独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という)と国立大学法人 名古屋大学【総長 平野 眞一】(以下「名大」という)は、我が国の学術および産業技術の振興に寄与することを目指して、相互の研究開発能力および人材等の総合力を発揮し、協力が可能な全ての分野において、連携・協力を実施するための協定を、3月9日(金)産総研東京本部理事長室において調印した。
本協定の下、名大と産総研は、共同研究を推進すると共に、研究施設・設備の相互利用を促進する。また、研究の交流を進め、人材育成に当たっては相互に支援を行う。
当面は、名大「エコトピア科学研究所」ならびに「工学研究科」と産総研中部センターの間で、「環境」をキーワードとする低環境負荷製造技術、資源循環、環境浄化等の技術について社会科学的な視点を含めた議論を深め、我が国の産業を支える材料を基盤とするものづくりの分野において、それぞれの機関が持つ得意分野を活用しつつ協力して研究を推進する。また、関連する学問分野あるいは技術分野の進歩に貢献できる人材の育成にも努める。
産総研と名大が広い分野で協力することにより、技術革新と人材育成を通じて、産学官連携の中核として、イノベーションを推進する。
平野 名古屋大学総長(左)、吉川 産総研理事長(右)
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現在社会を支えている科学技術は高度に細分化、高度化し、個人や単一の機関が全ての分野に研究資源を配分することが困難な状況である。また同時に、社会の発展を持続するためのイノベーションを、単一の機関のみで進めることも、困難である。このような状況の下では、多くの機関が得意分野を持ち寄って協力し合うことが、イノベーションを持続させるために有効であり、産学官がそれぞれの特徴を発揮し協力することが期待されている。
名大は、東海地域における知の拠点として、歴史を刻み、人材を輩出して来た。また、社会科学と自然科学の融合を試みるエコトピア科学研究所を創設している。一方、産総研は、経済産業省所管の研究所として、科学的基礎研究と製品の間にある死の谷を橋渡しする「本格研究」を実施するとともに、異分野の技術や概念の架け橋となり実用技術に繋げる役割を果たすことにより、産業技術の発展に尽くして来た。名大と産総研は、これまで多くの技術分野で協力し、多くの共同研究や技術研修(学部学生あるいは大学院生の実験実習等)を実施している。特に、産総研中部センター(旧名古屋工業技術研究所)はセラミックスや軽量金属を始めとする材料開発に特徴があり、地理的な近さもあり緊密な協力関係を築いてきた。
これまでの研究協力を更に発展させ、より広い範囲で相互の連携・協力を進めることにより効率的な研究推進あるいは人材育成を行うため、平成18年度当初より名大と産総研の間で、包括的な協力協定を締結する準備を進めて来た。
本連携・協力協定においては、従来からの協力関係を考慮し、産総研側の連携の中核を中部センターとし、名大側の連携の中核をエコトピア科学研究所として、将来のものづくりに必要な科学と技術を、社会科学の観点を加味して、環境をキーワードに、概念設計から開始し、連携プロジェクトを構築し推進する。名大と産総研の情報交換のため、新年度早々に相互の研究内容を熟知するための技術交流会を開催する。