「甘いだけじゃない糖の話 ~糖の持つ生物学的役割~」
平成27年12月4日(金)、サンスクエア東広島(広島県東広島市)にて第3回産総研サイエンスカフェ in 東広島「甘いだけじゃない糖の話 ~糖の持つ生物学的役割~」を開催しました。
話題提供者は、機能化学研究部門 バイオマス成分分離グループ 仲山賢一研究グループ長です。今回も東広島市との共催で開催しました。
産総研中国センターでは、木質系バイオマス(木質資源)から、化学品原料、高性能複合材料を製造する研究を行っております。
今回のカフェでは、バイオマスの各種成分(セルロール、ヘミセルロース、リグニン)の効率的な分離技術の開発研究において出てくる糖の持つ生物学的役割として、単にエネルギー源となっているだけでなく様々な場面で思いがけない機能を担っていることを紹介しました。さらに参加者のみなさんにレモンやみかん果汁の糖度比較を糖度計により行ってもらいました。
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糖は、一般的には甘い調味料や食品として知られており、生物は糖を食べた後にエネルギー源として利用していることを化学的に解説しました。また、DNAの主鎖を形成しているものが糖であることや、さらにエネルギーを取り出すための糖の代謝産物がアミノ酸へと変換されており、タンパク質という生物の本体とも言うべきものを作り出す基となっていることを紹介しました。さらに、この生物にとって重要な糖が、植物によって作られていることも簡単に説明をしました。
カフェの中盤には、参加者の皆さんに100%のレモン及びみかん果汁、スポーツドリンクを糖度計で測って比較してもらう体験をしていただきました。レモン果汁は、酸っぱいので、糖度が低く思われがちですが、意外と糖度が高いこと、また、スポーツドリンクも意外に糖度が高いので、飲みすぎに注意が必要であることを紹介しました。
最後に仲山さんは、「糖から作られるセルロースと澱粉の違いや、遺伝子(糖鎖)が血液型を決めていること。また、糖とインフルエンザ、毒素(たんぱく質)、癌などの病気との係わり合いについて、これに関連した産総研の研究内容の紹介を交えながら糖がエネルギー源や体の構成要素というだけではなく、生物として生きていく上で外界との情報のやりとりや認識に重要な役割を果たしている」と参加者に語り、カフェを締めくくりました。