賞の概要
産総研では平成15年度(ホームページでの公表は平成27年度から)より、職員の士気高揚を図るため、理事長賞表彰を毎年度実施しています。
平成29年度は以下のとおり受賞者を決定いたしました。
過去の受賞一覧
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平成29年度産総研理事長賞「研究」及び「特別貢献」の受賞者と中鉢理事長、三木副理事長 |
研究
人工知能に基づく異常検知・予知技術の社会実装
研究業績概要
被表彰者らは、産総研オリジナルの特徴抽出技術と機械学習技術の組み合わせによる汎用的な異常検知・予知技術について、公的資金による基盤研究開発を行い、企業との共同研究を通じて、医療診断支援、社会インフラ維持管理支援、産業機械メンテナンス支援など、我が国にとって重要な産業応用分野に橋渡しを行った。それぞれの分野に於いて、評価用システムを実現するなど、実用化に非常に近いレベルまで研究開発を進展させたことで、橋渡し研究の模範的事例となっている。これらの技術により、今後も増え続けるがんなどの医用診断や、老朽化する社会インフラ診断の簡便化、負担低減、信頼性向上、コスト削減等を通じて、国民生活の安心・安全の確保に大きく寄与することが期待される。
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受賞者代表(村川 正宏)(右) |
『20 万分の1 日本シームレス地質図V2』の編さん
受賞者
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斎藤 眞
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西岡 芳晴
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坂野 靖行
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宮崎 一博
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水野 清秀
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石塚 吉浩
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尾崎 正紀
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工藤 崇
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宝田 晋治
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小松原 琢
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松浦 浩久
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佐藤 大介
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高橋 浩
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内野 隆之
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中野 俊
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渡辺 真人
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山崎 徹
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及川 輝樹
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辻野 匠
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中島 礼
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古川 竜太
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山元 孝広
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竹内 圭史
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星住 英夫
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野田 篤
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利光 誠一
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原 英俊
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兼子 尚知
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宮地 良典
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中江 訓
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田邉 晋
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植木 岳雪
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森尻 理恵
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青矢 睦月
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研究業績概要
被表彰者らは、刷新した凡例を25年ぶりに作成して、計34名で7年をかけて編集作業を行い、20万分の1日本シームレス地質図V2 (V2版)を編さん・公開して、プレス発表で大きな反響を呼んだ。地質図に於いて、凡例は地質情報を表現する「言葉」であり、表現できる情報の質・量を支配する。V2版では最新の地質学的知識に基づいて凡例を全面的に刷新した結果、凡例数は386から2400超へと大幅に増加し、より詳細な情報を地質図に表現することを可能とした。また、凡例を体系化してピラミッド構造としたことにより、地質図の表示の仕方を、目的や用途に応じて自由に変更できるようになった。今後、土木・建築や防災・減災、観光、資源探査など幅広い分野で、地質情報の一層の利活用に貢献するものと期待される。
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受賞者代表(斎藤 眞)(右)
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革新的ヒト細胞リプログラミング技術の開発と実用化
受賞者
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中西 真人
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佐野 将之
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西村 健
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大高 真奈美
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飯島 実
研究業績概要
iPS細胞等を用いた再生医療や、治療遺伝子を患部の細胞で発現させて治療を行う遺伝子治療が世界的に注目を集めている。その際に必須となる安全で効率的な遺伝子導入技術の研究開発が、世界的に激しい競争の中で進められている。
被表彰者らは、複数遺伝子(最大10個)の同時導入が可能で、目的遺伝子が染色体に組み込まれず、且つ、導入遺伝子が不要な時には除去できる、安全な遺伝子導入技術を開発し、世界的に利用される技術に仕上げた。
また、その技術を基に産総研技術移転ベンチャーを設立し、社会への技術の橋渡しを進めた。これらの成果は、学術的にも新規性が高く、再生医療や遺伝子治療の実用化の観点でも非常にインパクトの大きいものであり、社会から大きな注目を浴びている。
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受賞者代表(中西 真人)(右)
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運営・管理・支援
特例随意契約方式導入による調達事務の迅速化
受賞者
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横倉 和宏
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広野 健
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小野 修平
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井川 奈々子
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青柳 岳彦
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望月 和成
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境田 祐二
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佐藤 憲市
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柳町 正
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加美山 謙
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関口 伸二
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河口 和浩
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受賞理由
産総研の調達ルールでは、160万円を超える物品を購入する場合、一般競争入札を行うことを原則としているため、調達請求から発注まで約40日間を要していた。
被表彰者らは、一般競争入札の方法、手順をもとに競争性及び透明性を確保しつつ、新たな随意契約方式の原則とされた「公開見積競争」の方法、手順について、如何に期間を短縮できるか、事務フローの分析を丁寧に行った。その結果、公開見積競争を原則とした「新たな競争性のある随意契約方式」を構築し、従来の一般競争入札に要する日数を40日間から約半分の20日間程度に短縮することができた。
この方法により、調達請求から納品までの期間が大きく短縮され、研究開発成果の早期発現及び向上に貢献した。
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受賞者代表(小野 修平)(右)
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研究成果を紹介する短編動画の制作
受賞者
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小笠原 啓一
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大河原 規生
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鈴木 康仁
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市村 久美子
受賞理由
被表彰者らは、研究者自らが産総研の研究成果をわかりやすく紹介する短編動画「研究者が語る! 1分解説」を作成し、産総研公式YouTubeチャンネルを介して広く情報発信を行った。これまでの研究紹介動画は、詳細に研究成果を発信することが優先され、その結果「わかりにくい、長すぎる」という批判があった。この問題点を解消するため、視聴者の注意力を引き留めておける1分程度を目安として、要点を研究者自らが語るというスタイルの短編動画とした。
本動画を情報発信したところ、産総研公式YouTubeチャンネルへのアクセス(視聴回数および登録者数)が昨年度比で235%増加し、効果的な広報に貢献している。
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受賞者代表(小笠原 啓一)(右)
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訪問型テクノブリッジフェアを活用した地域中核企業との連携モデル構築
受賞理由
地域センターに於ける第四期の「橋渡し」機能の強化を図るためには、地域産業をリードする中核企業との連携を図り、その傘下の中堅企業を巻き込んで進めることが重要である。被表彰者らは、技術シーズ展示イベント「訪問型テクノブリッジフェア」(産総研からの講演7件、ポスター61件、産総研側参加者108名)を中国センター主催で開催し、マツダ構内において産総研の技術シーズを提供する大規模なイベント「テクノブリッジフェアinマツダ」(マツダからの参加者1,652名)を実施した。これを契機に、両組織の経営層の交流、さらには現場レベルでの技術交流を活発に行った。訪問型イベントを活用した企業連携モデルの構築は、産総研の民間資金獲得に寄与するとともに、中国地域の企業との組織的な連携拡大に成功した。
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受賞者代表(中村 修)(右) |
特別貢献
日印融合研究の推進によるアジアバイオイノベーションハブの構築
受賞理由
被表彰者らは、インド科学技術省バイオテクノロジー庁(DBT)との国際共同研究において、長年にわたりDBTより多額の資金提供(3年間で約1.1億円)を受け、日印両国の長所を生かした共同研究を展開した。更に、国際共同研究ラボであるDAILABを国内に1か所、インドに5か所、スリランカに1か所設立し、日印の若手研究者の育成推進、さらに研究関連産業を巻き込んだ日印協力関係を発展させてきた。これらの成果により、日本とインドとの間で、科学技術協力を基にした日本国内の他の研究機関では達成できなかった、強い国際連携を実現することができた。これは、他に類を見ない成果であり、産総研のプレゼンス向上に著しく貢献した。
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受賞者(ワダワ レヌー)(右)
(カウル スニル)(左) |
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平成29年度産総研理事長賞「運営・管理・支援」の受賞者と中鉢理事長、三木副理事長 |