物理理論を適用してデータ計算を行う工程を深層学習に取り入れ、結果の算出過程を明示
今回開発した技術の特徴は、密度汎関数理論に基づき、波動関数と電子密度を深層学習モデルの内部で表現・経由した上で、分子の物性値を予測する点である。これによりモデルのブラックボックス性が解消され、材料開発や創薬に応用する際、研究者や技術者が結果を検証・解釈できるようになり、信頼性も向上する。
分子の構造からその物性値Eを予測する技術の内容と結果は次の通りである。分子構造(入力)の情報を原子の波動関数φに変換し、次に分子の波動関数ψと電子密度ρを計算し、最後に物性を出力する。このモデルをニューラルネットワークで構築し、分子構造と物性値の大規模データベースを用いて学習・予測させる。予測は、理論計算において求められる精度を達成できるだけでなく、数分で数万種類の分子を予測できるため、これは理論計算を10万倍以上高速化できたことになる。