IoTシステムの最先端技術展「MEMS SENSING& NETWORK SYSTEM 2023」が2023年2月1日~3日、東京ビッグサイトで開催され、産業技術総合研究所(産総研)人間拡張研究センターも出展し、社会実装に向けた技術シーズの情報を一般に公開しました。
(左)延島大樹さん (右)駒﨑友亮さん (撮影時のみマスクを外しています)
「人が運動した時にどれくらい熱を放出したか、汗をかいたかをセンシングして、熱中症予防などのヘルスケア・ウエルネスケア要素としての活用に期待をしています」と話すのは、延島大樹主任研究員(人間拡張研究センター スマートセンシング研究チーム)。
ウェアラブル熱流センサの開発に取り組む延島さん。
熱流センサは、暖かいものと冷たいものがあった時に、冷たいものに向かって熱が移動していくその熱流束を評価するセンサです。
今回は、カーボンナノチューブを熱電変換の材料として用いています。
その熱電効果を利用して熱流束を電圧の大きさに変換し、センサから出力されている電圧の大きさから、そのセンサにどのくらいの熱が入っていったかを計測します。
薄いフィルム状のセンサになっているので、容易に曲げることができ、人に貼り付けるようなパッチ型のセンサとしてウェアラブル化できるのではないかと開発しているそうです。
こうしたセンサを使って、人から放出される熱量を評価することにより、その人の体調や運動強度などを評価できるようにしたいと延島さんは言います。
熱流センサを組み合わせることで、貼るだけで体の深部の体温がわかるセンサにもできるので、日常的なヘルスケアなどへの応用にも期待です。
ウェアラブル発汗センサの開発に取り組むのは、駒崎友亮研究員(人間拡張研究センター スマートセンシング研究チーム)。
湿度を測るセンサで、湿度の変化によって誘電率が大きく変わるような新しいゴム状の材料の開発が技術のベースになっています。
このセンサを例えば衣服の内側に縫い付けたり、貼り付けたりして、衣服の中の湿度の変化をみます。
衣服の中の湿度の変化とは、汗をかいたことによる湿度の増加になるだろうという考え方で、湿度の変化からかいた汗の量を推定します。
汗の発汗具合を見て、運動した時にどれくらい汗をかいたか。
例えば体温や熱流などと同時に測った時に、体温は上がっているのにうまく汗がかけていないなら、熱中症になりかけていますなどのアラートを事前に検知するなどの応用が考えられます。
こうした用途で、ウェアラブル化することで常時計測することが可能になります。
事前予知や日々の体調変化をモニタできるようなセンサを開発しています。
2023/2/2取材