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2020/12/10
【HARC】多様な分野で活用できる可能性 「立体的な電子回路を作り出す新規プロセス技術」
「電子回路を簡易に立体成形する技術」(2020年11月30日発表)を開発した金澤周介研究員(人間拡張研究センタースマートセンシング研究チーム)は、その技術を使って作製した立体回路を初めて一般に公開しました。
IoTシステムの最先端技術展「MEMS SENSING& NETWORK SYSTEM 2021」が2020年12月9日~11日、東京ビッグサイトで開催され、産業技術総合研究所(産総研)センシングシステム研究センターと人間拡張研究センターのセンシング技術開発に携わる研究チームが出展し、来場者に説明を行いました。 今回、金澤研究員ら(*1)が開発した技術は、多彩な立体形状を持つ電子回路を作製できる新規プロセス技術です。 「熱投影成形法」と名付けられたこの技術は、樹脂シートに温度分布を持たせることで、局所的に樹脂の変形を抑制して立体成形を行えるのが特長で、半導体チップやコンデンサなどの部品が実装された回路にも適用が可能です。 立体曲面に電子回路が組み込まれた構造物は、従来は、樹脂を立体的に成形した後で配線形成や部品の実装を行う必要がありましたが、「熱投影成形法」では、樹脂の平面上に回路を作製した後に立体化を行うため、既存の実装プロセスと相性がよく、大型化や量産化にも適しています。 金澤研究員は、研究のスパンは大体1年と決めているそうで、この樹脂平面上に作製した電子回路を立体化するという研究テーマも「スタートから課題を解決しながら発表まで1年くらいですね」と笑顔で語ってくれました。 今回開発した技術によるLEDパネルの立体成形の動画は公開されていて、金澤研究員は「この動画には自分のヒューマニズムが出ています」と話します。 チップを破損させずにパネルを立体成形する様子は、板前が魚の活け造りを作っているイメージなのだそうです。 こちらは「高精度・高感度ひずみセンサによる風の可視化」技術についての展示です。 フレキシブル・ウエアラブルな応用が可能なひずみセンサも、金澤研究員らが想定していた分野以外にも応用先が広がりそうな気配です。 同じブースで目を引いたのが、フレキシブル実装研究チーム(センシングシステム研究センター)が出展していたロボットハンドです。 このロボットハンドの指先には、パッチ型触覚センサが装着されていて、物を掴んでいることを知ることができます。 このセンサも柏センターの施設内で作製されています。 このほか、様々な物体表面へのセンサ設置を可能とする技術として伸縮配線や任意形状センサ等の開発も行っています。 これらは、モノのIoT化の加速に寄与すると考えています。 (*1) 金澤周介(人間拡張研究センター兼センシングシステム研究センター) 牛島洋史(人間拡張研究センター兼センシングシステム研究センター) 尾形邦裕(人間拡張研究センター兼ヒューマンモビリティ研究センター) 植村聖 (センシングシステム研究センター兼人間拡張研究センター) 延島大樹(センシングシステム研究センター兼人間拡張研究センター) 駒崎友亮(センシングシステム研究センター兼人間拡張研究センター)
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