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産総研中国センター友の会(産友会)メールマガジン
【第13号/ 2013.01.31発行】
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【特集 新春特集号】 平成24年の産総研の主な研究成果紹介
=所長挨拶=
年頭にあたり、ご挨拶申し上げます。産友会を立ち上げてからちょうど一年が経過しまして、現在会員は約80社に達しております。会員の皆様には毎月一回メルマガを発信して、産総研を中心にした国内外の最新技術シーズ、経産省等の公募情報、及びイベント情報をご案内して参りました。この一年、会員の皆様が抱える技術課題を抽出して産総研の技術シーズに繋げる活動を展開し、共同研究に発展した3例を昨年11月の「産総研本格研究ワークショップin広島」(テーマ:中国地域のものづくり技術のオープンイノベーション)で紹介させていただきました。今後とも、会員の増員を図るとともに、会員の皆様の技術課題を克服して中国地域をさらに活性化すべく汗を流して参る所存ですので、これまで以上に連携方よろしくお願い申し上げます。(所長 中村 修)
1.環境・エネルギー分野
■ダイヤモンド半導体を用いて真空パワースイッチの開発に世界で初めて成功
真空をスイッチ素子に用いるには、スイッチがオンのときに真空に電流を流す電子放出源が必要です。ダイヤモンド半導体の表面を水素原子で覆うと、真空中に自由に電子が飛び出すことを明らかにし、試作した真空パワースイッチの動作を検証したところ、10kVの電圧でパワースイッチとして機能することを確認できました。
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2012/pr20121210/pr20121210.html
■燃焼排出ガスからのCO2回収システムの開発
施設園芸栽培での生産性向上とCO2排出削減に資するため、夜間暖房に用いる加温器からCO2を回収・貯蔵し、光合成が盛んな昼間に施設内に放出するシステムを開発しました。
2.ライフサイエンス分野
■キノコの不凍タンパク質の分子構造と不凍機能のメカニズムを解明
キノコが生産する不凍タンパク質が氷の成長を強く抑制し、強力な不凍作用を示すことを明らかにしました。キノコは大量培養が可能であり、キノコを原料とすることで、強い不凍作用をもつ、新たな不凍タンパク質の低コスト生産や、食品や細胞を安定的に冷凍保存する技術を始めとして様々な応用への展開が期待できます。
■乳酸菌にストレス性睡眠障害改善効果を発見
睡眠障害の症状は多岐にわたり、現代社会の大きな問題となっています。
ストレスにより睡眠障害を引き起こしたマウスは睡眠時間帯(昼)に寝つきが悪く、睡眠不足に陥る影響で活動時間帯(夜)に活動量が低下してしまうのに対し、「SBL88乳酸菌」入りの餌を摂取したマウスでは活動時間帯の活動量の低下が抑制され、睡眠障害により発現が上昇する睡眠障害マーカー遺伝子の発現も抑制されて、遺伝子レベルでも睡眠障害の改善効果があることが分かりました。
■ミドリムシを主原料とするバイオプラスチックを開発
開発されたバイオプラスチックは微細藻の一種であるミドリムシが作り出す多糖類(パラミロン)に、同じくミドリムシ由来の油脂成分から得られる長鎖脂肪酸またはカシューナッツ殻由来の油脂成分で柔軟性をもつ長い鎖状部位と剛直な六角形状部位を併せもつカルダノールを付加して合成され、熱可塑性と耐熱性に優れ、植物成分率が約70%と高いことが特徴で、温暖化ガス削減を実現する革新的なバイオプラスチックの開発に繋がります。
3.情報通信・エレクトロニクス関連技術分野
■クラウド上で画像改正技術を容易に構築する技術
複雑なプログラミングが必要な衛星画像解析システムをウェブブラウザで容易に構築し、クラウドコンピューティングを利用し、大規模処理が必要なデータ解析を可能にする技術を開発しました。衛星画像を利用する調査・研究やアプリケーション開発でのデータ解析技術の利用の促進が期待されます。
■液体を強くはじく表面に半導体を塗布する新しい製膜技術
特殊な3層シリコーンゴムスタンプを用いた、プッシュコート製膜法と呼ばれる新しい成膜技術を開発しました。有機ポリマートランジスタの高性能化を実現するとともに、この新技術は、液体がなじみにくい表面への新しい塗布製膜技術として、さまざまな材料の薄膜化技術への応用が期待されます。
■室温でゲルマニウムにスピン情報を入力する技術
磁性体が持つ電子スピン情報(電気を切っても情報が失われない)を半導体に入力して演算に利用するスピントランジスタと呼ばれる超省電力のトランジスタ実現への道を開く技術を開発しました。
4.ナノテクノロジー・材料・製造分野
■赤外線カラー暗視撮影技術
暗闇でも鮮明な高フレームレートのカラー動画を撮影できる、3CCD方式によるフルハイビジョン規格の赤外線カラー暗視撮影技術を開発しました。
■鏡/透明状態が切り替わる調光ミラーデバイスの高効率作製技術
数ボルトの電圧をかけることで鏡状態と透明状態を切り替えられる調光ミラーデバイスの低コスト化、大型化、低電圧駆動に繋がる新しい作製技術を開発しました。
■レプリカ成形技術を用いたMEMS製造技術
MEMSデバイスを動作させるために必要な電気配線パターンや機能材料を低コストの印刷技術で形成し、それを射出成形により構造体に転写することで、低コストでの樹脂MEMSの製造を可能としました。
■室温で光による液化-固化を繰り返す材料
温度一定の室温状態で、光を照射するだけで液化と固化を繰り返し起こす材料を開発しました。
5.計測・計量標準分野
■24年度の研究成果: 個人向け小型放射線積算線量計を開発
放射線関連機器の小型化・省エネ化技術を応用し、小型で軽く(重量20g以下)、名札ケースやポケットに入れて持ち運びでき、長期間の連続使用が可能な放射線積算線量計を開発しました
第22回つくば奨励賞(実用化研究部門)を受賞
受賞者: 齋藤 剛 主任研究員,井原 俊英 研究室長
受賞日: 平成24年10月17日
受賞テーマ:「定量NMR法による革新的計量トレーサビリティ供給システムの開発」
受賞内容:受賞者らは、NMRの定量精度を向上させることにより、水素核(1H)の数に基づく分子構造に依存しない新しい計量トレーサビリティ供給システムの構築に成功しました
■平成24年度科学技術分野の文部科学大臣表彰(科学技術賞)を受賞
受賞者: 井原俊英 研究室長、齋藤剛 主任研究員
受賞日: 平成24年4月17日
受賞テーマ:革新的計量トレーサビリティ実現のための定量NMR法の開発
受賞内容:水素原子核を測定する核磁気共鳴法を高精度化させたことで、水素原子を含有するあらゆる標準物質の校正を可能としました。本成果により、国家標準が整備されていない化学物質においても計量トレーサビリティが確保された標準物質の供給が可能になり、化学分析で必要とされる標準物質のニーズに即応できる仕組みが構築できるようになりました。
■平成24年度科学技術分野の文部科学大臣表彰(創意工夫功労者賞)を受賞
受賞者: 伊豫彰 主任研究員
受賞日: 平成24年4月20日
受賞テーマ:力の国家計量標準の範囲拡大と供給における改善
受賞内容:世界最大級の20 MN力標準機の開発に参画し、力標準の範囲を大幅に拡大するとともに、力標準機の運転の自動化や校正方法の見直しを行い、校正を効率良く実施できるようにしました。
6.地質分野
■24年度の研究成果: 水中の低濃度の溶存態放射性セシウムを簡易・迅速に測定
産総研では企業と共同して、農業用水や河川水(環境水)中の低濃度の溶存態(水に溶けている状態)放射性セシウムをプルシアンブルー担持不織布によって濃縮し、従来よりも迅速に分析できる技術を開発しました。その結果、水中の低濃度の溶存態放射性セシウムを、従来の1/10以下の前処理・測定時間(それぞれ約30分~1時間で可能)で、従来からの2Lの水を長時間測定する方法の1/10程度の濃度(0.01Bq/L)まで測定できるようになりました。
■平成24年度科学技術分野の文部科学大臣表彰(科学技術賞・創意工夫功労者賞)を受賞
受賞者: 活断層・地震研究センター 澤井祐紀 主任研究員、宍倉正展 研究チーム長、佐竹健治 教授(東京大学)、行谷佑一 研究員、岡村行信 研究センター長
受賞日: 平成24年4月17日
受賞テーマ:日本海溝における巨大津波の復元方法の開発
受賞内容:過去の津波が残した「津波堆積物」に注目し、その分布範囲から貞観地震による津波の浸水域を復元するとともに、化石の記録から地震時の地殻変動を推定しました。これらの地質調査に基づいて数値シミュレーションを行い、貞観地震の規模をM8.4以上と具体的に示しました。さらに、同様の津波が450年~800年間間隔で発生していたことを解明しました。
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