進本部で産学官連携の仕事をメインに携わってきた谷口さん。
民間企業へ出向し新会社設立のサポートを担当したこともあります。
企業の研究に対する姿勢が産総研のそれとは異なり、そこで得た「気づき」、研究を実用化することの大切さ、「受け手となる企業があっての研究」という意識の持ち方は、その後の業務に活きています。
産総研イノベーション推進本部地域連携推進部長、産学官・国際連携推進部長、連携企画部長を経て、2022年4月柏センター所長に着任。

自分の開発した技術が世に出ているのを見ると、自分も嬉しいし、家族や身近な人も嬉しいものです。
そういうところをモチベーションにして頑張って欲しいと言います。
地道な研究も大切だし、形にならない技術もありますが、「社会の役に立つ技術開発」を意識すると研究の方向性も自ずと見えてくるもの。
そして技術が世に出ると、共感し、連携やサポートしてくれる人がフィールドに必ず登場してきます。
所長もそのサポートをミッションとしているひとりです。

「柏市で行われている取り組みに、産総研が欠かせない研究所として確立したいですね。
人間拡張研究センターはオリジナリティあふれた、すべての人に関係する研究をしています。フルサポートして、より輝いてもらえる支援部隊になりたいと思っています。」



<プロフィール>
谷口正樹 

谷口 正樹 産業技術総合研究所柏センター所長 工学博士
1988年3月 大阪大学工学部応用物理学科 卒業
1993年3月 大阪大学大学院工学研究科応用物理学専攻博士後期課程修了。


 
国立研究開発法人産業技術総合研究所