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柏センター ニュース

2023/02/08

【HARC】社会実装に向けた技術シーズ紹介④ 遠隔リハビリのための多感覚XR―AI技術基盤構築と保健指導との互恵ケア連携

IoTシステムの最先端技術展「MEMS SENSING& NETWORK SYSTEM 2023」が2023年2月1日~3日、東京ビッグサイトで開催され、産業技術総合研究所(産総研)人間拡張研究センターも出展し、社会実装に向けた技術シーズの情報を一般に公開しました。

蔵田武志副研究センター長
蔵田武志副研究センター長(撮影時のみマスクを外しています)
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「こちらのプロジェクトは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務で、産総研、京都大学、東京大学、セイコーエプソン㈱、㈱エブリハが参加して行っています」と話すのは、蔵田武志人間拡張研究センター副研究センター長。

脈拍や血中酸素濃度などを測るバイタルセンサを作っている企業や、リハビリの事業者と連携して、遠隔でできるヘルスケアサービス、主にリハビリテーションを実現するために、AIやXR技術を活用しましょうというプロジェクトです。
蔵田さんは、主にこのプロジェクト全体の設計を担っています。

リハビリの課題のひとつに、「継続」ということがあります。
継続して取り組めばリハビリの効果が上がることがわかっている場合、その「ヤル気」を引き出す、維持するための仕組みづくりをAIやXR技術を使って取り組んでいます。

人間拡張研究センターの技術、例えば金澤周介主任研究員のフレキシブルセンサと尾形邦裕主任研究員・今村由芽子研究員のアルゴリズムを使って利用者の身体の動きを測り、東京大学のVR技術に基づく錯覚を利用したリハビリを行い、ヤル気を引き出すというものです。

学習などにおいても同じですが、心理学ではモチベーションが高い時に取り組むと効果が出ると言われています。
バイタルの情報と位置情報、感情分析などを組み合わせ、使用者の日常の感情状態の解析にも取り組んでいます。
「今、気持ちが沈んでいる」とか「ポジティブになっている」などのデータが取れると、リハビリのスケジューリングや、どういうリハビリがヤル気を起こさせやすいかなどの推定ができるようになると考えています。

「どんどん継続して健康になってもらいたいですね」と話す蔵田さん。

常時モニタリングによる心身状態推定

人間拡張研究センターは、ひとつの研究ユニットでありながら、デバイス、VR、ロボット、心理学、サービスなど多様な分野の研究者がそろっていて、高い専門性と多様な視点が融合し、研究を進めています。

さらに本プロジェクトのように、所内だけではできないことを5つの組織が合わさったことでできることの面白さについて、蔵田さんは「総合知的なアプローチで取り組むことができるメリットを感じています」と話していました。

 
2023/2/2 取材
 
 
 
国立研究開発法人産業技術総合研究所