「楽しかったです!」
笑顔で声をかけてくれたのは、産総研柏センターで2022年9月3日に開催したさわやかちば県民プラザ(千葉県教育委員会)主催「ちば子ども大学」の講座に参加した小学生。
ちば子ども大学とは、千葉県内の小学校4年生から6年生、中学生を対象とした、大学・研究所・企業・関係機関等のその道のプロフェッショナル(ホンモノ)から、楽しく学ぶことができる、子どもたちのための大学です。
産総研は協力機関として講座を提供しています。
さわやかちば県民プラザが柏センターと同じ柏市柏の葉にあるご縁で、柏センターを会場として人間拡張研究センター全面協力のもと、午前と午後の2回実施しました。
参加者は各回子ども10名ですが、同伴されたご家族も多く、大人も一緒に体験し真摯に取り組まれている様子が印象的でした。
絵文字☺"emoji"で心を科学する
講師を担当したのは、人間拡張研究センター 運動機能拡張研究チームの沓澤 岳 研究員。
心理学の博士です。
講座では、柏センターの実験室を見学しながら、4つのデモンストレーションを体験し、何にワクワクしたか、何が楽しかったか、スマートウォッチを使って自分をより探求する体験をします。
温湿度と人の感覚の評価技術(人工気候室)
担当 森 郁惠 主任研究員(認知環境コミュニケーション研究チーム)
温度設定の異なる2つの実験室を行き来し、暑い/涼しいの感覚がどう変化するかを体験しました。
「今、この場所は27℃ 40%程度です。この感覚を覚えておいてください」と実験室に入る前の温湿度を参加者に示す森さん。
実験室の体験を終え、廊下に出てきた時の子どもたちは「あ~、涼しい!」の第一声。
この体感こそが、このデモンストレーションの学びになります。
人の運動と感覚をあやつるロボット技術(運動機能測定室)
担当 村井 昭彦 研究チーム長(共創場デザイン研究チーム)
たくさんのモーションキャプチャーやスピーカーが設置された空間で、立体音響の不思議を体験しました。
写真のお子さんは、村井さんから聞いた説明を確認するように、モニターをチェックしながら歩いていました。
楽しいデモ体験のなかでも、研究者と参加者が真剣に向き合っていることが伝わります。
イメージを形にする加工技術(クリーンルーム前室)
担当 金澤 周介 主任研究員(スマートセンシング研究チーム)
パソコンでプログラムされたレーザー加工マシンを使い、アクリル板から千葉県の人気キャラクターの形を切り出す体験をしました。
装置をのぞき込みながら、硬いアクリル板が鮮やかに切り抜かれていく様子をジッと見つめる子どもたち。
想像したものを実際に作ってみる、できるだけ材料の無駄を減らすなど、ものづくりの話にも興味深くうなずいていました。
マシンが動き終わり、できあがったキャラクターをプレゼントされると、みなニコニコしながら完成品を眺めていました。
働く人を助けるVR技術(サービスフィールドシミュレーター)
担当 大隈隆史研究チーム長 藤井龍也テクニカルスタッフ(スマートワークIoH研究チーム)
全方位型のバーチャル空間(柏の葉キャンパス駅付近の景色)の中で、ハーネスを装着し歩き続ける体験をしました。
「この装置はどんな研究を目的としているのですか?」とデモの様子をご覧になっていたお父さんから質問があり、スマートワークIoH研究チームの研究テーマについてご紹介する機会になりました。
参加者は、デモを体験する度に、腕に装着したスマートウォッチを使って、「今の気持ち」に合った絵文字を選んで登録していきます。
見学ツアー終了後、沓澤さんから絵文字を使った心の科学について解説がありました。
沓澤さんは、自分がどんなことにワクワクしたのか、自分がどんなことに興味があるのか、今日の結果を参考にして欲しいとコメント。
参加者それぞれにデータ解析の結果を印刷した修了認定証が沓澤さんから手渡されました。
修了認定証に印刷されたグラフの見方の説明に、子供たちは真剣そのもの。
心の科学に興味を持ったかな。
沓澤さんコメント
今回のプログラムに参加してくれた子どもたちは、「産総研では今、どのような研究が行われているのか」「その研究がどのように社会に活きていくのか」を直接肌で感じることができたと思います。この講座を通じて、彼らが科学に興味を持ち、将来研究者として活躍する未来に繋がることを楽しみにしています。
谷口所長コメント
実体験に勝る教材はありませんね。皆さん表情が違いました。
将来、研究者を目指してもらいたいし、そうでなくても科学の大切さをわかった大人になって欲しいと思います。
迎える側の研究者にもよい勉強、刺激になるので、こういうイベントは大歓迎です。