「ロボットフレンドリーな社会の実現を支える高精度マーカ」
田中 秀幸さん
単眼カメラで3次元位置・姿勢計測することができる世界最高精度を誇る高精度マーカの開発をした田中さん。
あらゆるカメラで認識することができ、通信のない環境でも電力を使わずに認識することができるため、その応用の幅が広い技術です。
ロボットフレンドリーな社会にしていこうという世の中の動きがある中で、高精度マーカはロボットアームによる物体操作の支援や、移動ロボットの位置計測の補助など、ロボットに優しい環境構築での応用について紹介していました。
田中さんにとっての人間拡張とは:ロボット技術を介して実現したいという対象です。
「デジタルサービス化を推進するサービス工学研究」
渡辺 健太郎さん
渡辺さんは、技術を作る人と使う人が一緒になって、みんなの価値になるような仕組み(サービスシステム)作りの研究、またそのためのやり方をプログラム化(サービスシステムの設計)して、企業や専門家と新しいサービスを一緒に作る取り組みをしています。
また地域の中でどのような新しい技術が求められているかを地域の方と一緒に探索し、未来のビジョンを考え、それを新しい研究開発にどう落とし込むかを研究しています。
ELSI(技術が社会実装されるための倫理的課題)など、技術開発や新しいサービスを創る過程で解決しなければならない課題への取り組みについても紹介していました。
渡辺さんにとっての人間拡張:人それぞれが自分にとってよりよい状態を達成できるようにお手伝いができる研究開発と、社会全体として持続的に社会が存在し発展できるようにしていくうえで、人と技術の関係性をよりよい形にするための研究開発の2つです。
「ソーシャルイノベーションのためのリビングラボの実践と方法論研究」
赤坂 文弥さん
柏の葉地域では、産総研だけでなく地域の企業や住民の方たちと一緒に、未来のデジタルサービスを考えて研究開発に活かしていく「リビングラボ」と呼ばれる取り組みがされています。
赤坂さんは、そのリビングラボを進めるためのやり方、手法や方法論などをツールとしてまとめ、柏の葉以外の地域や関係者の方達にも使ってもらえるように、知識化する研究をしています。
赤坂さんにとっての人間拡張:社会参加や未来を考える取り組みを通じて、人の意識や行動が変わること。それを繋ぎ合わせるためには、どういう社会の仕組みやサービスがあればいいかを考えていきたいと思います。
「柏リビングラボのご紹介」
戸塚 健一さん
赤坂さんの話の中にあったリビングラボのひとつ「柏リビングラボ」の浴槽やトイレ、キッチンなどの模擬環境を備えた施設が柏センターの中にあります。
柏リビングラボの紹介をしていた戸塚さんは、介護ロボットの開発企業様に試作機などをご持参いただいて、産総研のメンバーがその有効性や安全性についてアドバイスをしていますと話していました。
リビングラボは厚生労働省からの受託事業となっているため、無料で対応しているそうです。
戸塚さんにとっての人間拡張とは:健康寿命延伸、ですかね。
人間拡張研究センターシンポジウム HARCS2024 取材レポ「人間拡張とは」⑤へつづく
人間拡張研究センターシンポジウム HARCS2024 取材レポ「人間拡張とは」①