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柏センター ニュース

2024/09/04

【柏センター】「働く」を科学する ちば子ども大学講座を開催しました

「なりたい職業は?」
ワークショップ最初の取り組みは、今、自分がなりたいと思っている職業を書いてみる作業です。
「働く」を自分ごととしてとらえるところからスタートしました。

講座風景

さわやかちば県民プラザが主催する「ちば子ども大学」に2024年8月23日、産総研も協力機関として柏センターで講座を開催しました。
「ホンモノから学ぶ、ホンモノ体験」と銘打つ「ちば子ども大学」は、千葉県内の小学4年生から中学3年生を対象に、多様な専門家が講師としてプログラムを提供する体験型のワークショップです。

この日、10人の小中学生が保護者と共に柏センターにやってきました。
講師は、人間拡張研究センターの蔵田武志副研究センター長。
いつもは多くの専門家や企業の方たちの前で話をしている蔵田さんですが、小中学生にどうわかりやすく伝えるか、準備した資料には工夫がいっぱいでした。

「働く」を科学する
・大人はなぜ働くのでしょう?
・うまく働くにはどうすればよいのでしょう?
・働いている様子を科学的に捉える方法は?
・将来、人間とAIは職場でどんな関係に?
講義やワークショップ形式で、こうした疑問に触れていきます。


講義を受ける子供たち

働き方の質(QoW)を高めるために、どうやって「しごとを測る」のか、色々なアプローチ方法があることを紹介しながら、人間拡張研究センターの研究を紹介します。

令和2年に実施された国勢調査の結果に基づき、現在の労働力の状態や就業者の傾向について解説し、今後どのような職業に就く人が増えそうかなどの予測を立てることも、将来の職業選択のヒントになると話しました。

しごとを測る!?
うまく働くには、「生産性」と「働き方の質(QoW)」がポイントになります。
蔵田さんたちの研究チームでは、働く人の健康・働きやすさ・働きがいで構成される「働き方の質」を測る技術を研究開発しています。

受講生の様子

―心を測る絵文字―
何気なくLINEやチャットなどで使っている絵文字ですが、絵文字は感情(メンタル・エモーション)を知ることができるツールになり、絵文字を使った調査研究を行っています。
今回のワークショップでは、蔵田さんの指示で、用意されたA3の白い紙に絵文字シールを貼っていきます。
 
絵文字シールを貼る子供たち 絵文字シールを貼る参加者



絵文字の持つ意味を理解したところで、実際に柏の葉エリアで実施した日常生活調査事例について紹介しました。

―行動を知る―
作業効率を上げるためには、どこで、どれくらいの時間、どんな行動をしていたかを測ることが必要です。
屋内での位置を測る(屋内測位)技術について解説し、その理論を理解するための作業として、紙面での宝探しに挑戦しました。

問題に取り組む参加者


問いは全部で4問。少しずつ難易度が上がっていきます。

解説をする蔵田武志副研究センター長

AIやロボットを導入したら、生産性と働き方の質はどう変わる?
蔵田さんの研究チームが関わったロボットの導入事例を紹介し、しごとを測る技術によって、人とロボットの作業分担の方法や、働き方の質がどう変わったかを解説しました。

参加したこどもたちからは、
・身近な情報や表情を分析し、まとめていることがわかりました。分析をもとにアバターやロボットに活かしていることを知りました
・「働く」ことを様々な方法で科学することによって見えないことが見えてきたので、「科学すること」ってすごい、面白いと思いました。
などの感想が寄せられました。

休憩時間には、癒し系アザラシ型ロボットのパロと触れあい一休み。
 
パロと遊ぶ子供たち パロと遊ぶ参加者




蔵田武志副研究センター長 コメント

「働く」をテーマにした初めての試みだったので、興味を持ってもらえるか不安でしたが、なんとか重責を果たすことができました。
なるべく手と頭を動かしてもらおうと仕込みに励みました。
なりたい職業、なれそうな職業を考えてもらったり、働いている様子を測る方法を学んでもらったりしました。
参加者世代(小中学生)が大人になった時に、どんな仕事が残っているのか、新たに生まれるのか、AIやロボットは仲間なのかライバルなのか、というようなことを考えるきっかけになったとしたら、ひとまず成功だったのかなと思います。



谷口所長コメント
 
今年のテーマは少々、難しいかなと思いましたが、皆さん真剣に取り組まれていました。
こういうイベントで「科学」や「研究」を身近に感じてもらえるといいですね。

 

 
国立研究開発法人産業技術総合研究所