本センターで推進している『イベント空間情報支援プロジェクト』は、博物館、アミューズメントパーク、博覧会などのイベントが開催される実空間において参加者・主催者双方の満足度向上を目指している。また、産学官共同で各種情報支援モジュールの研究・実証実験を行うことで、製品化を実現し世界中のイベント空間の高付加価値化を目指している。
今回、本プロジェクトでは個人の位置履歴やインタラクション履歴を収集、自然な操作で高度な情報サービスを実現する情報支援基盤システムを開発した。本システムでは、参加者にID発信タイプの無電源小型情報端末CoBIT付の名札を貸し出し、イベント会場中に設置された無線LAN、ID受信センサネット、CoBIT光源、情報キオスクなどによるユビキタス環境を構築している。
本システムはCoBITにより位置と向きに応じてインタラクティブに情報入手可能であるとともに、PCなどの個人端末とも連携し以下の特徴を持つ。
- 端末毎の位置履歴、インタラクション履歴,端末ユーザの公開情報に基づく支援
- 会場地図やセンサ位置の登録、各種アプリケーションの登録などのシステム設定容易
- 会場地図に人物アイコンや各種アプリ用アイコンが表示され、各種アプリ同士が連携しているため容易に高度情報入手可能
なお、本システムは参加者を管理するのではなく、参加者が欲しい支援を受けるためのものである。実際、名札を裏返せば位置が発信されず、容易に支援を停止できる。もちろん、主催者側は参加者の移動履歴やサービス利用履歴などの情報を活用・解析してサービスを向上できる。
今後は、2004年度人工知能学会全国大会(JSAI2004)にて参加者500人を対象とした支援を実現する予定。また、「サーカスはここを右です」「こちらは左です」(例)などの道案内や思い出メモの自動作成などのアプリケーションを研究開発する予定である。さらに、センサシステムや情報キオスクなどにおけるデバイスの小型化や無線化を実現しユビキタス空間構築を短時間で可能とすることも今後の課題である。
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図1 ユビキタス情報支援環境を構築したイベント会場において、本基盤システムが生成する会場地図から様々なアプリケーションを連携して利用可能
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図2 情報支援基盤システムの概要
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