(産総研のデモを楽しみにしていたというお子さんと話をする篠﨑真良研究員)
「楽しい!」
体験者が口々に発する言葉に、研究者も嬉しそう。
初めは緊張気味の子どもたちは、体験しながら表情がみるみる変わっていきます。
「あいつ、めちゃくちゃ楽しんでるじゃん」と、真剣に取り組むわが子を見守る保護者から声が出ます。
「どうして」で始まる子どもたちの質問は、研究者にとっては新鮮で、とてもよいフィードバックを得られたようでした。
(鍵盤で音を出す方法を説明する今村由芽子研究員とカメラにポーズで応えてくれたお子さん)
スプリングフェスタ2024が2024年5月25日(土)、バラ園が見頃を迎えた千葉県立柏の葉公園で開催され、産総研柏センターも協力機関として、最新技術体験エリアでデモンストレーションを行いました。
今回出展した人間拡張研究センター 生活機能ロボティクス研究チームによるプログラムタイトルは、「何もない空間から音が出る?高精度マーカが作るバーチャル空間を音で体験しよう!」。
小さなお子さんから、年配者まで幅広い世代に体験いただきました。
(年配のご夫婦もバーチャル空間鍵盤で演奏に挑戦)
バーチャル空間で音楽演奏
高精度マーカにスマホのカメラを向けると、鍵盤の位置によって音が変わります。
コツをつかんでメロディーを演奏する人もいれば、なかなか音を出せずにスマホを縦にしたり横にしたりする人もいます。
家族連れでの参加者が多く、お孫さんと一緒に演奏しながら「不思議だね」と世代を超えた微笑ましいコミュニケーションの場にもなっていました。
「カエルの歌」が演奏しやすいと田中秀幸研究チーム長がアドバイスすると、ほとんどの参加者がドレミファミレドとチャレンジします。
なかには即興演奏を始める強者も現れ、バーチャル空間鍵盤による音楽演奏会になりました。
(即興演奏に興じる姉妹と指揮者風の篠﨑研究員)
特設コーナー バーチャルキャラクターと記念写真
待ち時間を利用して、もうひとつデモを体験してもらおうと、田中チーム長が急遽設けた特設コーナー。
(モニター上に現れたバーチャルキャラクターに喜ぶお子さんと田中秀幸研究チーム長)
モニターに取り付けたカメラにマーカを向けると、モニターには自分と一緒に突如バーチャルキャラクターが現れます。
通常のマーカと、高精度マーカでは、キャラクターの動きの違いが明確にわかるため、大人からは「日常生活のどんな場面で使うことを想定しているのか」といった質問があり、田中チーム長が想定される応用方法について説明していました。
(柏センターの谷口正樹所長もバーチャルキャラクターと記念撮影)
バーチャル世界を音をたよりに探索して地図を作ろう!
今回新しくお目見えしたデモンストレーションは、高精度マーカが掲示された空間をウェアラブルカメラとスピーカーを身に着け歩きながら、音を頼りにマップを作るというものです。
(マップ作りに挑戦するお子さんと尾形邦裕研究員)
首に掛けたウェアラブルカメラで高精度マーカの前に立つと、手元のスピーカーから音が出ます。
音を頼りに、ここは森かな?ここは川が流れているな、ここは学校という風に、あらかじめ渡されたアイテムをマップの上に並べていきます。
そしてどこかに隠されたお宝をひとつ、見つけてマップは完成です。
(マップ作りに挑戦するお子さんと尾形研究員)
エリアの外から見ていても何をやっているのかわからないため、興味をそそられるのか次々と体験希望者が来てくれました。
体験する子どもたちの表情は真剣そのもの。
そして、最後の答え合わせの場面では、みんな目がキラキラしていました。
宝物の場所は変わるため、正解は人によって異なる設定になっています。
「楽しかった」どのお子さんからも達成感が伝わってきました。
(完成したマップの答え合わせをするお子さん)
最後に、谷口所長もマップ作りを体験。
(宝物が見つからず四苦八苦のご様子)
「今年も楽しみにしているよ」
昨年の一般公開に来場された方から声をかけていただきました。
こうしたイベントを通し地域の方と交流することで、産総研が柏にあること、どのような研究をしているところかなどを知ってもらうことができました。
(柏の葉公園のバラ園は見頃を迎えていました)
<担当研究者コメント>
篠﨑真良さん(人間拡張研究センター 生活機能ロボティクス研究チーム研究員)
この度は我々のブースにお越しくださりありがとうございました。
小さなお子様からご年配の方まで、多くの市民の皆様が楽しんでくださり、大変嬉しかったです。
あたらめて、研究者として最新技術の研究開発に対する使命を感じただけでなく、一人でも多くのお子様が研究者を目指したいと思えるような活動を続けていきたいと思いました。
そして、科学技術の発展に貢献し、市民の皆様と協働でより健康で豊かな社会を実現したいと思います。
今村由芽子さん(人間拡張研究センター 生活機能ロボティクス研究チーム主任研究員)
産総研の技術に興味を持って来られた方から、ふらっと立ち寄られた方まで、多くの方にデモを楽しんでいただけて良かったです。
様々な方に体験していただきながら一緒に技術を育てていくことが、今後ますます重要になってくるのではないかと感じています。
秋には柏センターの一般公開など、さらに多くの研究を紹介する機会もありますので、ぜひ気軽に足を運んでいただけると嬉しいです。
尾形邦裕さん(人間拡張研究センター 生活機能ロボティクス研究チーム主任研究員)
柏の葉スプリングフェスタの産総研柏センターのブースまでお越し頂きありがとうございます。
最新技術に触れあえる本ブースの体験コーナーはいかがだったでしょうか。
今後も産総研として皆様の生活に役立つ研究を進められたらと思います。
田中秀幸さん(人間拡張研究センター 生活機能ロボティクス研究チーム研究チーム長)
今回は、「空間を作り空間を分けるツール」としての高精度マーカの機能を説明ではなく、体験によって感じてもらえるようなゲームを出展したつもりです。
(高精度マーカは)QRコードと見た目は似ているけど、使い方やできることは全然違う、ということを少しでも感じていただけたとしたら嬉しいです。
そしていつの日か、このマーカを別の所で見つけたときに「あ、これは柏の葉公園でやってたやつだ!」と思い出してもらえるよう、高精度マーカの実用化・普及に努めたいと思います。
谷口正樹柏センター所長コメント
そこにないはずのものが現れたり、聞こえたりするというのは、不思議でワクワクするものですね。
お子さんたちの好奇心をうまく刺激できていたのではないでしょうか。
最先端の研究成果をいかに日常の中で体験して驚いてもらえるか、研究者の腕の見せ所です。
また、皆様の自然な反応や率直な感想が得られる貴重な場でもあります。
それと、宝探しはいくつになっても楽しいものですね。
秋には産総研柏センター一般公開を予定しています。
ぜひ体験しにお越しください。
※保護者許可のもと撮影、掲載をしております。ご協力ありがとうございました。