発表・掲載日:2013/11/20

植物系放射性セシウム汚染物の焼却灰を除染する技術を実証

-10トン超を焼却し、焼却灰の放射性セシウム60~90 %を抽出・固定化-

ポイント

  • 適切に管理された条件下で焼却処理することにより、汚染物の重量を50分の1~100分の1に低減
  • 焼却灰に水を混ぜ、水に溶け出した放射性セシウムを独自開発の吸着剤でほぼ完全に回収
  • 吸着剤は極めて少量で済み、搬送コストの削減、中間貯蔵施設のスペース節減、汚染物管理の簡易化に寄与

概要

 独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 中鉢 良治】(以下「産総研」という)ナノシステム研究部門【研究部門長 山口 智彦】グリーンテクノロジー研究グループ 川本 徹 研究グループ長、伯田 幸也 主任研究員、田中 寿 主任研究員、小川 浩 上級主任研究員、南 公隆 主任研究員、北島 明子 産総研特別研究員、Durga Parajuli産総研特別研究員らは、東京パワーテクノロジー株式会社【代表取締役社長 角江 俊昭】(以下「TPT」という)、関東化学株式会社【代表取締役社長 野澤 学】(以下「関東化学」という)、日本バイリーン株式会社【代表取締役社長 吉田 俊雄】(以下「日本バイリーン」という)、株式会社阿部鐵工所【代表取締役 阿部 兼美】(以下「阿部鐵工所」という)と共同で、樹木の幹や枝などの植物系放射性セシウム汚染物を焼却し、生じた焼却灰からプルシアンブルー(以下「PB」という)ナノ粒子吸着剤により放射性セシウムを抽出・回収する技術を開発し、その有効性を福島県双葉郡川内村に設置した実証試験プラントを用いて確かめた。

 この実証試験では、汚染物の種類や焼却条件を変え、合計11回の焼却試験を行い、計10トン以上の植物系放射性セシウム汚染物を焼却し、まず約80 kgの焼却灰にした。次に、焼却灰中の放射性セシウムを水に抽出し、その灰中の放射性セシウムの60~90 %を除去することに成功した。抽出された放射性セシウムは、灰の約500~3,000分の1、焼却前の植物系放射性汚染物の10,000分の1以下の重量のPBナノ粒子吸着剤によって回収できる。これにより、今後設置される除染廃棄物用の中間貯蔵施設における必要容積を大きく低減することが可能になる。

今回の実証試験の概要と結果の図
今回の実証試験の概要と結果


開発の社会的背景

 2011年3月11日の東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の放射性物質漏えい事故以来、福島県など広範囲にわたる地域の除染の推進が国の事業として進められている。しかし、除染により生じた放射性物質を含んだ廃棄物を貯蔵・保管する施設については、検討が進んでいるものの、いまだその設置場所は決定しておらず、貯蔵や保管に十分な規模の施設を確保できるかどうか不透明な状況にある。そのため、除染により生じる廃棄物の量を減らす減容技術の確立が喫緊の課題となっている。

 減容すべき廃棄物の一つは植物系放射性セシウム汚染物である。住宅の周辺などを除染した際に集められる草や木の枝葉などに加え、農林業で生じる樹皮、堆肥などにも放射性セシウムで汚染されているものがある。また、森林の除染については、例外的に住宅敷地から20 mを超える範囲についても除染を認める方針が出されており、除染対象地域が拡大している。

 植物系放射性セシウム汚染物を焼却した場合、放射性セシウムを高濃度に含む灰が排出されるため、その管理方法が課題となる。灰については、8千Bq/kgと、10万Bq/kgという二つの基準を環境省が提示している。除染作業以外で排出される場合は、8千Bq/kg超の灰のみ指定廃棄物として管理型処分場または中間貯蔵施設で管理される。さらに、これらの指定廃棄物と、除染で生じた廃棄物については、10万Bq/kgを超えるか否かで、管理方法が大きく変わる。このため、廃棄物に含まれる放射性セシウムの濃度を最終的に8千Bq/kgまたは10万Bq/kgという二つの基準値よりも下げることができれば、廃棄物の管理を簡便にすることが可能となる。

 結果として本技術の実用化により、中間貯蔵施設の設置の加速、仮置き場から中間貯蔵施設への除染廃棄物移送の加速、ひいては除染作業の加速などの効果が期待される。

研究の経緯

 産総研は、東京電力福島第一原子力発電所の放射性物質漏えい事故以降、精力的に除染技術の開発に取り組んできており、特に、高効率・高選択性を示すセシウム吸着剤としてのPBナノ粒子の開発を進めてきた。そして、焼却灰から放射性セシウムを水に抽出した後に、その抽出水にPBナノ粒子を加えて放射性セシウムを回収し、放射性セシウム汚染物を減容させる方法を提案した(2012年2月8日 産総研プレス発表)。PBナノ粒子は、セシウムと似た性質のナトリウムやカリウムのイオンが高濃度に存在する水からでも、セシウムイオンを選択的に高効率で吸着する。

 一方、TPT(旧東電環境エンジニアリング株式会社)と産総研は、植物系放射性セシウム汚染物の焼却について、郡山チップ工業株式会社主導の下、平成23年度除染技術実証試験事業において、放射性セシウムに汚染された樹皮を焼却した場合にも、バグフィルターの設置によって、排気ガス中には放射性セシウムが検出されないことなどを明らかにした。

 これらの検討結果を基に、焼却、灰の除染(放射性セシウムの回収)までを一貫して実施することを目的として、実証試験プラントを設計・開発し、平成24年11月から福島県双葉郡川内村において実証試験を開始した(2012年11月12日 産総研プレス発表)。平成25年10月末にこの実証試験で予定していた試験を終了した。今回の発表は、その成果を報告するものである。

研究の内容

 使用した実証試験プラントは燃焼・熱回収装置と、放射性セシウム除染回収装置からなる。使用したプラントと、各部位で実施する処理内容を図1に示す。燃焼・熱回収装置では、植物系放射性セシウム汚染物を燃焼してその体積を減容するとともに、熱交換器を用いて温水を生成する。この装置を利用し、焼却物の種類や、焼却温度、添加物の有無による灰の性状への影響を評価した。放射性セシウム除染回収装置では、焼却灰を水や酸などの抽出原液と混合し、かき混ぜた後に固液分離して、灰に含まれる放射性セシウムを水に溶かし出す。水に溶解した放射性セシウムは、PBナノ粒子を含有する吸着剤を充填したカラムに通水し、回収・濃縮する。吸着剤による放射性セシウムの吸着挙動と、周辺に与える線量の影響については、リアルタイムに線量を遠隔監視するシステムを開発し、評価した。

 本試験では、特に灰の除染プロセスにおいて、1時間あたり20 kgの灰を処理することが可能な工程の確立を目標とした。この処理量は、1日24トンの処理能力を持つ焼却炉から生じる灰の量に相当する(燃焼時の灰生成量が燃焼物の2 %、24時間運転と仮定)。

開発した実証試験プラント工程図
図1 開発した実証試験プラントの工程図
燃焼・熱回収装置により植物系放射性セシウム汚染物を焼却、減容する。排気ガス中のセシウムはバグフィルターなどで回収除去される。生じた灰は放射性セシウム除染回収装置にてセシウム抽出処理により除染し、雨水などへの放射性セシウム溶出が大きく抑制される。抽出された放射性セシウムはPBナノ粒子吸着剤により回収する。

【燃焼法と灰からの放射性セシウム溶出特性】

 焼却試験では、約10.2トンの針葉樹、広葉樹などの幹や枝を燃焼させ、計74 kgの灰を回収した。つまり燃焼させることにより重量は約0.7 %にまで減少した。今回の試験では、使用した装置が1000 ℃以上の温度で高効率に燃焼できること、焼却物に土壌などの混入がなかったことなどから減量が進んだと考えられる。また、排気ガスから放射性セシウムは検出されなかった。

 得られた焼却灰の放射性セシウム抽出試験を行ったところ、添加物の有無により、放射性セシウムの抽出量に大きな違いが見られた。また、排気ガスをフィルターおよびサイクロン集塵機でばいじんを除去することによって生じる飛灰と、燃焼炉内に残った残りかすとして採取される主灰でも放射性セシウムの量に違いが見られた。

 添加物のない場合、バグフィルターで採取した飛灰については、56~72 %と比較的高い割合で放射性セシウムを水に抽出することができた。一方、燃焼炉内で採取した主灰については、1~38 %と、抽出量にばらつきが見られた。

 次に、燃焼時に、焼却物の0.5~1.0重量%の塩化カルシウムを添加した場合の灰からの放射性セシウム抽出試験を行ったところ、添加なしの場合に比べ、灰からの放射性セシウム抽出量は大きく増加した。その結果を表1に示す。この場合、飛灰で約80~90 %、主灰では60~70 %の放射性セシウムを灰から抽出することができた。また、処理前の焼却灰濃度は、主灰、飛灰のそれぞれが8千、10万Bq/kgの基準値を超えていたが、抽出処理により、それぞれ基準値を下回らせることができた。例えば都市ゴミ焼却の場合、飛灰からは放射性セシウムを高効率に抽出できることが知られていたが、主灰についても、塩化カルシウムの添加により、効率的に除染できることを実証試験レベルで示した。

表1 塩化カルシウムを添加した汚染物燃焼と灰からの放射性セシウム抽出試験の結果
焼却物
焼却物
重量
(kg)

重量
(kg)
焼却
減量率
灰種
灰種別
重量
(kg)
Cs濃度
(Bq/kg)
除染後
Cs濃度
(Bq/kg)
除染後
灰重量
(kg)
Cs
除去率
濃度
減少率
広葉樹
幹/枝
924 7.0 0.8 % 主灰 5.7 20,800 5,900 7.5 62 % 72 %
飛灰 1.3 106,500 20,100 1.5 79 % 81 %
針葉樹
幹/枝
313 4.2 1.3 % 主灰 1.8 17,700 4,100 2.4 69 % 77 %
飛灰 2.4 225,800 31,700 1.9 89 % 86 %

【灰除染と放射性セシウム回収】

 燃焼試験で得られた結果を用い、実際に灰を除染し、放射性セシウムを回収するためのフローを図2に示す。

 灰と水はまず振動造粒機で混合される。この振動造粒機は、利用する水の量を減らすために、阿部鐵工所の協力を得て導入したもので、疎水性の灰であっても、少量の水とよく混合し、液固比(水と灰の比率)の低い懸濁水とすることができる。本試験では、この低液固比懸濁水(液固比4、懸濁体濃度20~25重量%)を、撹拌槽と脱水機を循環させた液固比の高い懸濁水(液固比36、懸濁体濃度2.5~3重量%)に追加することで処理を進める。この一連の作業により、灰中の放射性セシウムは水に溶解し、抽出される。

 脱水機で灰と水に分離され、灰は、除染されたものとして、適宜脱水機から取り出される。抽出水の大半は撹拌槽に戻され、振動造粒機から循環系に追加された水の分だけ吸着カラムに送水される。この工程を取ることにより、循環系中の液固比は高いまま保たれる。灰の性状によっては、懸濁水の液固比が低い場合に、粘度が高くなってしまい、脱水に支障をきたす可能性があるが、振動造粒機と循環撹拌脱水方式を組み合わせることで、プラントへの灰と水を投入する際の液固比を下げることと、脱水時の液固比を上げることの両立が可能となり、排水処理などのコストを低減できる。使用した振動造粒機は、焼却場などで灰に少量の水を添加して造粒するために使用されているものであり、より少ない水量での処理も可能である。

放射性セシウムの抽出と回収フロー図
図2 放射性セシウムの抽出と回収フロー
数値は1時間あたり20 kgの灰を処理する場合の量

 脱水機より生じる放射性セシウム抽出水は、吸着剤を充填した吸着カラムに通水し、放射性セシウムを除去する。吸着剤は、関東化学製の粒状のものと、日本バイリーン製の不織布状のものを用いた(図3)。粒状吸着剤は、吸着剤全体のうち重量比70 % 以上がPBナノ粒子から構成されており、高い放射性セシウム吸着能力を持つ。不織布状吸着剤は、不織布の表面にPBナノ粒子を担持し、広い表面積を持つため、高速な吸着が特徴である。いずれの吸着カラムも約1,000 Bq/Lの抽出水を10 Bq/Lの検出限界以下にすることができた。

PBナノ粒子を利用した放射性セシウム吸着剤と充填カラム図
図3 PBナノ粒子を利用した放射性セシウム吸着剤と充填カラム

 今回の試験では、内容積が0.2~1 L程度のカラムを用いた。使用した吸着剤はセシウムを吸着できる量が非常に多く、1本のカラムで10トン以上の抽出液が処理できると考えられる。この吸着カラムが、どの程度の放射性セシウムを吸着することができるかを確認するため、安定セシウムを添加した加速試験を実施した。例えば、不織布状吸着剤カラムの場合、260 gの吸着剤を充填した内容積1.0 Lのカラムを用いた。放射性セシウム濃度が1,180 Bq/L(全て放射性セシウム137であると仮定して算出すると0.00037 µg/L)、安定セシウム濃度が34 µg/Lの抽出水に安定セシウム濃度が177倍になるよう添加した上で、カラムに通水した際の結果を図4左上に示す。カラムを通水させた処理水は、初期ではカラムが十分にセシウムを吸着できるため放射性セシウムは検出されなかった。しかし、通水量が90 Lを超えると放射性セシウムが検出され、カラムが放射性セシウムを吸着しきれなくなった(破過という)ことを示した。また、放射性セシウムと安定セシウムの吸着挙動はほぼ一致した。

 除染用途の場合、灰や水の中に、安定セシウムは放射性セシウムの1万~100万倍程度含まれていると推測されるため、吸着カラムがセシウムを吸着しきれなくなる寿命を決定するのは抽出水中の安定セシウム濃度であることが分かった。

 また、リアルタイムに線量を遠隔監視するシステムでカラム表面線量率を同時測定した結果が図4左下である。カラム通水の入口では通水直後から線量率が上昇する一方、出口ではカラムの破過直前に線量率が上昇している。すなわち、カラム表面において空間線量率を測定することにより、リアルタイムでカラム内部の吸着状態を確認することができた。これは、実用化時のカラム交換時期などの判断に利用でき、安全な運用が可能であることを示している。

放射性セシウム吸着率とカラム表面での空間線量率と通水時の放射性セシウム吸着イメージ図
図4 (左)安定セシウムを添加した放射性セシウム抽出水を不織布状吸着剤充填カラムに通水した際の放射性セシウム吸着率と、カラム表面での空間線量率。
(右)通水時の放射性セシウム吸着イメージ。

 安定セシウムを添加した加速試験から、実際の抽出液を利用した場合のカラムの性能を推定した結果を表2に示す。カラムに通水する流量は、放射性セシウムを一定時間十分に吸着するように決定した。通水時に水が吸着剤に接触する時間は不織布状の方が短い。これは、不織布状吸着剤の方が、高速に水を処理できることを示している。

 一方、粒状吸着剤の方がより高濃度に放射性セシウムを吸着する。これは、放射性廃棄物となる使用後吸着剤がより少量となることを示している。今回の加速試験で用いた抽出水(放射性セシウム濃度876 Bq/L〔全て放射性セシウム137であると仮定して算出すると0.00027 µg/L〕、安定セシウム濃度25 µg/L)の場合、1億7,000万Bq/kgの吸着が可能であると結論付けた。これは、本実験に用いた灰(放射性セシウム濃度15.4万Bq/kg、76 %の放射性セシウムが水に抽出)の処理に、灰の約1,400分の1の量の吸着剤で足りることを示している。

 また、不織布状吸着剤の場合でも、灰の500分の1の量の吸着剤で足りる。この場合、焼却前の植物系放射性汚染物に対し、灰量が50分の1の場合で、吸着剤の量は植物系汚染物の10,000分の1となる。粒状吸着剤を使用する場合は、さらに少量での処理が可能である。

 このように、いずれの吸着剤を用いても、十分に汚染物の減量は可能である。一方、不織布状、粒状の吸着剤はそれぞれ高速処理との両立、さらなる使用吸着剤の減量化という特徴を持っており、目的に合わせて使い分けることができる。

表2 粒状吸着剤と不織布状吸着剤の、安定セシウムを添加した吸着加速試験から見積もった吸着性能
 
粒状
不織布状
通水時に水が吸着剤に接する時間
空間速度
5.2分
(11.5回/時間)
2.1分
(28.0回/時間)
1kgの吸着剤を充填したカラムの
破過時の総通水量
190トン 49トン
破過時の吸着剤放射性セシウム濃度
1億7,000万Bq/kg 5,700万Bq/kg
灰1トンを処理するのに必要な吸着剤重量
0.7 kg 2.0 kg

【汚染物の処理フロー】

 本試験で得られた知見から推定される汚染物の処理フローを図5に示す。ここでは例として、放射性セシウム濃度が1,800 Bq/kgの、1トンの針葉樹の幹、枝などを処理したケースを示した。この場合、焼却により約80分の1への減量が見込まれるが、逆に8千Bq/kg超、10万Bq/kg超の灰がそれぞれ5.6 kg、 7.3 kg生じる。これを灰除染により、8千Bq/kg未満の処理主灰7.5 kg、8千Bq/kg~10万Bq/kgの処理飛灰5.7kgおよび10万Bq/kg超の吸着剤4.3 gに減量することができる。この場合では、灰の除染に約3,000分の1の吸着剤を用いることで、8千Bq/kg超の廃棄物を2分の1以下に減らすことができ、特に10万Bq/kg超の廃棄物を1700分の1に減らすことができる。吸着剤は放射性セシウムを高濃度に含むが、灰に比べ十分少量のため、遮蔽材を勘案しても十分に減量することが可能である。

本試験で得られた知見から推定される汚染物の処理フローの一例の図
図5 本試験で得られた知見から推定される汚染物の処理フローの一例。
(*)吸着剤使用量は焼却物中安定セシウム濃度に依存し、数倍~10倍程度の変動が生じる。

今後の予定

 今回の結果を基に、関連機関の協力の下、さまざまな企業と連携し実用プラントの開発を行い、植物系放射性セシウム除染廃棄物の減容などを実現するとともに、都市ゴミ、災害がれき、バイオマスなど他の可燃物の焼却灰に関する除染の推進に貢献することを目指す。



用語の説明

プルシアンブルーの説明図
◆植物系放射性セシウム汚染物
東京電力福島第一原子力発電所放射性物質漏えい事故により、放射性セシウムが付着した植物などを指す。除染で生じる草や木の葉などの除染廃棄物、林業、農業などで生じる樹皮や稲わら、津波により生じるがれきの中の木製のもの、などが挙げられる。[参照元へ戻る]
◆プルシアンブルー
1704年に初めて人工的に合成された青色顔料。紺青とも呼ばれる。一般的な組成式はAyFe[Fe(CN)6]x・zH20(Aはセシウムイオンなどの陽イオン)である。金属錯体や配位高分子と呼ばれる物質群の一種で、ジャングルジムのような内部に空隙を持つ構造をしており、その空隙にセシウムを取り込むと考えられている。海水のようにナトリウムイオンやカリウムイオンなど、類似のイオンが存在している環境でも、セシウムイオンを選択的に吸着する能力(高選択性)を持つ。[参照元へ戻る]
◆放射性セシウム・安定セシウム
セシウムには重さの異なるもの(同位体)が多数存在し、セシウム133のみが放射線を出さず、安定に存在する。このセシウム133を安定セシウムという。その他の同位体はある一定の速度で放射線を放出し、ほかの元素に変化する。特に現在の原子力発電所事故で問題となっているのはセシウム134とセシウム137であり、今回の発表ではこれらを放射性セシウムとしている。[参照元へ戻る]
◆バグフィルター
焼却炉で使用される排気ガス処理装置の一つ。円筒状のろ布を内部に有し、それらに排気ガスを通過させることにより、排気ガス中の粉じんなどを捕集する。放射性セシウムについても、99.9 %の捕集能力があるとされている。[参照元へ戻る]
◆固液分離
混ざり合った細かな固体と液体を分離すること。ろ過法、遠心分離法などが挙げられる。[参照元へ戻る]
◆加速試験
実際の試験よりも短い時間で結果が得られるよう、試験条件を調整して行われる試験。[参照元へ戻る]
◆破過
吸着剤は、目的の物質を吸着できる量がある。これを吸着容量という。吸着剤を充填したカラムに目的の物質の水溶液を通水すると、初期は目的物質が吸着し、通水後の液からは目的物質は除去されている。一方、吸着容量を超えて吸着することはできないため、大量の通水後に、通水後の液から目的物質が検出されることがある。これを破過という。[参照元へ戻る]
空間速度
カラムに通水する際に、カラム内の水が、1時間あたり何回入れ替わるかを示す値。空間速度が大きくても十分に吸着が進めば、高速に吸着することができることを示している。(1時間に通水する水量)/(カラム内容量)で計算できる。[参照元へ戻る]

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