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産総研:柏センター ニュース お知らせ

2023/09/12

【柏センター】リアル⇔メタバース行ったり来たり ちば子ども大学講座開催レポ


「歩くと画面の中の人が動くのが面白かったので、また動かせるのがやりたいです」
さわやかちば県民プラザが主催する「ちば子ども大学」に産総研も協力機関として2023年9月2日(土)、柏センターにて講座を開催しました。

ちば子ども大学は、「ホンモノから学ぶ、ホンモノ体験」と銘打って、千葉県内の小学4年生から6年生、中学生を対象とした講座を開催しています。
柏センターの講座には、小学4年生から6年生10人が参加しました。

冒頭のコメントは、受講した小学4年生の感想です。
テーマは「リアル⇔メタバース行ったり来たり」。

専用のスマートフォンを身に着け、タブレット内に再現されたバーチャルな柏センター(メタバース)内の案内に従って、実際の柏センターの施設内を移動します。自分の位置に従ってメタバース内の自分のアバターも移動します。


タブレットを持って歩く参加者

2人または3人でグループになり、タブレットに表示された次の見学場所への案内に従って柏センターの中を探索します。

タブレットの使い方を説明する大槻さん

文字通りリアルとメタバースを行ったり来たりしました。
今年の講座担当は、人間拡張研究センター スマートワークIoH研究チームの一刈良介さんと大槻麻衣さん。
VR(バーチャルリアリティー)や屋内測位技術などを使って人の生活や労働環境や労働の質をより良くするための研究をしています。

参加した子どもたちに、「VRを使ってどんなことができるのか」のイメージと理解を深めるために、今回のプログラムを作ってくれました。
専用のスマートフォンを使った屋内測位技術による案内も、このチームの研究成果です。



人工気候室へ
タブレットの指示に従って最初に向かったのは、人工気候室。
人の健康や快適感に関わる温度や湿度を精密にコントロール出来る実験施設で、違う条件に設定された2つの部屋に入り、暑さ/涼しさの感じ方の違いや不思議について考えます。

人工気候室の説明をする森さん

人工気候室で待っていたのは、認知環境コミュニケーション研究チームの森郁惠さんです。
森さん鉄板ネタの「温度当てクイズ」、参加者の皆さんは当てることができたかな。

廊下の温度は大体28℃くらい。
最初に入った部屋の温度は34℃に設定、皆さんさすがに暑く感じたようです。

人工気候室内の様子


続いて、移動した隣の部屋は25℃に設定。
34℃の部屋から移動すると、実際の温度よりも涼しく感じる人、25℃をぴたりと当てる人、答えはいろいろです。
感じ方に個人差があること、温度を測ることの必要性が伝わったでしょうか。

森さんの説明を聞いている参加者


子どもたち、真剣な眼差しを森さんに向けていました。

身体機能計測室
部屋には8台のスピーカーを設置し、立体音響システムが構築されています。
音の聞こえ方と音が動く仕組みについて説明した後に、この部屋のスピーカーを使って、実際に音が動いて聞こえる感覚を体感しました。

身体機能計測室で音の聞こえる仕組みについて説明する大槻さん


サービスフィールドシミュレーター
「VRで実際に歩くことができるのが楽しかった」と感想を寄せてくれた小学校6年生。
柏の葉キャンパス駅が映し出されたモニターで全方位360度囲まれたバーチャル空間の中を自分の足で歩きます。
この装置も一刈さんや大槻さんが所属する研究チームが研究に使っています。
子どもたちが体験できるよう同研究チームの藤井龍也さんが、準備をして待っていました。

SFSの中を歩く体験をする参加者

この装置は、サービスフィールドシミュレータ(SFS)と呼ばれる装置です。
SFSは、様々な空間をVR空間内に再現し、その空間において人が取る行動を観察・分析するための研究装置です。
床のトレッドミルに秘密があり、360度好きな方向に歩き続けることができます。

体験者はバーチャル空間の中を実際に体を動かしながら歩きまわることができるので、現実の空間を歩いた時と同様に、疲れを考慮した評価実験が行えます。
安全対策のためハーネスを装着し、安全靴を履いて歩きます。

SFSの中を歩く体験中の参加者


脳波でロボットを動かす⁉ bスポーツを体験
bスポーツのbは、brain(脳)のb。
ロボットを動かすだけでもワクワクしますが、手を使わずに脳波で動かすとあって、子どもだけでなく保護者の皆さんも興味津々です。

先ずはデバイスを装丁したヘッドギアを装着し、脳波の波形を測ります。
担当の認知環境コミュニケーション研究チーム 長谷川良平さんは、「波形は指紋と同じで人それぞれ違います」と説明します。
そのため、各人の波形をモニタリングして、データをとる準備から始まります。

波形データを取る準備をしている長谷川さん

初めての経験に子どもたちは緊張気味。
リラックスしないと正しい波形を測れないため、子どもたちの緊張をほぐそうと長谷川さんがジョーク交じりのトークで笑いを誘っていました。

いよいよ本番です。
子どもは8つの項目から、自分がロボットにやらせたいと思う行動をモニターで選びます。
サッカーシュートを選んだお子さんは、モニター上で移動する「これかな」という文字がサッカーシュートのところに来ると、「それだ!」と頭の中で念じます。
するとどうでしょう。

体験者が頭の中で念じた指示に従ってロボットがシュートを決めた

みごとロボットがシュートを決めました!
手を使えない障がいのある方でも、これなら一緒にスポーツやゲームを行うことができます。
「ロボットを自分が思ったとおりに動かすことがとても楽しかった」というコメントが多く、なかには「将来の夢(ロボット会社の社長になる)に向けて勉強ができてうれしかった」というお子さんもいらっしゃいました。

谷口所長を探せ!
プログラムの最後は、閉講式。。。
「谷口所長を探してきてください」の指令に、子どもたちはタブレットを持って走り出しました。
タブレットのバーチャル柏センターには、スマートフォンを持った所長の居場所が案内されています。

タブレットの表示をヒントに谷口所長を探す参加者

「この辺なんだけどなぁ」と顔を上げてリアルな所内をキョロキョロ。

あ、いた!
所長さんたら、服を着替えてサングラスをかけて変装していました。

所長さんを見つけて喜ぶ参加者

「これからもいろいろ調べたい」という感想もあり、「科学」に興味を持ってもらう有意義な機会になりました。


谷口所長コメント

科学は本で読むのも良いですが、体験に勝る教材はありません。
子どものうちから、いろいろ科学に触れる機会をもってもらいたいと思います。
かくれんぼは簡単に見つかってしまいましたが、遊びの要素も大事ですね。



昨年の開催レポはこちら

国立研究開発法人産業技術総合研究所