「サイバーフィジカルヒューマンによるヒト運動シミュレーション」
鮎澤 光さん
人の動きをシミュレーションするサイバーフィジカルヒューマンという技術を使い、ロボットで人の動きを模擬したり、デジタルヒューマンを使って人の動きを解析したりして、様々な分野に応用できればと鮎澤さん。
たとえば、スポーツでトップアスリートはどうやってそのパフォーマンスを発揮しているのか調べたり、働いている時の体の負荷をモニタリングしてヘルスケアに貢献したり、腰が楽になるなどの人間中心の視点で工業製品を設計したりなど、色々な技術に応用できると話していました。
鮎澤さんにとっての人間拡張とは:人の動きをシミュレーションできる技術を使って、人の動きに関連する技術や応用分野をどんどん増やして、人のできることやりたいことを拡張できたらと思って研究しています。
「データを軸としたビジネス共創の試み」
村井 昭彦さん
北陸デジタルものづくりセンターにおけるミッションとして、地場産業である繊維産業の活性化を目指し「製品+データ」による新たな製品価値の創出を考えていると話す村井さん。
自治体や企業の協力を得て、ふくい桜マラソンの参加者にセンサ+ランニングウェアを身に着けて走ってもらい、その人の走り方を解析してフィードバックをしています。
ウェアの着心地がいいだけではなく、このウェアに装着されるセンサを使ってデータが蓄積されると、より速く走れるようになるとか、より健康になるといった価値を創ることで、さらに製品の魅力を訴求することを目指しているといいます。
村井さんにとっての人間拡張とは:私が幸せになることです(笑)活き活きとした社会の実現には、まず個々が幸せになることが大事。使うことで楽しい、ワクワクするようなコトを生み出す技術が人間拡張だと思います。
Walk Engagement:プロセス志向Well-Beingから見る歩行習慣
鳳 クァンバックさん
プロセス志向の視点でウェルビーイングを研究をしていると話す鳳さんは、歩行習慣を例に説明してくれました。
歩く過程のなかで楽しみをみつけるというのもプロセスで、人は健康だけを目指して生きているわけではないので、10000歩達成できなくても、7000歩歩く過程のなかで良いと感じることがあれば、生き方においてはその方がよい可能性もあります。
それを整理するためのデータを取り、他のチームと連携してどう介入するといいか、どういう生活がウェルビーイングと感じるか、考えるためのフレームワーク作りをしています。
鳳さんにとっての人間拡張とは:自己研鑽。個々人に固有の能力や機能が拡張されることが理想的だと考えます。人とテクノロジーの融合が拡張技術の要点ですが、その中でも自分は(テクノロジーの発展よりも)人間固有の能力を拡張する立場にかなり寄っています。
「介護サービスにおける見守りサービスの受容性」
三輪 洋靖さん
三輪さんは、介護の見守りサービスを使うには自宅や介護施設にカメラやセンサの設置が必要ですが、設置に対して心理的に受け入れられるかをオンライン調査して、どういったセンサならいいか、何に期待しているかなどの分析結果について説明してくれました。
公共性の高い所は受け入れられやすい、音声系のセンサ・情報についてはセンシティブに感じる人が多い、介護経験のある人は受け入れやすいなどの結果が出たそうです。
また、事業者は技術開発に注力するだけでなく、どう受けいれてもらうかを考えて行かなければならず、テクノロジー全般に対する受容性を高めるポイントについて紹介していました。
三輪さんにとっての人間拡張とは:サービスの価値を高めることで、我々のできることが増えていくことです。
人間拡張研究センターシンポジウム HARCS2024 取材レポ「人間拡張とは」④へつづく
人間拡張研究センターシンポジウム HARCS2024 取材レポ「人間拡張とは」①