「自分が住んでいる・暮らしている街がもつ最先端の技術を、これだけ楽しみながら実感できる街は他にはないだろうな」
イベントを担当した実行委員による率直な言葉です。
「KASHIWANOHA INNOVATION FES 2022」(主催:柏の葉イノベーションフェス実行委員会)が2022年10月22日(土)~30日(日)、リアルとオンラインで開催されました。
テーマは「NEW REAL.」。
コロナを経てデジタル化が進んだ今、あらためてリアルであることの価値を見つめなおすイベントです。
これまでの柏の葉イノベーションフェスでは、柏の葉で既に起きているイノベーションを世界に発信し認知を広める取り組みを行ってきました。
今回は、一歩進んだチャレンジングな取り組みとして、まだこの世にない体験を、柏の葉の関係者一丸となってゼロから創り出す、という企画となっています。
実行委員会には、この取組を通じて、「住民や来街者の方々が、柏の葉で起きている最先端のテクノロジーに身近に触れ合える機会を提供すること」「他の街では実現することが難しいチャレンジングな企画も柏の葉であれば実現ができること」を伝えたいという思いがありました。
リアルイベントのひとつとして、柏の葉の街の研究者とイベント参加者による身体の可能性に挑戦する実証実験が10月29日(土)・30日(日)、KOIL TERRACEで行われました。
(右)持丸正明研究センター長 (左)村井昭彦研究チーム長
柏の葉の街の研究者として、産総研人間拡張研究センターの研究者たちが携わってきた実証実験。
しかも人間拡張とウルトラセブンのコラボレーション!
柏センターから谷口正樹所長と広報担当が、実験に体験参加してきました。
ウルトラセブン55周年記念
特別指令 エレキングの進行を阻止せよ―身体の可能性に挑戦する実証実験-
ウルトラセブンとは
1967年‐1968年に放送されたテレビドラマのヒーローキャラクター。
地球侵略を狙う宇宙人や宇宙怪獣から地球を守るために、M78星雲からやってきた宇宙人。
地球人としての仮の姿で活動するが、怪獣が現れると『ウルトラアイ』を装着しウルトラセブンに変身する。
体験の概要
柏の葉の街に電力を求めて現れた宇宙怪獣エレキングの暴走阻止のミッションを受け、人工筋肉を装着して身体能力を拡張、さらにウルトラセブンに変身してエレキングの進行を止めるという体験をします。
長い尻尾が特長のエレキング。
谷口所長が尻尾に巻き付けた捕縛ロープを引っ張って、進行を止めようとしますが。。。
ロープを引っ張る時間は10秒。
体重が25,000tもある(諸説あり)エレキングを引っ張れるわけもなく、あえなく撃沈
そこで人工筋肉スーツを装着し、再度エレキングに挑みます。
人工筋肉(圧縮空気を供給することで縮む力を出せるアクチュエータ)スーツを使うことで、どこまでパワーアップできるかを検証する実験です。
傍で見ていても、パワーアップしたことがわかりました。
しかし10秒引っ張るも、エレキングを止めることはできません。
そこでウルトラセブンに変身するために、ウルトラアイを装着。
するとモニターには、ウルトラセブンの姿が。
ウルトラセブンが自分のアバターとなって、同じ動きをするため、ウルトラセブンに変身した気分を味わうことができます。
ヒーローに変身した気分で、再度エレキングに挑むこと10秒。
作戦成功!
谷口所長がエレキングの進行阻止に成功しました。
人工筋肉スーツのパワーは変わらないのに、自分がウルトラセブンに変身することで、楽に力を発揮できるかを検証する実験です。
これをプロテウス効果というそうです。
少々、お疲れ気味のご様子。
実はこの体験、綱引きのように腰を落として全身でロープを引くのではなく、上腕の筋肉だけで引っ張るため、かなり腕に負荷がかかります。
さて、掲載している写真を順にご覧いただくと、所長が立っている台の周りのLEDの色が変わっていることにお気づきでしょうか。
これは、産総研にて開発されたDATSURYOKUセンサーにより推定される筋力が可視化されたもので、筋力が大きくなると青→白→赤に変わります。
このデバイスは、村井チーム長が代表を務めるJSTさきがけのプロジェクトで開発されました。
従来の筋電計とは異なり、フレキシブルなセンサーにより計測される筋肉の形状変化から筋状態を推定し、長時間の安定した筋力の推定を可能にしています。
広報担当も人工筋肉スーツを装着して体験してみました。
トータルでたった30秒ロープを引っ張っただけですが、後からジワジワと上半身の疲労感を感じ、いい運動をした後の心地よさがありました。
実験に参加してみて、個人差はあると思いますが、
人工筋肉を装着して、パワーアップした自分をリアルに感じることができ、
アバターに変身して、自分の動作でヒーローが動くことで、ワクワクしました。
持丸正明研究センター長は、人間拡張研究センターの研究テーマのひとつとして、人が継続してスポーツをするための仕掛けづくりを挙げています。
この体験プログラムでは、自分の筋力が可視化されているため、数値としての目標設定ができます。
アバターに変身することで、ワクワク感があり、モチベーションが上がりました。
短い時間で、運動した適度な疲労感があり、また挑戦したいという気持ちになりました。
これなら、自分でも運動を継続できそうな気がしました。
今回のイベントでは、体験者だけでなく、その身内の方、周りでそれを見守るギャラリーの方々が一体となって声援を送り、会場が一体となっていました。
イベントを実施した実行委員は、「デジタルだけでは決して生まれない、偶発的な出会い、五感を通じた印象的な記憶、周囲との一体感などが感じられる、まさにリアルであることの価値を体現したひとつのイベントになった」とコメントを寄せてくださいました。
谷口所長コメント
休日の朝でしたが、ハロウィンイベントで仮装したお子さんたちが目に付く駅前を抜けて、
KOIL TERRACEに行ってきました。
柏の葉はアクティブな街だと実感します。
この「超人」技術については、予備知識は有ったのですが、実際に体験してみると想像以上でした。
技術の威力が良くわかりました。
画像や数値につい乗せられて、頑張ってしまいました。
取材協力:柏の葉イノベーションフェス実行委員会