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【2015年における産総研の主な研究成果・トピック】
産総研では、主な研究成果の概要を下記のホームページで公開しています。毎年、本メルマガの1月号では、本ホームページに掲載された研究成果の中から前年における代表的な研究成果を紹介しており、今回は2015年の代表的な研究成果・トピックを研究領域ごとにご紹介します。
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(エネルギー・環境)
■変換効率11 %の熱電変換モジュールを開発 -ナノサイズの構造を制御した熱電変換材料で達成、未利用熱発電の実現に前進-
産総研などは、鉛テルライド(PbTe)熱電変換材料の焼結体にナノ構造を形成することで、性能の劇的な向上に成功しました。この熱電変換モジュールは11 %の変換効率を達成し、未利用熱エネルギーの電力活用に大きく貢献することが期待されます。
■信頼性の高い太陽電池モジュール用シリコーン封止材 -過酷な環境でも長期間使用できる太陽電池用部材を目指して-
産総研などは、耐久性に優れると共に、PID現象による出力低下を抑制するシリコーン封止材を開発しました。本封止材はシート状であるため、一般的な太陽電池モジュール製造設備で使用可能で太陽光発電システムの導入拡大や、その長期信頼性向上が期待されます。
■超微細な貴金属ナノ粒子触媒を固定化 -水素発生反応の触媒として水素エネルギー社会実現に寄与-
産総研は、層状炭素材料であるグラフェンに超微細な貴金属ナノ粒子触媒を均一に固定化することに成功しました。この技術は、超微細な金属ナノ粒子の新しい合成法として幅広い応用が期待されます。
(生命工学)
■移植用細胞から腫瘍を引き起こすヒトiPS/ES細胞を除く技術を開発 -再生医療で腫瘍が発生するリスクを低減させることが可能に-
ヒトiPS細胞やES細胞を分化させて作成した移植用細胞では、元の細胞が残っていて腫瘍化する可能性がありますが、産総研などは、元の細胞を効率的に除去して残存を防ぐことで、再生医療におけるリスクを低減できる技術を開発しました。
■生きた細胞内における外来DNA分解の可視化に成功 -細胞が外来遺伝子から体を守るしくみ-
産総研などは、生きた細胞内に導入したDNAが分解される機構を、リアルタイムで可視化できる技術を開発しました。遺伝子治療の効率化や、核酸医薬等の創薬設計への貢献が期待できます。
(情報・人間工学)
■複数人で協調して空間をレイアウトするシステム「Dollhouse VR」を開発 -「操作」と「体感」を両立させて、利用者視点での設計を実現-
産総研などは、空間の利用者と複数の設計者が協調して空間をレイアウトできるシステム「Dollhouse VR」を開発しました。設計者が現場の利用者の意見を、その場でレイアウトに反映でき、住宅や商業施設などの大規模建築物の空間設計の工程を短縮できます。
■音楽に合わせ歌詞が動く動画を容易に制作・共有できるサービスを公開 -誰でも好みの演出の歌詞アニメーションを作って楽しめる「TextAlive」-
産総研は、ウェブ上で公開されている楽曲・歌詞コンテンツを利用し、ユーザーが楽曲に合わせて歌詞をアニメーション化できる歌詞アニメーション制作支援サービス「TextAlive(テキストアライブ)」(http://textalive.jp)を開発しました。これを利用することで、多様な人々が膨大な手間をかけずに創造性を発揮して歌詞アニメーション制作を楽しむことができます。
(材料・化学)
■世界初 スーパーグロース・カーボンナノチューブの量産工場が稼働 -日本ゼオン(株)が量産開始へ-
産総研が開発したスーパーグロース(SG)法で得られるカーボンナノチューブ(CNT)は、従来法と比較して、高アスペクト比、高純度、大表面積といった特長を有し、高性能キャパシタ、高機能ゴム材料、高熱導電材料等の革新的材料やデバイスへ応用できることから、その需要拡大が見込まれます。
■グラフェンナノリボンによる紫外光のテラヘルツ変調 -テラヘルツ波発振素子の可能性をシミュレーション-
産総研などは、グラフェンナノリボンが紫外光をテラヘルツ(THz)の周期で変調させる作用があることをシミュレーションで発見しました。この計算結果から、テラヘルツ波発振素子への応用を提案しました。
■樹脂-金属接合特性評価試験方法の国際規格ISO19095シリーズが発行 -新規接合技術の評価方法を迅速に国際標準化-
産総研などが国際標準化機構(ISO)に提案していた異種材料複合体の特性評価試験方法が、提案準備から3年という短期間で国際規格ISO19095シリーズとして発行されることになりました。今回発行されるISO規格により、樹脂と金属の接合強度や耐久性などを定量的かつ客観的に評価することが可能となります。
(エレクトロニクス・製造)
■半導体チップの偽造を防ぐ素子や回路を開発 -「ICの指紋」を3倍以上の安定性で発生-
産総研は、半導体ICチップの偽造を防ぐ「ICの指紋」を低コスト、高信頼性、コンパクトに実現できる素子とそれを用いた回路技術を開発しました。チップの偽造や、IoTにおける機器の成りすましを防止する技術として期待されます。
■低電圧でも動作する有機強誘電体メモリーの印刷製造技術を開発 -プリンテッドエレクトロニクスを高度化する新たなラインアップ-
産総研などは、低分子系有機強誘電体を用いた薄膜メモリー素子を、溶液をパターニング塗布して製膜する印刷法により常温・常圧下で製造する技術を開発しました。プリンテッドエレクトロニクスによる強誘電体メモリーや不揮発トランジスタなどの低消費電力デバイスの研究開発が大きく加速すると期待されます。
■マイクロ液滴の特異な混合メカニズムを発見 -エレクトロニクス製造のための先進インクジェット技術の流体科学-
産総研は、エレクトロニクス製造に向けた先進印刷製造技術の基盤として、インクジェット印刷法で形成される異なるマイクロ液滴が接触した際に示す、強い表面張力に支配された特異な混合メカニズムを明らかにしました。これにより、プリンテッドエレクトロニクス技術の研究開発が大きく加速されると期待されます。
(地質調査)
■海洋調査船による西之島および周辺海域の学術調査研究 -海底面の撮影や地形調査、試料の採取、西之島火山の観察などを実施-
産総研などは、JAMSTECの海洋調査船「なつしま」に乗船し、西之島周辺海域の学術調査を実施しました。今回の調査では、西之島の噴火活動で噴出した火山灰を採取するなど、間断なく続く噴火の様子を観察することができました。
(計量標準)
■環境計測に適した超高速・高精度なガス検出・同定法を開発 -複数のガスがリアルタイムで分析可能に-
産総研は、光のものさし「光コム」を2台用いた分光装置により、高速・高精度にガスを検出・同定する手法を開発しました。複数のガスが共存する環境に適応でき、環境ガスの分析、内燃機関の評価、呼気分析など、幅広い応用が期待されます。
■世界最高水準の性能でコンパクトな直流電圧標準器を開発 -±2 ppm/年の高い経時安定性を実現-
産総研などは、経時安定性と温度安定性がともに世界最高水準で、コンパクトな直流電圧標準器を開発しました。基準源となる電圧標準部の精密測定に量子標準を用い、回路のノイズ対策、断熱実装、モジュール化技術を駆使して、世界最高水準の±2 ppm/年(10 V出力時)の経時安定性を実現しました。
■ミリ波帯で優れた伝送特性を持つ高周波伝送路を開発 -ミリ波帯デバイスの高精度な性能評価を安価に実現-
産総研は、導電率が高い銀ナノ粒子インクを用いた印刷技術によって、100 GHzを超える高周波の伝送特性に優れたコプレーナ導波路を開発しました。特性評価から、伝送特性・安定性の面において、従来のものより優れており、また作製ストも安価なことから、ミリ波帯デバイスの性能評価用の「標準伝送路」として非常に有望です。
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