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企業の声:株式会社山王

取材日:2015年2月17日

被災地企業のシーズ支援事業インタビュー

株式会社山王
事業開発部 部長 渡部 剛様

担当研究者:再生可能エネルギー研究センター
エネルギーネットワークチーム
研究員 遠藤 成輝

産総研をパートナーにして事業に活用を

シーズ支援プログラムをどのようにして知りましたか?

株式会社山王:
弊社の場合は、他のシーズ支援企業様とちょっと違いまして、東北工場というのが実は、郡山の産総研さんに隣接するところにあるんです。ですから開所前に産総研さんが来るということを分かってたんですね。お隣さん同士という偶然生まれた接点の中で、被災地の企業向けに再生可能エネルギーに関する新プログラムがありますというアナウンスがありまして、それで一応公募に申し込みをしてみたんです。その結果、2テーマが採択されまして、ひとつは水素透過膜、もうひとつは太陽光モジュール関連です。

この支援プログラムにどういった感想をお持ちですか?

株式会社山王:
我々は上場企業とはいえどもまだまだ知名度も低いので、やはり産総研さんと共同研究するというのは、企業のイメージアップというか知名度を向上させるという点では非常いいと思っていますね。

我々として大きいのは、これから評価試験をしていく中で、保有出来ない設備とか、整えられない設備とかを用いて評価して頂けることに、非常に魅力を感じております。

 

研究されたことの事業化の予定はありますか?

株式会社山王:
文字通りシーズ段階の技術の支援ということなので、まだシーズなんです。産総研さんに研究開発の評価と対外的に成果報告をして頂いて、たくさんの方の目に留めて頂ければ、事業化も早いと思います。

まさにこれから評価が出るところですね?

株式会社山王:
プログラムは年度ごとに区切られるので、今走っているプログラムは、一旦3月31日で区切りとなりますが、評価試験のためのサンプルを作ったり、一緒に研究員の方と評価実験をしたりと、かなりスケジュールは詰まっていますね。

何名ぐらいで取り組んでいますか?

株式会社山王:
私と技術者1名、今は2名体制でやっていますが、今後増員の予定です。

FREA研究者とのコミュニケーションのギャップや、始める前に抱いた不安ですとか、始まってから困ったことはありますか?

株式会社山王:
我々中堅企業にとっては、つくばの産総研はやはりハードルが高いという意識が凄くあって、大企業様とか、大学の研究機関としかお付き合いしていないんだろうな、というイメージが凄くあったんですが、このプログラムの中で、親身になってくださり、非常に良くして頂いています。

 

産総研と契約を交わすために申請書や提案書を書くという点での煩雑さはいかがでしたか?

株式会社山王:
煩雑さは思ったほどなかったです。こと細かな資料の提出は、大企業さんのように専門部隊がいらっしゃるところは対応できるでしょうが、我々のような、中堅企業には、今回のような仕組みを利用した方がいいのかなと思いますね。

双方(御社とFREA)の研究者同士のコミュニケーションはうまくとれましたか?

株式会社山王:
ご一緒した水素関係の研究者の方は、実は私より年下の研究員さん(エネルギーネットワークチーム研究員の遠藤成輝)で、逆に敬語を使って頂いたりして……(笑)

御社にとってのFREAの魅力はなんでしょう?

株式会社山王:
水素関係の研究者の知見ですよね。アドバイス頂いたり、相談出来たり、こういうデータが取れたんだから、次は、こうしましょう、というような道筋が出来ますよね。我々としては、そういう研究員の方々のご助言が貴重ですよね。もちろん設備も魅力的ですが。

長年、水素を研究している者から、御社の技術が異分野でも使えるとの判断やアドバイスを受け、評価を受けたという側面もありますよね。

株式会社山王:
我々は今まで電子部品専門の貴金属表面処理をやっていましたので、水素関連は異分野なんです。

トヨタ自動車様がMIRAIをリリースし、今後水素エネルギー分野に様々な企業様が参入してくると思います。

我々は大企業ではないので、その分野で道筋を見つけて頂けることは非常にありがたいなと思っています。2015年2月2日の日経新聞に我々の記事が掲載されましたが、その反響で弊社の株価が高騰し、その週は仕事にならなかったほどです。

水素透過膜

会社のブランディングとしても影響が大きかったですね。

株式会社山王:
昨年(2014年)の4月にホームページ上に「シーズ支援プログラムに採択されました」という記事を出しても反応はなかったのですが、12月のエコプロダクツ展では、NHKの取材も受けたりして、徐々に知名度が上がって来ているのを感じますね。

NHKの取材では、FREAより山王さんの方への関心が高かったというお話を聞きましたが?

株式会社山王:
そうなんです。NHKの取材カメラが入って、うちだけで取材を受けるのも心苦しいので、産総研さんのパネルが写るようにずらしたんですが、残念ながら写ってなかったです。(笑)

「首都圏ネットワーク」という番組で放映されたのですが、次の日以降は、NHKのニュースを見て来たという方がブースにたくさんいらっしゃいました。

産総研を御社のマーケティングとか、販売にも利用したいという期待はありますか?

株式会社山王:
当然ありますね!我々は表面処理が専門で、水素分離膜しかできていません。これを事業化する際には、もう少し装置に近いものにしたいと願っていますが、装置化するノウハウとか知見が乏しいんですね。 その意味でも産総研の広いネットワークやマッチング能力には期待しています。

今後シーズ支援プログラムに応募しようと思っている企業へのアドバイスはありますか?

株式会社山王:
まず、そんなに産総研さんのハードルは高くないですよということです。また、今から水素関連で何かやりたいんだけど、何やればいいのかな?ではなくて、こういう技術があるんだけど、何か使えないでしょうか?というように問い合わせするのが良いと思います。

FREAに望むことはありますか?

株式会社山王:
シーズ支援プログラムに採択されている企業が30社(正式には36社)くらいあると思うのですが、今後に向けて採択企業の交流の場を作ってもらえたらいいなと思います。採択された他社のホームページを見ましたが、一緒に開発に取り組めたり、製品化した際には顧客になってもらえそうな企業もあるように感じます。FREAに採択企業同士がネットワーキングする場を設けてもらえると、業種を越えた連携協力が活性化するのではないかと思っています。もちろん公募に参加したい人たちも参加して欲しいし、研究者の方にも参加して頂けると嬉しいし、新たな展開にも繋がると思いますね。

国立研究開発法人 産業技術総合研究所