米国カリフォルニアにて行われた「第4回マルチテラワットワークショップ」に、14カ国から約70名の専門家が集まり、持続可能な世界の実現に向けて、太陽光発電の発達と普及をさらに加速する方策を議論しました。
テラワットワークショップは産総研・米国立再生可能エネルギー研究所(NREL)・独フラウンホーファー太陽エネルギー研究所(Fraunhofer ISE)が主催している、約2年ごとに開催しているワークショップです。
これまでの3回のワークショップからはそれぞれScience誌において、太陽光発電の普及をよりスムーズに進める提言を発表し、学術論文で多数引用されています。
これまでの3回のワークショップに基づく論文のプレスリリースは、下記の通りです。
第1回:https://www.aist.go.jp/aist_j/news/announce/au20170421.html
第2回:https://www.aist.go.jp/aist_j/new_research/2019/nr20190626/nr20190626.html
第3回:https://www.aist.go.jp/aist_j/new_research/2023/nr20230530/nr20230530.html
4回目となる今回のワークショップでは、太陽光発電の累積導入量が今年中に2TWを超え、まもなく世界の発電電力量の約1割を占めると見込まれる中で開催されました。より速い普及速度や、新しい市場と用途への対応において、研究開発の観点から重点的に取り組むべき事柄を議論しました。一線級の研究所や企業、行政機関などの専門家たちが率直な意見を交わし、世界に発信する助言の内容を検討しました。
今回のワークショップでは、下記のような事柄に焦点をあてて議論が行われました。
- インド・オーストラリア・中国・ケニアなどの国々について、国や地域ごとに、温暖化ガス排出量の速やかな削減に向けて太陽光発電を普及させる際の課題や対応方策
- ペロブスカイト型太陽電池と結晶シリコン型太陽電池など、2種類の太陽電池を積層した高性能なタンデム型太陽電池法について、量産化や耐久性向上などの研究開発方針や利用方策
- 太陽光発電のさらなる環境負荷の低減、資源量の節約やリサイクルの促進の方策
世界が2050年ゼロエミッション化を達成するにはおよそ75TW(テラワット)以上の太陽光発電導入が必要とみられ、今のペースで普及を加速し続けることが大切とみられます。今回のワークショップの議論内容を踏まえて、専門家たちの助言を論文にまとめ、発表していく予定です。
第4回マルチテラワットワークショップ参加者の集合写真
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
ブランディング・広報部 報道室
E-mail:hodo-ml*aist.go.jp(*を@に変更して使用してください。)