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2022/02/02

【HARC】社会実装に向けた人間拡張研究センターの技術紹介⑥ 任意形状触覚センサの開発と社会実装への取組み

IoTシステムの最先端技術展「MEMS SENSING& NETWORK SYSTEM 2022」が2022年1月26日~28日、東京ビッグサイトで開催され、産業技術総合研究所(産総研)人間拡張研究センターも出展し、社会実装に向けセンシングデバイス、電池、高精度マーカーなどの研究成果を一般に公開しました。


展示会で説明する植村聖総括研究主幹
植村聖総括研究主幹(撮影時のみマスクを外しています)

さまざまなモノや人をIoT化することを目的として、伸縮性のある配線やセンサを開発し、身の回りに存在するさまざまな複雑な表面や、人やロボット等の動くものにデバイスを装着できる、任意形状性のあるセンサデバイスを作製しています。
SIP(第2期戦略的イノベーション創造プログラム)という国家プロジェクトの研究成果について説明するのは、植村聖総括研究主幹(人間拡張研究センター)。
SIPでは産学官が連携し、社会課題の解決と経済発展の両方を実現するための技術開発を進めています。
そのため、研究開発成果の社会実装が非常に大事となり、ここで開発した技術がどう使われるかということが重要なポイントになってきます。


例えば、さまざまなモノを柔軟な動作でピッキングすることができるソフトロボットハンドに圧力センサを装着しました。
これにより、人の触覚のようにモノを掴んだ感覚の情報を得ることができます。
この触覚情報をロボットの制御にフィードバックすることで、これまで人でしかできなかった繊細な作業を代替することができ、労働力不足という社会課題を解決するひとつの手段になります。

ソフトロボットハンド


またグローブにセンサを装着することにより、人の作業時のモノを掴んだ触覚情報を得ることができるようになります。
これにより作業時の掴んだ触覚の見える化や遠隔でのデータ利用が可能となります。
これにより、匠の技の技能伝承や遠隔での繊細なロボット制御など応用が期待されます。

センサを装着したグローブ

これまで作業に関するセンシングと情報化はカメラ等の外側からの観察で行われてきましたが、モノを掴む接面の情報は見ることができませんでした。
そういったこれまで見えなかった触覚などの感覚をセンシングできることは、これまで伝えられることができなかった情報を伝えることができるということであり、さまざまな用途において大きなメリットがあると思われます。

今後様々なサービスの分野で、接面のセンシングをしたい方たちにこの技術を提供し、社会課題の解決とサービスの社会実装に繋げていきたいと考えています。




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国立研究開発法人産業技術総合研究所