旭化成ファーマ株式会社と産業技術総合研究所は、以下のテーマにおいて、第71回大河内記念技術賞を受賞しました。本日3月25日に日本工業倶楽部会館にて贈賞式が執り行われましたことをお知らせします。
第71回大河内記念技術賞 受賞テーマ
スマートセル活用によるコレステロールエステラーゼ大量生産技術開発
大河内賞は、1954年に設立された公益財団法人 大河内記念会が生産工学・高度生産技術における顕著な業績を表彰する伝統と権威のある賞です。
受賞テーマについて
「コレステロールエステラーゼ(以下「CE」)」の大量生産技術の開発で受賞しました。CEは脂質異常症の診断薬に用いられる原料酵素のひとつであり、健康診断等でLDLコレステロール値やHDLコレステロール値の算出に使用されます。CEは微生物によって生産されますが、その生産されるメカニズムが複雑であるため、従来技術では大量生産の実現が困難でした。産業技術総合研究所と旭化成ファーマは、「スマートセル技術(以下「本技術」)※」を開発・活用することにより、この課題に取り組みました。その結果、CEの大量生産に寄与する機能未知遺伝子を特定することに成功しました。これによりCEの大量生産(従来製法比で生産能力30倍以上向上)に成功し、製品化も実現しました。この成果が高く評価され、受賞に至りました。

開発したスマートセルの大量生産メカニズム
[バークホルデリア野生株(左図)]CEを大量生産するためには、CEの設計図となるCE遺伝子をプラスミドと呼ばれる環状DNAに組み込み微生物に導入します。プラスミドは微生物内で複製されるため、その中に組み込まれているCE遺伝子も複製されます。プラスミドが多数複製されることで多数のCE遺伝子が微生物内に存在することになり、CEの大量生産につながります。しかし、微生物内でプラスミド自体を排除したり、その複製を抑制したりする働きがあるため、CE遺伝子を増やすことが困難でした。
[バークホルデリア・スマートセル(右図)]産業技術総合研究所と旭化成ファーマはプラスミド排除と複製抑制の働きを持つ遺伝子を特定しました。この遺伝子を破壊し、機能を停止させることでプラスミドの排除と複製抑制が解除され、プラスミドを多数保持可能となりました。これにより、プラスミド上のCE遺伝子が多数存在することとなり、大量のCE生産が可能となりました。また、プラスミド上に組み込む遺伝子をCE遺伝子から別の遺伝子に変更することで、別の酵素を大量に生産することも可能です。
受賞者
小西 健司(旭化成ファーマ株式会社 診断薬事業部 酵素製品部)
村松 周治(旭化成ファーマ株式会社 診断薬事業部 開発研究部)
酒瀬川 信一(国立研究開発法人産業技術総合研究所 生命工学領域 生物プロセス研究部門)
安武 義晃(国立研究開発法人産業技術総合研究所 生命工学領域 生物プロセス研究部門)
田村 具博(国立研究開発法人産業技術総合研究所 生命工学領域)

贈賞式当日の写真
(左より村松、小西、安武、酒瀬川、田村)
※スマートセル技術:生物の細胞を人工的に改変し、酵素やタンパク質の生産能力を向上させることで、工業製品の素材や医薬品の原料を効率的に生産する技術。
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