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お知らせ

2025/05/23

【柏センター】ニットセンサウェアを装着して足踏みレースで競争だ!最速タイムは陸上部の女子中学生。最新技術体験エリア@柏の葉公園スプリングフェスタ2025
 


中学生対決
陸上部の中学生対決



「はぁ~疲れたぁ」
みんなニコニコしながら、笑顔でへたりこみます。
県立柏の葉公園が主催する‘’スプリングフェスタ2025“が5月18日(日)、柏の葉公園北エントランスエリアで開催され、産総研柏センターもブースを出展して最新技術のデモンストレーションを行いました。

*人間社会拡張研究部門(4月から新しい研究組織になりました)の生活機能ロボティクス研究グループが今回出展したのは、ニットセンサウェア(パンツやスカート)を用いたステップモーションを測る技術です。


出展ブース
準備中の篠﨑さん


公園でのイベントはお子さんの来場が多いため、子供用サイズのウェアを準備。
人の身体を計測するニットセンサを研究開発している泉小波さんは、デザイン設計から最後の糸処理まで全部自分で作成。
ファッションなんて関心なかったと笑う泉さんですが、とっても可愛いデザインのウェアになっていました。


ニットセンサウェアを開発する泉小波主任研究員
ニットウェアセンサと泉さん



ウェアには特殊な糸が編み込まれていて、足踏みするたびにウェアが伸びたり縮んだりして、電気信号を読み取ります。
その技術を応用して、ウェアとPCをデバイスで接続し、モニターに映ったF1カーを操作するデモンストレーションになっていました。

2人同時に計測できるとあって、兄弟姉妹、親子、カップル、友達同士で対決して、とても盛り上がりました。
足踏みも腿を高く上げた方が車を速く走らせられるので、短時間でもみんなクタクタ。
それでも、体験者の皆さん「楽しかった」と言ってくださり、(コンピューターとの対戦に)何度もリベンジに来るお子さんもいらっしゃいました。

 
母子対決 父子対決
母子対決 父子対決
友達対決 研究者対決
友達対決 研究者対決



記録は4つのレベルに分かれていて、自分のレベルにシールを貼ります。
10秒以内は「ハヤブサ級」、10秒以上30秒未満は「チーター級」、30秒以上60秒未満は「うさぎ級」、60秒以上は「かめ級」で、ほとんどの方がチーター級でした。
最速だったのは、中学1年生の陸上女子。


最速記録

記録はなんと6.65秒。
さすが足を上げて走るのは、日頃のトレーニングで慣れているようです。
 
「いつもこういう研究をしているのですか?」
体験しているお子さんの様子を見ていた保護者から質問が出ました。

このソフトウエアを開発したのは、篠﨑真良さんです。
篠﨑さんは人の命を救う仕事をしたいと思う中で、医療従事者が使うものを開発しようと研究者になりました。
産総研に入ってからは、センサ技術を使って人々の生活機能の拡張につながる研究をしていて、泉さんが開発したニットセンサウェアを活用したモニタリングシステムの開発に取り組んでいます。
今回開発したゲームは、モニタリングシステムとは目的が異なりますが、システム構成には共通点があるそうです。


計測中の篠﨑さん

今回のシステムでは、ニットセンサウェアを着用したユーザーの動きをデータ化し、PCに送信します。
PC上でデータをリアルタイムで処理し、その結果をユーザーにフィードバックします。
ゲームでは、フィードバックがF1カーの速度として可視化される仕組みになっているわけです。
今回のゲーム開発を通して、今後の研究にも応用可能な基礎的なシステムを構築できたと篠﨑さんは言います。


ゲーム開発で苦労した点は、一からシステムを構築するには相応の時間を要したこと。
また、スプリングフェスタでは、比較的小さなお子さんから大人まで幅広い年齢層の来場者が想定されていたため、「誰もが楽しめるゲーム内容とは何か」を考えるのにも非常に苦労したそうです。
アイデア出しの段階では、チームメンバーの協力も得ながら議論を重ね、その結果、足の動きを使って競争し、足踏みの速度に応じてF1カーを操作するという発想になりました。
さらに、ゲームが盛り上がるよう、コンピュータF1カーが来場者と接戦になるような設定調整にも工夫を凝らしたと教えてくれました。

今後は、同時に対戦できるプレイヤー数を現在の2人からさらに増やすことで、より多くの来場者と一緒に楽しみながら、最新技術を体験・紹介できるゲーム開発を目指していきたいと意気込みます。


音声ARでカエルの歌
「かえるのうた」の輪唱に挑戦


ブースには、他にも3月に開催した産総研柏センターミニ技術展示会でお披露目した、音声AR技術を使って「かえるのうた」の輪唱にチャレンジするゲームも楽しんで体験いただけました。

体験者も研究者も、みんな笑顔で盛り上がったイベントデーになりました。
 
産総研柏センターが地域イベントに感じる魅力
研究者にとって、地域イベントへの出展はどのような魅力があるのでしょう。

篠﨑真良さん
今回のゲーム開発を通じて、自身の研究に関連する技術を実践的に習得できたことは、大変有意義な経験となりました。
柏の葉公園のフェスタに参加する最大の魅力は、自らの製作物に対する来場者の反応を、間近で直接感じ取ることができる点です。
今回も、多くの方々にレースゲームを体験いただき、皆様の笑顔に触れられたことを心より嬉しく感じています。


泉小波さん
皆さん、どうやって着るのか?これは何なのか?という疑問無しに、(ニットセンサウェアを)ためらいなく着用してくれたので、驚きました。
少なくとも、一般的な衣服の形状として認識してもらえているようで、良かったです。
今後、さらに可愛くてお洒落なニットセンサウェアを作れるように頑張ります。


田中秀幸さん(生活機能ロボティクス研究グループ長)
春と秋のフェスタへの出展も今回で連続5回目となりました。
毎回、来場者の皆様からいただく率直な反応が、新たな課題や可能性の発見につながっており、それが技術の改良や応用の原動力になっています。
また、研究に不可欠なシステム構築力や説明力の向上にもつながっています。
秋には柏センター全体を会場とする一般公開が開催されますので、ぜひ足をお運びいただき、体験を通じて感想やご意見をお寄せいただければ幸いです。




秋(10月予定)には産総研柏センター一般公開を開催します。
ぜひ、産総研の研究を知る機会としてお越しください。

*人間社会拡張研究部門:2025年4月1日に設立された新しい研究推進組織です。




※保護者許可のもと撮影、掲載をしております。ご協力ありがとうございました。





 
国立研究開発法人産業技術総合研究所