2016/12/21
「THE 11TH ASIAN GEOTHERMAL SYMPOSIUM(AGS11)」11月18日(金)~20日(日) 開催のご報告
2016年11月18日(金)~20日(日)に、タイ北部のチェンマイにおいて、「第11回アジア地熱シンポジウム(AGS11)」を開催しました。会場はチェンマイ・オーキッド・ホテルで、90名近い参加がありました(うち60名程度はタイ国内から)。その概要を報告します。
AGS11は、産総研の再生可能エネルギー研究センター(RENRC)及び地圏資源環境研究部門(GREEN)、タイ地下水資源局(Department of Groundwater Resources、以下DGR)と韓国地質資源研究院(Korea Institute of Geoscience and Minerals、以下KIGAM)の4者の共催で行われました。前回(2013年9月開催)まで、AGSはGREENの主催で行われてきましたが、2013年10月のRENRC発足により、地熱・地中熱の主たる研究がRENRCに移行されたため、今回から産総研内でRENRCとGREENの共催になりました。そのため、18日の朝はGREENの中尾信典研究部門長及びDGRのAranya Fuangswasdi副所長による開会挨拶で始まり、20日の夕はRENRCの仁木栄研究センター長の閉会挨拶で終わる形となりました。産総研から多数の研究報告も行われました。(参照:
プログラム参照【PDF:104KB】)
AGS11の開催風景 |
AGS11の会場内。これまでのAGSの中でも最大規模の参加があり、盛んに議論が行われた。
※写真提供:Tae Jong LEE博士(KIGAM) |
19日にはAGS11の一環として、タイで唯一の地熱発電所であるFang地熱発電所(300kW、1989年運転開始)を訪問しました。タイでは、近年の地熱促進政策により、DGRが主体となって地熱調査が進められている最中で、各地で地熱調査のための物理探査が行われています。Fang地熱発電所の拡張計画もあり、その他に5地点での地熱パイロット・プラントの立ち上げ計画が予定されています。そのためAGS11では、18日の午後にタイ国内の地熱開発状況を集めたセッションも設けました。
なお、AGS11での講演論文は全て、国際地熱協会(International Geothermal Association, IGA)の地熱論文データベースに掲載される予定です。
(参照:
https://pangea.stanford.edu/ERE/db/IGAstandard/search.php【外部サイト】)
Fang地熱発電所の見学風景 |
300kWのFang地熱発電所(右はAGS11の参加者達)
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なお、前日の11月17日(木)には、シンポジウムと同会場のホテルにて、国際エネルギー機関(International Energy Association)地熱実施協定(Geothermal Implementation Agreement)の技術分野別アネックスの一つAnnex VIII(直接利用アネックス)が主催となる「IEA-GIA地熱直接利用ワークショップ」も開催されました。このワークショップは、アジア、ヨーロッパ、米国、ニュージーランドからの12件の招待講演とディスカッションが行われました。世界では、地熱発電のみならず、地域熱供給や工業プロセスなど、さまざまな目的で地熱エネルギーが利用されており、地中熱利用も盛んです。招待講演では、そういった事例紹介等が行われ、ディスカッションでは今後の更なる利用に向けての留意点などが話し合われました。また、CCOP(Coordinating Committee for Geoscience Programmes in East and Southeast Asia)会長のAdichart Surinkum博士から、CCOPの地下水プロジェクト傘下で行われている地中熱プロジェクトの紹介や、RENRCの地中熱チームがタイやベトナムで設置した冷房専用の地中熱システムが紹介されました。本ワークショップでの発表スライドは、全てIEA-GIAのウェブページに掲載される予定です。
(参照:
http://iea-gia.org/areas-of-activity/direct-use/【外部サイト】)
IEA-GIA地熱直接利用ワークショップの集合写真 |
参加者の集合写真(会場のチェンマイ・オーキッドホテルの前)
※写真提供:DGR |
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