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2025/02/20

【HARC】社会実装に向けた技術シーズ紹介② ロボットハンドへの触覚付与
人間拡張研究センター  延島大樹

MEMSセンシング&ネットワークシステム2025、NANO TECH2025などの展示会が2025年1月29~31日、東京ビッグサイトにて開催され、産総研からも多くの研究者が出展していました。柏センターで勤務する研究者たちの展示の様子をご紹介します。

武居淳研究チーム長が「人間の身体を測るセンサ類をロボットに応用」と紹介したのが、延島さんのロボットハンドへの触覚付与の研究です。
触覚センサを使ったロボットのグリッピングやピッキングの高度化と、作業用ロボットへの後付け装着について紹介いただきました。

延島大樹主任研究員



ロボットハンドの指の腹の部分に触覚センサを付与し、圧力分布を測ることができる圧力センサを実装しています。
物をピックアップする時に指の腹に物が接触すると、握っている時の圧力や形状分布がわかるので、触覚センサの入力信号を活かして、ピックアップ時のグリッピングを制御してあげるフィードバック機能を検討しています。
例えばスーパーにおける品出しや、工場の製造ラインに雑多な部品が向きや位置も雑多に置かれているような場合に、このフィードバック機能が役に立つと考えています。
ロボットハンドに1㎏の分銅を持たせた後に、柔らく軽いスポンジを持たせて、接触センサで力のかかり方を可視化することで物の重さや柔らかさを検知して、その情報から動作へのフィードバックをするというデモンストレーションです。

この触覚センサを使うことで、物の柔らかさを検知したり、物を持ち上げたり、移動させたりする最中に、ずり落ちそうになるのを予め検知して、もう少し強く握るとか、落下を予防するなど、ロボットのグリッピングやピッキングの高度化を図ります。

延島大樹主任研究員


実はこのセンサ、簡単に外着けできるようになっています。
ロボットハンドの指の腹にシート状のセンサを張り付けるだけなので、既に活動しているたくさんのロボットに、こういう機能を付与する形で社会実装しようというコンセプトのもと、NEDOのプロジェクトとして、色々な産業用ロボット開発に携わる技術組合と一緒に取り組んできました。
5か年計画で進めてきて今年が最後の年になりますが、ある程度デモンストレーションができる段階になり、成果がまとまってきています。
現在は、伸縮可能な配線でロボットが自由に動いても、断線したり動きを阻害したりしないような形で、センサ実装の研究をしています。

産業用ロボットを扱っている色々なメーカーさんに使ってもらいたい。
わたしたち産総研やNEDOプロで作った技術を活かして、現在使っているロボットに後付けでセンサを装着し、ロボットの性能を上げてあげませんか?
印刷技術で作ったセンサは、カスタマイズ性が高く、多様なサイズで作りやすいため、指のサイズも変えることができるうえ、指の形状にも対応してセンサを作ることができます。
後付けで実装しやすいのは魅力だと思います。



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